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平成21年度施政方針

2月23日(月)に開催された市議会本会議において、滝口市長が平成21年度の施政方針を述べました。

平成21年度施政方針

(写真:本会議場で施政方針演説をする滝口市長)

平成21年第2回庄原市議会定例会の開会にあたり、市政運営に取り組む一端を申し上げ、議員各位ならびに市民の皆さんのご理解、ご協力を賜りたいと存じます。

時の移ろいは早いもので、平成14年12月に旧庄原市の市長として初当選以来、市政に携わり6年余り、合併し新庄原市の初代市長として4年が経過しようとしております。

「受けつぎて国のつかさの身となれば忘るまじきは民の父母」、上杉鷹山が米沢藩上杉家の第9代藩主として家督を継いだ時、任に就く決意を和歌に託して詠んだ歌でございます。

合併により西日本一の面積となる中で、私は、鷹山の姿勢を模範とし、常に「市政の基本は市民」との認識のもと、市民を起点とし「何もしなければ何も変わらない」ことを自覚し、市民の皆さんが「満足と幸せ」を感じる市政運営であるよう、心がけてまいりました。

中国唐代の詩人、李益は「光陰矢の如し」と、過ぎ行く時の速さを表しておりますが、「無為に時を送るな」という戒めの意味も含んでおります。

私自身、自分で申し上げるのも憚れますが、この4年間、至らざるを反省しながら、足許を見つめつつ、ひたすら走り続けてまいった思いであります。

新市誕生からこれまでを顧みますと、全国的な地方分権社会の進展や、地方の切り捨てとも言える「構造改革」と「三位一体改革」の潮流の中にあって、新市初代市長として、財政再建と地域活性化、「一体感の醸成」と「一体的な発展」に向けた「新しいまちづくり」に奔走し、「お互さま」と言える「協働」と「補完」の共生社会の実現に邁進した4年間であったと感じております。

この間、各方面から温かいご指導、ご助言を頂きながら、市政運営の重責を担わせて頂きました。市民の皆さんをはじめ、多くの皆さんと意見交換を重ね、「今、真に求められていること」の把握に努め、特に、めざす共生のまちづくりの種を蒔くことに心を砕いてきたところでございます。

今日、市政の様々な場面で、協働と補完の種から共生の芽が徐々に、そして着実に伸びつつあることを実感いたしております。これもひとえに市民並びに議員の皆さんのご支援と、ご協力の賜物であると心から感謝申し上げます。

社会状況を振り返りますと、昨年も、痛ましさや憤りを感じる、多くの事件、事故が発生いたしました。

5月には、中国四川省で直下型地震としては世界最大級規模の大地震が発生し、死者・行方不明者は9万人以上、中でも学校校舎の倒壊による児童・生徒の死者数は、その2割以上にも、のぼっております。改めて、自然災害の脅威を認識するとともに、犠牲者の方々に哀悼の意を表し、一日も早い復興をお祈りいたしております。

命の大切さと「人の命を守るのは人である」ことを強く再認識し、耐震化対策が必要な保育・教育施設など、できるだけ早く改修を終えたいと考えております。

友好都市綿陽市におきましても、多大な被害が発生いたしました。被災者支援のため、義援金や街頭募金の呼びかけに対して、市民の皆さんから暖かいご支援を賜りましたことに、改めて御礼を申し上げます。

一昨年の牛肉偽装などに引き続き、6月には中国産ウナギや飛騨牛の産地偽装、9月には「事故米」の食用転売、今年にはいってからも中国産タケノコの産地偽装が発覚するなど、食にまつわる不祥事が相次ぎ、儲け主義に傾倒した経営感覚による事件に、「またか」と強い憤りと失望を感じております。

農業を基幹産業とする本市は、農業算出額が県内1位であり、いわば広島県の穀倉地域でございます。私たちは、安心・安全な食糧の生産・供給を行うことへの努力は当然でございますが、消費者の方々にも「新鮮でおいしく、安全な庄原の農産物をたくさん食べて頂きたい。」それが、農業・ふるさとを守り、農村と都市との共生、そして「美しい日本」の創造に繋がることを認識して頂きたいと考えております。

「実例は教訓にまさる」と申します。様々な事件や事故、あるいは成功や失敗の事例の中に潜む本質を捉え、市政に活かし、メッセージを発し、さらに、新たな発想と挑戦への道筋とする姿勢が、まちづくりの視点として重要であります。

