文字の大きさ

  • 標準
  • 拡大

色を変える

白色

黒色

青色

ページ自動読み上げ

ページ自動読み上げボタン

令和6年度施政方針

2月20日(火)に開催された本議会において、木山市長が令和6年度の施政方針を述べました。

(写真:本会議場で施政方針演説をする木山市長)
施政方針.jpg
  
1.はじめに   
                                
2.市政運営の基本方針

3.予算編成の基本方針

4.庄原いちばんづくりの主要事業

5.令和6年度主要施策について

6.おわりに
はじめに

令和6年度当初予算案のご審議をお願いするにあたり、市政運営に対する一端を申し述べ、議員各位、並びに市民の皆さんのご理解、ご協力を賜りたいと存じます。

まず、冒頭に令和6年1月1日、石川県能登地方を中心とする広範囲におきまして、最大震度7に達する大地震が発生いたしました。
これまで、能登半島の自治体を中心に、家屋の倒壊や火災、津波などにより241名の尊い命が失われ、今なお、約12,900名余りの方々が避難生活を余儀なくされております。
震災の犠牲となられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、被災されました方々に対しまして、深くお見舞いを申し上げます。

被災地の一刻も早い復旧・復興のため、1月25日から石川県輪島市へ職員を派遣いたしており、今後におきましても物資の提供など、様々な支援活動に取り組んでまいります。

さて、昨年5月、世界保健機関は新型コロナウイルス感染症の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の終了を宣言し、令和2年1月以来、3年余り続いた世界的な「緊急事態宣言」を解除いたしました。

我が国でも、同じく5月に、コロナ感染症の感染症法上の分類が「2類感染症相当」から「5類感染症」に引き下げられて以降、社会経済活動が復調し、コロナ禍以前の日常を取り戻しつつあります。

こうした明るい()しもあった一方、国際情勢においては、()だ戦闘が続くロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、パレスチナの武装勢力とイスラエル軍の武力衝突が勃発()しており、一日も早く、こうした紛争が終結し、平和な日々が訪れることを強く願っております。

国内の動きに目を向けますと、不安定な国際情勢に起因した物価・エネルギー価格の高騰が、国民生活に大きな影響を及ぼし続けております。

このような状況に対し、国は継続的な総合経済対策として、低所得世帯への経済支援をはじめ、燃料価格や電気料金などの高騰対策を継続し、本市におきましても、物価・エネルギー価格の高騰などがもたらす影響に対し、切れ目なく、機動的に対策を講じてまいりました。

そうした中、本市の魅力を活かした地域活性化やにぎわいを創出する施策についても、積極的に展開をいたしてまいりました。

主な施策といたしまして、3月には、関係人口の創出などを目的とした「庄原ファンクラブ」の活動を開始し、現在の会員数は、約1,900名と、目標を上回るペースで市内外の皆さんに加入をいただいております。

4月には、約5年の歳月を要した、庄原市民会館・庄原自治振興センターの大規模改修が完了し、市民の憩いの場、また自治振興区活動の拠点として幅広い活用が図られております。
また、「帝釈峡 国の名勝指定 100 年・国定公園指定 60 年」の記念事業として、「ライトアップイベント」などを開催し、市内外の多くの皆さんに「名勝 帝釈峡」の魅力に触れていただきました。

さらに、これまでコロナ禍により中止や縮小を余儀なくされていた集客イベントも、その多くが復活を果たし、「口和モーモー祭」や「比和やまびこ祭」、「帝釈峡マラニック大会」などが地域の皆さんのご協力により開催され、再び活気が戻ってきたと実感をいたしたところでございます。

10月には、JR芸備線広島・庄原間の開業 100 周年を記念した「駅前フェスタ」が開催され、一方では、芸備線を対象として、JR西日本株式会社による「地域公共交通活性化再生法」に基づく「再構築協議会」の設置が、国に対して要請されました。
本年1月には、全国で初めてとなる再構築協議会が設置され、3月には第一回の会合が行われることが決定いたしました。
今後におきましても、広域的な鉄道ネットワークの必要性を訴えていくとともに、引き続き、利用の促進に力を注いでまいります。