それでは、平成21年度における市政運営について、基本的な考え方を述べさせて頂きます。

まず、財政の健全化についてでございます。

国優先の財政改革、都市偏重の構造改革は、今なお本市の行財政に重くのしかかっており、将来に亘って持続可能な行財政運営を行うため、「行政経営改革大綱」や「財政運営プラン」の着実かつ計画的な実施に努めるとともに、「入るを量って出ずるを制す」という財政の基本認識のもと、歳入の確保と歳出の削減を同時に行ってまいりました。

こうした努力の結果、平成19年度財政推計では、実質公債費比率が平成20年度決算から平成24年度決算まで、早期健全化基準の25%を上回ると推計しておりましたが、平成20年度決算見込みにおける23.5%がピークとなり、以後低下する見込みでございます。

しかし、財政指標において好転の兆しはございますが、平成21年度当初予算の財政状況見込みでは、経常収支比率99.1%、実質公債費比率22.7%と依然として厳しく、人件費など経常経費の徹底した削減と簡素で効率的な行財政運営を図るため、不断の努力を行うとともに、引き続き、自治体間の財政格差の是正を、国に強く求める必要がございます。今後とも、財政健全化法に基づく財政情報の公表・公開を徹底するとともに、着実に財政の健全化を図ってまいります。

次に、「一体感の醸成」と「一体的な発展」についてでございます。

私は、市長就任以来、「一体感の醸成」を図る中で「一体的な発展」をめざすことが、新市の進むべきまちづくりの方向である、との認識をお示ししてまいりました。

「一体感の醸成」は、合併したそれぞれの地域の文化や歴史、資源、特性、実情、実態などの違いを理解し、お互いが「受け入れる」という寛容さを持ち、協調、融和へと発展する中で「一体感」が育まれるものと考えており、自治・経済・教育・福祉・環境活動など多種・多様な場面を通し、市民間・地域間相互の交流が促され、「一体感の醸成」が次第に培われていくものと認識いたしております。

「一体的な発展」に向けては、保健・福祉・医療・教育などの行政サービスは均一的・画一的に行ってまいりますが、道路や上下水道、生活交通などの都市基盤の整備や産業振興などは、地域の実情を十分に把握し、実態に即した事業を展開する必要がございます。地域性に応じたまちづくり・地域性を活かしたまちづくりを進め、相互が連携して機能・役割を補完・充足することにより、市域全体がまとまりをもって発展することであると考えております。

「一体感の醸成」と「一体的な発展」を、立ち止まることなく進めるためには、「長期総合計画」を着実に実施することと認識しており、「後期実施計画」では、学校・保育所の耐震化対策など、喫緊の課題事業のほか、地域性を十分考慮し、都市・農村機能の充実・強化、重点プロジェクトなどを中心に、施策・事業を選択し、集中して実施するよう現在、策定中でございます。今後、市民の皆さんのご意見をお伺いしながら、計画の取りまとめを行ってまいります。

また、昨年度から取り組んでおります「クラスターのまち実現プロジェクト」では、地域の発意に根ざした持続的な事業に取り組んでおり、高野地域においては、広域連携軸である尾道松江線の開通を視野に入れた地域づくり、口和地域においては「音」に特化した事業に取り組むなど、すべての地域において、地域資源を活かした特徴的な事業を行い「ふるさと」づくりを進めております。

個性を発揮し、有機的に結び・連携・発展することにより、市域が一体となったクラスター型の未来都市形成をめざし、意欲的に取り組んでまいります。

こうした中、ふるさと応援寄付金につきましては、平成21年1月末時点で、7百万円にものぼる寄付申込を頂いております。庄原市を離れた多くの方々の、「ふるさと庄原市」に貢献したい、応援したいという、温かいお気持ちに感謝を申し上げると共に、それに答えるべく「懐かしく、心なごむ、ふるさと庄原」づくりに努めてまいります。

「協働」と「補完」の共生社会の実現についてでございます。

かつて農村社会では、田植え作業・水路の清掃といった農作業や、屋根の葺き替え・橋の整備・冠婚葬祭など、生活に係わる共同作業を通じ、助け合い、支え合うことが、「当たりまえ」として認識され、人は集い・語らい・苦楽を共にし、心豊かな暮らしを営んでまいりました。しかし、高度経済成長の中で、経済的に満たされた生活実現の代償として、日々の共同作業で育まれた豊かな感性や、地域とのつながりを少しずつ失い、それに伴って「自らの地域は、自ら考え、自らが守り、自らが創る」という地域の自治機能も低下いたしました。

私は、失ってしまった日々の協働の営みと、その心を呼び戻し、行政と地域と市民が共に助け合い、協力し、知恵を出し、汗を流しながら課題を解決し、「お互いさま」と言い合える共生社会を理想とし、この実現のために協働と補完の取り組みの中で、「新たな公」の創造をめざしてまいりたいと考えております。

市民一人ひとりの課題解決の起点を自らとする「自助」、自らでは解決できない場合は家族、さらには隣近所や自治会、自治振興区が解決する「互助」「共助」。それでも解決できない場合は市が対応する「公助」という「補完性の原則」を基本とし、市民一人ひとりのニーズに的確に応えるために、市民にもっとも身近な自治振興区を「新たな公」として地域づくりの担い手と位置づけ、行政との協働により、きめ細く・柔軟かつ迅速に市民ニーズに応えることが、市民の満足度を大きくいたします。このために、自治振興区が自主性と主体性を発揮し、「新たな公」として「互助」「共助」の能力・機能を、将来にわたって継続的に発揮できる組織となるよう、自治活動支援や自治組織運営支援のほか、自治振興区の総合相談窓口の設置や自治振興区体制の強化、活動拠点としての公民館の自治振興センター化など、「市民が主役のまちづくり」を積極的に進めてまいります。

次に、平成21年度において取り組む、重点施策について申し述べさせて頂きます。

第一には、景気対策でございます。

小泉・竹中政権は「アメリカ型資本主義」こそが日本経済のお手本であるとして「グローバル・スタンダード」という美名のもとに囃し立て「構造改革」を断行しました。しかし、社会学者エズラ・ヴォーゲルが「ジャパンアズナンバーワン」と提唱し、アメリカの有識者からも褒めたたえられた日本型経営や富の再分配構造、セーフティネットを破壊し、さらには格差社会の発現など、国民生活に多大の混乱をもたらしました。小泉政権以降、参議院選挙の大敗による「ねじれ国会」や「安倍」「福田」と続いた政権の「投げ出し」は、まさに「効率性の優先、地方切り捨て」の構造改革政策に、誤りがあったことを露呈させるものでございます。

続く麻生政権も「政局より政策」との呼び声にもかかわらず、早急な景気対策が打ち出せず、国民の批判を受けた定額給付金も、所得制限をめぐって紆余曲折し、地方自治体の経済対策の取り組みが先行する有様であります。

景気後退と国民の不安が暗雲のように広がる今こそ、セーフティネットの構築など、国民の生活安定を第一とした政策を、しっかりとした理念をもって着実に実行すべきと考えております。

一部企業ではこれまでの好景気により空前の内部留保をする一方で、業績悪化のみを理由として雇用の削減を行い、額に汗して働く労働者の働き場所、さらには寝る場所すらも奪っており、こうした企業の社会的責任の放棄は、将来、日本の歪みとして顕著化し、大きな混乱を招くのではと懸念しております。また、融資と投資と投機が絡み合う現在の経済・金融システムは、「カジノ資本主義」とまでいわれ、人が生き・人を救うための経済が、人の犠牲の上に成り立つ経済社会となったことは、決して容認できるものではなく、国における迅速かつ適切な対応を強く望んでおります。

世界をリードするバラク・オバマ・アメリカ合衆国大統領は、就任演説で、「監視しなければ市場は制御不能となることも判った。富める者だけを優遇していては国家の繁栄は、長く続かないことが再確認された。」と、経済問題を前面に打ち出し、市場原理至上主義を厳しく糾弾し、豊かさの価値判断は物ではないとして、物から心への変革を求めています。

「改革なくして成長なし」として突き進み、国民を塗炭の苦しみに追いやった構造改革ではなく、オバマ大統領が唱える「真の変革」が、人を幸せにする、物から心への大いなる変革となることを、真に期待いたします。

先の麻生首相の施政方針演説では、小泉構造改革路線からの転換を鮮明にし、「新しい日本」「新しい世界経済のルール」「新たな成長戦略」「新たな農政改革」など多くの政策に「変革」を掲げておりますが、「国民のための変革か」、「地方に目が向けられた変革か」を凝視し、地方からも政策に対して、声を強く発してまいりたいと考えております。