このページのトップへ戻る

市政運営の基本方針

続きまして、令和6年度の市政運営における、基本的な方針を申し上げます。

まずは、長期化する物価・エネルギー高騰の影響に対し、市民の生活を守る施策でございます。

近年の物価・エネルギー価格につきましては、高止まりの状況が継続しており、こうした影響を受ける消費者をはじめ、製品やサービスへの価格転嫁が困難な事業者もおられます。
こうした背景を踏まえ、経済状況や市民生活を注視しつつ、必要な対策を講じてまいります。

次に、本市の最重要課題である人口減少への対応でございます。

一昨年、人口動態統計における我が国の出生数は80万人を割り込み、統計開始以来、過去最少を記録いたしました。
さらに、厚生労働省が公表する人口動態統計速報をもとにした推計によりますと、令和5年の出生数は72万6千人余りと見込まれており、過去最少を更新する見通しとなっております。
本市におきましても、住民基本台帳に基づく令和5年の出生数は、114人と、合併以後、最も少なくなっております。
一方、総務省の人口移動報告における令和5年の転出超過数は、98人となり、令和3年の286人と比較し、市の移住施策により、大幅に縮小したところでございます。

こうした状況を踏まえ、全庁を挙げて取り組んでまいりました人口減少対策について、従来の視点に加え、新たな施策により、直接的な人口増につながる事業を展開し、課題解決に向け、取り組んでまいります。

続きまして、「第2期長期総合計画 後期実施計画」と「第2期庄原いちばんづくり」に掲げる事業の着実な実施でございます。

令和7年度までを計画期間とした「第2期長期総合計画」に掲げる将来像、「美しく輝く里山共生都市」の実現に向け、各施策・事業を確実に遂行してまいります。
なお、新年度では、次期計画となる「第3期長期総合計画」の策定に着手し、市民の皆さんのご意見も踏まえ、本市の将来像を描いてまいります。

併せて、地方創生の推進を目的とした「まち・ひと・しごと創生総合戦略」につきましても、長期総合計画との整合を図るため、一体的に策定することといたしております。

また、「地域産業」「暮らしの安心」「にぎわいと活力」を柱とする「第2期庄原いちばんづくり」でお示しした重点事業につきましては、「次代につながる庄原市」の実現のため、着実に推し進めてまいります。

次に、災害復旧事業の確実な完了と危機管理意識の向上、災害への備えによる市民生活の安心・安全の確立でございます。

これまでも自然災害の猛威を目の当たりにし、私たちの暮らしは、こうした災害と隣り合わせであることを認識いたしておりましたが、この度の能登半島地震により、改めて、平時からの危機管理の徹底、防災体制の準備の重要性を痛感した次第でございます。

今後も、消防・警察などの関係機関との緊密な連携を図るとともに、自主防災組織の組織化や活動支援などを通じて、地域の防災力の維持・強化に努めてまいります。

また、これまで復旧事業に取り組んでまいりました、平成30年及び令和2年発災の災害復旧事業が、事業者や関係者の皆さんのご協力により、令和6年度中に完了の予定となることから、市道改良などの社会インフラ整備に取り組んでまいります。

このページのトップに戻る

予算編成の基本方針

続きまして、令和6年度当初予算の概要についてご説明申し上げます。

まず、歳入では、市税につきましては、令和6年度税制改正における定額減税による個人市民税の減収約1.2億円などにより、市税全体で約1.3億円の減額を見込む一方で、定額減税による減収の補填分として、地方特例交付金につきまして、その相当額を増額いたしております。

また、普通交付税につきましては、令和6年度地方財政計画において、地方が直面する様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、令和5年度を上回る額が確保されたことから、約1億円の増額を見込み、臨時財政対策債につきましては、発行額の抑制により約0.8億円の減額といたしております。

次に歳出では、災害復旧費につきましては、復旧事業の進捗に伴い、前年度比で約9.2億円の大幅な減額といたしております。
また、平成30年7月豪雨災害以降、復旧・復興事業に最優先で取り組むため抑制いたしておりました市道改良事業など、生活基盤の整備を進めるため、土木費を増額するとともに、子どもたちが安心・安全に過ごすことのできる環境整備として、民生費及び教育費を増額したほか、国の経済対策事業に沿って、物価高騰の影響を受ける市民生活の支援を行うことといたしております。

なお、近年の経済状況による労務単価等の上昇などの影響を受け、財源調整を含めた歳入歳出の収支均衡を図るため、財政調整基金の一部を充当いたしております。

以上、令和6年度一般会計の予算規模は、対前年度比で3.2%増の308億5,226万円と、3年ぶりに増額となり、特別会計及び企業会計を加えた全体の予算規模におきましても、2.7%増の、457億397万円といたしたところでございます。

このページのトップに戻る

庄原いちばんづくりの主要事業

それでは、当初予算案に基づく「第2期庄原いちばんづくり」につきまして、3つの柱とする施策体系に沿って、主な事業をご説明させていただきます。

まず、「地域産業」のいちばんでございます。

「新たな可能性で切り開く"稼ぐ"地域産業の構築」につきましては、多くの産業において人手不足が深刻な課題となるなかで、特に農畜産業の担い手を育成・確保し、安定的な経営を継続することは、本市の産業の発展のため、重要な取り組みでございます。

国の新規就農者育成総合対策事業を活用し、農業経営発展のための機材や施設等の整備に対する支援を行い、農業への人材のより一層の呼び込みと定着を図ってまいります。

林業の分野では、市内への誘致に取り組んでまいりました製材工場が、本年4月に竣工を迎え、操業を開始されます。

これを契機とし、これまで市外・県外に流出していた庄原産材を市内へ安定的に供給する仕組みといたしまして、原木供給・需要促進事業奨励金を制度化し、庄原産材の知名度と価値の向上によるブランド化及び森林資源の有効活用を促進させ、林業を儲かる産業として次世代へ継承する道筋をお示ししてまいります。

また、営農意欲の減退をもたらすイノシシやシカの鳥獣被害が拡大するなか、処理能力を高めた新たな有害鳥獣処理施設を整備し、捕獲者の負担軽減及び農業の生産基盤の維持、並びにジビエ肉への加工による地域資源の有効活用を推し進めます。

中小企業振興につきましては、市内商工団体や金融機関と連携して取り組んでまいりました「創業」等の分野における細やかな支援策を今後も継続するとともに、キャッシュレス決済推進事業への支援による地域内経済循環サイクルの構築などにより、地域の中小企業者を支え、地域経済の活性化につなげてまいります。

「"食の宝庫 庄原"の強みを活かしたブランディング」では、昨年の「G7広島サミット」におきまして、広島県を代表する食材として「比婆牛」が各国首脳の方々に提供され、内外の注目度が高まっております。
この歴史と伝統ある「比婆牛」ブランドを将来にわたり継承するため、比婆牛の増頭を進めるとともに、畜産農家の生産基盤の強化や経営の安定化に向けた施策を、引き続き展開してまいります。

「新たな時代の潮流を取り込んだビジネスモデルの構築」に向けた取り組みといたしましては、これまで整備してまいりましたお試しオフィスを有効活用し、サテライトオフィスをはじめとする、都市と地方を結んだ新しいワークスタイルに取り組む企業を積極的に誘致することで、雇用の創出や地元就業の選択肢を増やし、働く場の創出と都市部からの移住を促進いたします。

続いて、「暮らしの安心」のいちばんでございます。

「安心を実感できる子育て環境の整備」では、子育て世代をはじめ、誰もが気軽に集い・憩うことのできる場を整備するため、上野総合公園を候補地として基本計画の策定を進めており、幅広い世代の皆さんの多様な交流を促進するとともに、周辺施設との相乗効果によるにぎわいの創出、交流・関係人口の増加を図ってまいります。

併せて、こうした集いの場の整備につきましては、市内の他の地域におきましても、検討を進めてまいります。

また、保育所における保護者との連携強化やの確認など園児の安全・安心な環境をさらに充実させるため、「保育所ICTシステム」を新たに導入するとともに、機能拡充により利便性が向上いたしました電子母子手帳なども含め、デジタル技術の活用を進め、安心して子育てができる環境と保育サービスの充実に取り組みます。