市内でも昨年9月以降、廃業や従業員・派遣労働者の解雇が進むなど、暮らしの安心が脅かされている市民、資金繰りに苦しむ中小企業・小規模事業者の実態が明らかとなり、地域経済への影響を強く懸念しております。

こうした厳しい時だからこそ、行政が先頭に立ち、市民の皆さんや事業者の皆さんを、不況という厳しい寒風から守らなければならないと、昨年12月に県内で2番目に早く緊急経済・生活支援対策本部および相談窓口を設置し、緊急生活安定資金の特別枠拡大など、迅速な対応に努めてまいりました。また、1月には市民生活支援や中小企業融資の無利子化のほか、21年度事業の前倒しを含む道路改良工事・施設修繕などを盛り込んだ3億1,978万2千円の第1次緊急経済・生活支援対策事業を実施いたしました。加えて、2月の国の第2次補正を受け、地域活性化・生活対策臨時交付金により、商店街活性化対策や農業担い手対策、21年度事業の前倒しなど、総額12億8,815万1千円の第2次緊急経済・生活支援対策事業の実施を予定しております。

新年度では、ふるさと雇用再生特別交付金事業や緊急雇用創出事業により、産業・観光・環境など、多分野にわたった雇用の場の確保も予定し、今後とも、国・県の経済対策や新成長戦略の動向も見極めながら、引き続きソフト、ハードの両面から地域経済の下支えを行ってまいります。

第二に、重点戦略プロジェクトの推進でございます。

経済的に豊かな暮らしを実現した反面、多くのものを失ってしまいました。ひとつは共生社会の実現の項でも触れました、「心の豊かさや地域のつながり」であり、もうひとつは「さとやまが織り成す美しい風景」でございます。

現状の水田・山林は耕作放棄地や放置林が散見され、かつての風景を取り戻すことは容易でないことは、ご理解頂けるものと存じますが、積み重ねた歴史、豊かな経験、清らかな水、肥沃な土地、豊富な森林など、賦存する資源と、潜在する生産能力は膨大なものがございます。折しも、世界同時不況により国内景気は悪化し、本市においても厳しい状況でございますが、景気悪化の影響を受けにくい「みどりの環経済戦略ビジョン」が掲げる3つのプロジェクトの推進と、こうした地域資源の活用は、関連産業の活性化と雇用の場の拡大、まちの賑わいと足腰の強い地域経済構造の構築へと発展し、さらには「美しいふるさとの再生」へと繋がるものでございます。各プロジェクトでは、農産物直売事業の出荷農家数や出荷量の増、和牛共同飼育の拡大、バイオマスストーブ・ボイラーの導入、木材からリグニンなどを製造するプラントの建設着手、バスツアーの実施、定住の実現など、少しずつではありますが成果が現われ、着実な手ごたえを感じているところであり、地域再生の足がかり・先導的事業として、今後とも積極的・重点的に展開してまいります。

次に平成21年度予算編成の基本方針について、ご説明いたします。

景気の後退が鮮明となる中で、市税、とりわけ法人市民税の落ち込みが予想されますが、地方交付税は、自治体の雇用創出対策などに充てるための特例加算が措置されるとともに、臨時財政対策債の発行可能額の増大により、実質的な地方交付税総額では増額を見込んでおります。

少子高齢化による扶助費の増は、社会的・構造的な課題であり、人件費や公債費などの経常経費と、委託料・使用料などの物件費は、徹底した圧縮削減に努め、「同じサービスであれば、コストを削減」、「同じコストであれば、サービスを向上」の基本認識のもと、簡素で効率的な行財政運営を図り"誰もが「しあわせ」を実感し、人も地域も輝くまちの創造"の実現に向け、保健・福祉・医療、教育、文化、都市基盤整備の充実はもとより、地域づくりや緊急を要する施設への集中投資、農業・産業分野の重点化など、選択と集中により執行効率を高めた予算編成としております。

なお、第2次緊急経済・生活支援対策事業につきましては、2月補正予算として提案させて頂きますが、既にご承認頂きました第1次緊急経済・生活支援対策事業分と併せ、平成21年度へ繰越して実施する事業分については、新年度当初予算(案)と一体的に、「長期総合計画」に掲げた基本政策の体系に沿って、主要事業等のご説明をさせて頂きます。