「安心・安全で快適に暮らせる生活基盤の確保」では、庄原赤十字病院における産科体制の維持に向け、医師の確保を支援するとともに、新たに小児医療体制を維持するため、その費用の一部を支援することで、引き続き、市内で安心して子どもを産み、育てられる体制を堅持いたします。
また、西城市民病院をはじめとする本市の地域医療の現状分析と医療提供体制等について調査を行い、明らかとなった課題を踏まえ、実効的な対策に向けた検討を進めてまいります。

さらに、次世代を担う子ども達により良い環境を引き継ぎ、持続可能な将来を築くため、脱炭素社会の実現に向けた「ゼロカーボンシティ」を宣言するとともに、計画的な公共施設の照明LED化などの取り組みを推進してまいります。

国による再構築協議会の設置が決定されましたJR芸備線の利用促進では、鉄道のネットワークを生かし、JR木次線も含めた沿線全体での利用促進に取り組むとともに、新たに市内の通学支援やラッピング列車の制作など、関係者が一丸となり利用者の増加に資する事業を、引き続き、展開いたします。

「地域で活躍できる次代を担う人材育成」では、次世代を担う子ども達の学習環境のさらなる充実を図るため、安心・安全な学校施設の年次的・計画的な長寿命化改修やトイレ環境の整備に努めてまいります。

最後に、「にぎわいと活力」のいちばんでございます。

「人口ビジョンに基づく将来人口の確保と地域課題への挑戦」では、テレワーク、ワーケーション、ふるさと納税など、都市部と地方とのつながりを契機とした「交流人口・関係人口」のさらなる拡大を図り、「知ってもらう」「来てもらう」、そして庄原を「選んでもらう」の流れをつくり、定住者の増加をめざしてまいります。

また、人口減少により、地域コミュニティや基幹産業の担い手が不足しつつある状況に対する施策として、全国の若者に本市での仕事や暮らしに挑戦・体験する機会を提供する「庄原いちばんづくり留学」事業に新たに取り組むことで、こうした若者と地域・行政が一体となって、地域活性化を進め、若者の本市への移住を促進いたします。

「にぎわいを生み出す更なる魅力の創出」では、東城市街地に位置する交流拠点施設「遊YOUさろん東城」について、施設の老朽化への対応や機能向上にかかる整備基本計画を策定してまいります。

「多様な地域資源を結び、輝かせる連携軸の構築」では、昨年の「帝釈峡 国名勝指定100年、国定公園指定60年記念」イベントを契機といたしまして、神石高原町との連携や周辺の観光資源との一体的なPR等に、引き続き取り組み、さらなる地域振興を図ります。

併せて、屋外体験施設「帝釈峡 まほろばの里」にアウトドア施設を整備し、一層の交流人口の増加をめざしてまいります。

また、昨年、帝釈峡の記念イベントとして実施した「帝釈峡マラニック」は、市内外より過去最高となる471名の参加者を得て、地域の皆さんのご協力のもとで開催され、無事、成功裡に終了いたしました。
次年度におきましても、食や景観など魅力ある地域資源を活用した大会として市内での開催を計画いたしております。

さらに、昨年6月に包括連携に関する協定を締結した至学館大学とスポーツ分野での具体的な連携について協議し、「健康づくり」や「アスリート育成」など、同大学で培われた健康スポーツ科学の知見を活かした「にぎわい創出」につなげるための必要な環境整備に向けた調査・研究を進めてまいります。

このページのトップに戻る

令和6年度主要施策について

次に、「第2期長期総合計画」に掲げました基本政策の体系に沿い、そのほかの主な施策概要をご説明申し上げます。

①"絆"が実感できるまち(自治・協働・定住)

はじめに、自治・協働・定住の分野「"絆"が実感できるまち」でございます。

「自治・協働の推進」では、自治振興センターの施設の維持や、一層の機能向上を図るとともに、地域コミュニティや生涯学習の推進に不可欠な自治振興区の活動を積極的に支援してまいります。

「人権尊重社会の実現」では、人権尊重の意識を高め、人権教育を推進するため、地域における人権学習会の充実や人権講演会のオンライン配信などを活用し、多くの皆さんの人権尊重の理念に関する理解と認識を深め、人権尊重思想の普及・高揚を図ってまいります。

また、「男女共同参画社会の実現」につきましては、「第2次男女共同参画プラン」に基づき、性別にかかわらず一人一人の個性を尊重し、個人の能力を十分に発揮できる社会の実現に向け、セミナーを開催するほか、パートナーシップ宣誓制度を導入するなど、多様性を認め合う意識の醸成に努めてまいります。