まず、協働の力で笑顔が輝くまちづくり自治・協働についてでございます。

市民の皆さんや自治振興区による協働の実践は、年を重ねるごとに充実し広がりを見せ、意欲と地域力の高まりの息吹を肌身に感じております。新年度でも、さらに協働の活動と意識が広く浸透するよう、地域的条件等に配慮した振興交付金や自治振興センターへの特別交付金、活動促進補助金の交付による活動支援のほか、コミュニティビジネスの起業支援、リーダー育成などを継続し、総合的な組織育成に努めてまいります。加えて、老朽化した老人福祉センターに代わるホール機能を有する「とうじょう自治総合センター」の建設へ向けた基本設計の着手や、高自治振興センターなど、活動拠点の改修を行います。

また、「協働のまちづくり」の実現の第一歩は、地域の夢をまとめることであり、その一つは「地域振興計画」の策定でございます。昨年度は自治振興区活動促進補助金により、27の地域の夢が「かたち」になりました。しかし、一方では補助金の活用がなされない、あるいは、計画がまだ策定されていない自治振興区もあることから、「地域の将来像を地域自ら描く・実践する」活動を促進してまいります。

さらに、こうした「協働のまちづくり」の基本理念を、包括的・体系的に具現化するため、市民と行政のお互いの役割と責任など、市政運営に関する基本的ルールを定めるために、協働意識の高揚を図りながら「まちづくり基本条例」の取り組みを引き続き進めてまいります。

「協働のまちづくり」や「一体感の醸成」を促すには、行政と市民との直接対話や情報共有、広報媒体が果たす役割は極めて重要であり、ふれあい市長室や市政懇談会の実施、広報紙の充実など、引き続きコミュニケーションの機会確保と、徹底した情報公開を図り、行政の説明責任の遂行と市民の皆さんの声を市政に反映させ、相互理解と信頼関係を深めてまいります。

合併以降、多くの行政施設が分散し、本庁舎は老朽化し狭隘で駐車場も不足するなど、市民の皆さんに大変ご迷惑をお掛けしてまいりましたが、周辺整備を残して庁舎建物が完成したことから、4月には統合して業務を開始する予定でございます。新庁舎は、利便性や事務連携による効率化はもとより、防災の拠点機能なども向上いたしますが、より一層、行政の中枢拠点としての機能を発揮していくために、「顧客志向」「成果志向」「マネージメント発想」という視点を改めて認識し、市民の満足度・市民の幸せの実現を目標に、生活の安心、心の拠りどころとして、親しみやすく、利用しやすい市役所となるよう、私も含め職員一丸となり行政運営を行ってまいります。

また、一人ひとりが命の尊さや人間の尊厳を認識し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会を実現することが、平和で幸福な社会をつくる礎となります。人権尊重・男女共同参画の社会づくりを進めるため、講演会・啓発イベントの開催・相談体制の充実などを図ってまいります。

組織機構は、市民の皆さんにわかりやすく、簡素で機能的・効率的であり、地域振興や新たな行政課題・市民ニーズに迅速かつ効果的な対応が行える体制として、見直しを行いました。本庁については、支所業務の支援、各支所との連携調整機能を確保する観点から、本庁企画課に地域振興係を設置するほか、県の農林水産事務所の本市設置にあわせ、農林畜産の部門別の窓口として畜産振興係の設置などを行います。支所においては、議員の皆さんや市民の皆さんの要望、提言にお応えすべく、すべての支所に現行組織は維持した上で、企画調整室を新設し、支所機能・組織体制の充実を図ります。

なお、西城市民病院を除き、平成22年4月に職員数598人までとする「定員適正化計画」は、現時点でその目標を達成しており、今後10年で現職員の約33%が定年退職する見込みであることから、これまでの基本方針に、広範な市域の管理や、持続的な行政機能確保の視点を加え、新らたな計画の策定に着手いたします。

県からの事務移譲につきましては、法改正などを待つものを除き77.5%の移譲事務を受けており、今後とも県と協議するなかで、総合行政の実現を図ってまいります。

平成22年3月末をもって失効する「過疎地域自立促進特別措置法」に代わる新法制定や、平成23年3月末に失効する電源立地地域対策交付金の継続を、全国市長会・内陸部振興対策協議会での活動などを通して、引き続き国県に要望いたします。

つづいて、さとやまの資源の活用で地域が輝くまち産業・交流についてでございます。

明治から大正初期にかけて、農村の救済と農業振興に生涯を捧げ農聖と称えられる石川理紀之助は、「樹木は祖先より借りて子孫に返すものとしれ」と、言葉を残しております。先人の汗と努力により、創り・守られた地域の資源を活かし、基幹産業や観光などの振興を図り、育て、次代を担う子どもたちに受け渡して行くことが必要であると考えております。