「定住の促進」では、引き続き、帰郷・新規転入の促進や若者の定住支援事業等を通じて、本市で暮らす若者の定住及び市外からの新規定住希望者の移住定住を促進してまいります。

「効果的・効率的な行財政運営」では、本庁支所間におけるオンラインでの住民相談窓口の試験的導入や窓口申請などの    行政サービスのオンライン化拡大などに取り組み、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる仕組みを導入してまいります。

公共施設の維持管理につきましては、「公共施設等総合管理計画」に基づき、行政サービスを安定して効率的に提供するため、支所庁舎の改修や、役割を終えた施設の計画的除却に努め、公共施設の適正な管理に取り組んでまいります。

②"にぎわい"が実感できるまち(産業・交流)

次に、産業・交流の分野「"にぎわい"が実感できるまち」でございます。

まず、「農林水産業の振興」では、農業者の減少や耕作放棄地の拡大を受け、農地の集約化などが喫緊の課題となる中、農地利用状況の明確化と、農地の集積・集約化などの推進を図るため、「地域計画」を策定いたします。

また、農業生産活動の維持のため「中山間地域等直接支払制度」などに、継続して取り組むほか、酪農業における飼養頭数拡大や生産基盤の強化に対する支援を通じて、農畜産業の持続的発展に努めてまいります。

林業の分野では、手入れの行き届かない森林について、市が森林所有者から経営管理の委託を受け、公的に管理する森林経営管理制度を有効に運用し、森林資源の適切な管理につなげてまいります。

「商工業の振興」では、地域経済の発展や市内の商業機能の維持を目的に、中小企業者等を対象とした事業継続や創業に向けた支援策を展開するとともに、まちなか活性化補助金等により、引き続き、地域の事業者を支援し、域内の経済発展を促進いたします。

「観光交流の推進」では、市内観光産業の一層の活性化を図るため、交流宿泊施設「桜花の郷 ラ・フォーレ庄原」の設備更新や国営備北丘陵公園、オープンガーデンなど、「花と緑」の観光資源を連携させた周遊観光の促進などを通じて、市内誘客に力を入れ、観光地域づくりを推進してまいります。

③"快適な暮らし"が実感できるまち(環境・基盤・交通・情報)

次に、環境・基盤・交通・情報の分野「"快適な暮らし"が実感できるまち」でございます。

「生活基盤の整備」では、平成30年災害から続く復旧事業の進捗により、これまで抑制しておりました市道改良工事に着工をいたします。
また、都市計画道路「本町板橋線」の測量設計や都市再生整備計画における庄原地区3期事業「西浦下線」の道路の拡幅・美装化など、市街地の活性化につながる主要な道路の整備を行うことで、都市機能の充実と更なる利便性の向上を図ってまいります。

上水道事業につきましては、昨年4月から広島県水道広域連合企業団により効率的な水道事業を実施しており、今後も引き続き、企業団に参画することで、安心・安全な水の提供と将来にわたる負担の軽減に努めてまいります。

併せて、下水道事業につきましては、新年度より、農業集落排水事業と浄化槽整備事業の各会計を下水道事業会計と統合するとともに、処理施設等の長寿命化を図り、生活環境を維持してまいります。

「生活環境の向上」では、引き続き「利用促進への市民参画」、「生活交通としての利用促進」、「市外からの乗客の呼び込み」を柱とし、JR芸備線・木次線の利用を促進いたします。
また、市営バスの車両更新により、安全な運行を継続すると共に、既存の交通体系に加え、デマンド交通事業の実施を通じて、移動ニーズに対応した持続的な交通体系の維持を図ってまいります。

「住宅施策の推進」では、「公営住宅等長寿命化計画」に基づき、第一川東公営住宅及び刈屋公営住宅の建設等を進め、計画的な市営住宅等の整備による生活環境の充実に努めてまいります。

また、空き家対策につきましては、「空き家等対策計画」に基づき、総合的かつ計画的な事業を展開するため、空き家等の実態把握を進め、指導助言を行いながら、適切な管理を促す啓発活動等を推進いたします。

「生活の安全確保」では、備北地区消防組合の本部庁舎移転改築費を負担し、消防救急施設の機能拡充を図るとともに、市におきましても「広島県総合行政通信網」を、県と連携して整備することで、非常時への対応を強化し、市民の生命・財産を守ってまいります。

「平和事業の推進」では、G7広島サミットの開催による平和意識の高まりを契機とし、「庄原市平和推進条例」の理念の尊重と、戦争・被爆に関する記憶・記録の次世代への継承などを通じ、非核平和に対する啓発を推進いたします。

「環境衛生の充実」では、旧東城ごみ焼却施設を解体撤去し、安全性や利便性に配慮したストックヤードとしての再整備を進め、快適なまちづくりをめざしてまいります。

④"あんしん"が実感できるまち(保健・福祉・医療・介護)

次に、保健・福祉・医療・介護の分野として、「"あんしん"が実感できるまち」についての取り組みでございます。

「子育て支援」では、子育て世代包括支援センターなどによる、切れ目のない支援を継続しつつ、子どもたちの安全と保育環境の充実のため、市内保育施設の修繕や改修を実施するとともに、整備を進めております板橋小学校や東城小学校の子育て支援施設につきましても、計画的な事業執行に努めてまいります。

「高齢者の自立支援」では、介護保険制度の円滑な運営とサービス提供体制の確保を図るため「第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、フレイル対策や重度化予防に努めると共に、医療、介護、地域との連携、協働による地域包括ケアシステムを推進いたします。

また、第9期計画におきましては、介護給付費準備基金を活用することで、第8期計画と比較し、介護保険料を引き下げることといたしており、引き続き、高齢者に必要な介護サービス体制の確保と、市内介護事業所等の人材確保・定着に向けた支援を継続してまいります。

「障害者の自立支援」では、障害福祉サービスの提供や自立支援医療費及び補装具費の給付など、障害者の自立した日常生活が保たれるよう、障害者福祉の充実と社会参加を促進する施策を継続するとともに、「第4期障害者福祉計画」の策定により、障害者福祉の更なる推進を図ります。

「地域福祉の向上」では、地域の支え合い活動を広げ、住民の支援ニーズに対応した「重層的支援体制」を整備することで、連携と支え合いの仕組みづくりをめざしてまいります。

「健康づくりの推進」では、「健康づくり推進計画」に基づき、生活習慣病予防や食育の推進を目的として各種健診事業や、健康教育・相談等の啓発事業等を実施し、市民の健康づくりを推進いたします。
また、インフルエンザをはじめとする感染症の予防や重症化の防止に対応するため、予防接種に要する費用の助成などを通じて感染症対策の充実を図り、市民の皆さんの健康な生活を支えてまいります。

「医療の充実」では、引き続き、庄原赤十字病院や西城市民病院など基幹的医療施設における救急医療体制の維持・充実を図り、一層の地域医療体制の確保を図ってまいります。

「社会保障制度の適正運営」では、生活困窮者に対する自立支援策の強化を図るため、「自立相談支援」を行うとともに、新たに「ひきこもり支援ステーション事業」を実施するなど、支援事業の拡充に努めてまいります。

⑤"学びと誇り"が実感できるまち(教育・文化)

最後に教育・文化の分野「"学びと誇り"が実感できるまち」でございます。

「学校教育の充実」では、「学校施設長寿命化計画」に基づき、東小学校の改修工事に着手し、より良い学習環境の整備を行うとともに、給食調理場の施設改修や設備の更新により、引き続き、安心・安全な給食の提供に努めます。
また、学校給食会等に対し、学校給食費負担軽減支援金を交付し、保護者の経済的負担を軽減いたします。

「芸術・文化の推進」では、改修が完了いたします田園文化センターや口和郷土資料館など、生涯学習施設の一層の利用促進を図ることで、本市の芸術・文化の振興につなげてまいります。

「スポーツの推進」では、「第2期スポーツ推進計画・後期計画」に基づき、スポーツを通じて豊かで活力に満ちた社会形成を推進するとともに、スポーツ合宿等で利用されている道後山高原合宿センターへのエアコン設置など施設の整備を進め、生涯スポーツ社会の実現をめざします。

このページのトップに戻る

おわりに

以上、令和6年度の主な施策・事業についてご説明申し上げました。

さて、現在の社会経済状況につきましては、日本銀行の統計調査によりますと、円安の影響もあり大企業の業況判断は改善傾向とされている一方、長引く物価高騰により、家計の負担感が強まっており、こうした国民生活への支援策として、国は昨年12月に「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」を発表いたしました。

これまで、低所得世帯や低所得の子育て世帯への給付が開始され、本年6月からは課税層を対象とした定額減税による家計支援も実施されることとなっております。
こうした国の経済対策につきましては、迅速かつ確実に取り組みを進めてまいります。

本市の最重要課題である人口減少対策につきましては、関係人口に着目した取り組みとして、昨年から本格的にスタートを切りました「庄原ファンクラブ」事業に加え、令和6年度からの新規事業として、「庄原いちばんづくり留学」事業を進めてまいります。
この「庄原いちばんづくり留学」は、本市の強みである里山環境を活用した農林業体験などを一つの要として、「留学生」として全国から若者を呼び込み、将来の定住を促すものでございます。
また、こうした「留学生」などの若者世代に、積極的に本市のまちづくりに参画していただき、新たな発想を取り入れつつ、地域の活力の創出につなげてまいりたいと考えております。

さらに、県立広島大学庄原キャンパスは、人口減少が進む本市において、欠かすことのできない大きな存在でございます。
平成元年、広島県立大学として開学されて以来、平成18年には改組後の県立広島大学と「包括的連携・協力に関する協定」を締結し、以後、共に地域の課題解決や政策研究に取り組んでまいりました。

今後、少子化の進行が予測される将来において、本市における庄原キャンパスの存在は、若者の活力を活かしたまちづくりを進める上で、非常に重要となると考えております。

この地で築かれてきた大学の歴史を振り返るとともに、改めて学生・教職員の方々と市民の皆さんとの交流により、将来にわたり強固な関係を維持してまいります。

また、新たに地域住民と協働した地域活性化やにぎわい創出に繋がる取り組みを行うことにより、共に次代につながる活力あるまちづくりにつなげてまいります。
さらには、JR芸備線につきましては、新たに設置された「芸備線再構築協議会」の場に移行することとなりますが、引き続き、市民の皆さんや、県をはじめとする沿線自治体と協力・連携しながら、広域的な見地での芸備線の必要性をしっかりと訴えるとともに、木次線を含めた利用促進につながる様々な取組を展開してまいります。

結びとなりますが、令和3年4月、市民の皆さんからの負託を受けまして、3期目の市政のかじ取り役を仰せつかり、3年の月日が経過しようといたしております。

この間、加速する人口減少、甚大な被害を受けた豪雨災害からの復旧、また世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大、さらには国際紛争に端を発した物価高騰など、課題に向き合うなかで、その克服に全力を注いでまいりました。

そうした中でも、長年の悲願でございました、市内での製材工場の稼働により、庄原産材の有する価値がブランドとして確立され、市内の林業事業体に経済効果をもたらす「儲かる循環型林業」の展望が開けてきたと実感いたしております。

これまでも、比婆牛ブランドの復活、市内産科医療の再開など、本市の将来の姿を思い描き、粘り強く努力を積み重ねることで、困難や課題を乗り越え、政策の実現を果たしてまいりました。

今後の10年先におきましても、本市がにぎわいと活力にあふれ、安心して過ごせる「まち」を創り上げるためには、市民の皆さん方との協働が欠かせないと考えております。

市民とともに手をとり助け合い、将来を担う若者や子どもたちとともに、 

「やっぱり、庄原がいちばんええよのぅ」

と、実感できる故郷の実現に向けて、市政を預かる者としての責務を果たしてまいる所存でございます。

議員各位、並びに市民の皆さんのご理解とご協力を心よりお願い申し上げ、令和6年度の施政方針といたします。

なお、予算以外の議案として、「庄原市介護保険条例の一部を改正する条例」など、条例案12件、そのほか「庄原市教育委員会委員の任命の同意について」など、15件を提案いたしております。
どうか、慎重なご審議をいただき、ご議決を賜りますようお願いいたします。

このページのトップに戻る

※「用語解説」のご連絡については、ウェブリオまでお問い合わせください。