農業振興では、農業研修者への奨励金制度を創設し、新規就農の促進と農業後継者を育成するほか、庄原農業協同組合と連携して農産物の計画的な生産販売体制の強化を図り、小規模農業機械の導入支援など継続事業の実施と併せて、基幹産業の復興を推進いたします。

口和大月農村公園が尾道松江線の工事により買収されたことから、口和モーモー物産館に隣接して公園を整備し、併せて農産物加工場・駐車場などの増設を行い、尾道松江線の開通を視野に入れた施設を整備いたします。なお、平成21年度で第2期の「中山間地域等直接支払制度」が終了することから、制度の継続に加え、「農地・水・環境保全向上対策事業」の採択要件の緩和と予算の拡充を引き続き要望してまいります。

畜産の振興では、畜舎・堆肥舎など、家畜飼育施設の新増改築や転作田を活用した和牛放牧のための資材費助成、肉用牛肥育経営の安定化対策、庄原農協が実施している家畜導入資金への利子補給を新年度から行うほか、地域資源循環型農業の促進を図る家畜粗飼料生産など、既存制度の継続により生産から販売まで一貫した畜産の振興に努めてまいります。

林業振興では、木材の地産地消と住宅関連産業の活性化を図るため、地域木材を用いた住宅の新築などに対する奨励金制度を創設し、林業振興を進めてまいります。また、ひろしまの森づくり事業による公益的機能の維持・保全と、環境に貢献する森林整備の継続実施や、間伐材を小中学校の学習机や椅子に利用するなど、多面的に事業を展開いたします。

有害鳥獣の被害は年々拡大の傾向にあり、捕獲班による捕獲や防護資材・捕獲柵の購入助成に加え、「鳥獣被害防止計画」を策定し被害防止施策と実施体制などを検討いたします。

商工の振興では、地域内消費の喚起による商店街の活性化と併せ、市民の生活支援を行うため、プレミアム付商品券を発行いたします。また、イベント助成、空き店舗の借り上げや改装費に加え、新年度から既存店舗の改修も助成対象とするほか、東城では城下町の風情を残す市街地を活かし、にぎわいを創出する拠点施設の建築着手と運営組織の立ち上げを行うとともに、文化財的価値のある建造物を取得し、まちなみの再生と景観保全を図ってまいります。

中小企業の経営支援では、1月補正に計上いたしました中小企業融資の無利子化を、新年度も継続実施するほか、企業誘致を推進するため企業立地助成と、前年度に創設した企業誘致成功報酬制度の継続により、分譲用地の早期完売と雇用の拡大を図ることとしております。

観光交流施設等の充実では、西城陸上トレーニングセンター、総領田総の里スポーツ公園へのトイレ整備、ふるさとセンター田総と口和鮎の里の宿泊施設の大規模改修などを行ってまいります。

新たな地域産業の創出は、まつたけ山再生、どんぐりコロコロ豚など、これまで採択した県立広島大学研究助成事業の成果還元に、しょうばら産学官連携推進機構と協働して取り組み、地域資源や県立広島大学が有するシーズを活用した研究開発を、継続して支援いたします。

つづいて、自然との共生で暮らしが輝くまち環境・基盤・定住についてでございます。

循環型社会の構築では、行政・市民・事業者が相互に補完・協力し合うことで、豊かな自然環境の保全と創造を図る「庄原市環境基本計画」を策定しており、計画に基づく施策を積極的に推進してまいります。中でも、不法投棄対策では、監視カメラや警告看板の設置に加え、パトロール活動を強化することで、抑止効果と市民意識の向上を図り、快適な生活環境の保全に取り組みます。

また、水道給水区域以外の飲料水の確保は、井戸掘削の要望が多いことから、飲料水施設整備補助を、前年度より20基多い70基に拡大いたします。

市民生活を支える生活交通では、誰もが安心して暮らすことができる、持続可能な生活交通網を構築することが重要と考えております。昨年度策定いたしました「生活交通再編計画」に基づき、これまでの行政主導型から脱却し、事業者・利用者・行政・地域住民といった様々な主体が連携して、「地域で生活交通を創り、育てる」という意識の醸成を図る中で、利用者のニーズや実情などに応じて実施計画を毎年度見直し、生活交通路線の維持確保を図ってまいります。

地域情報化の推進では、ADSL・無線LANによりブロードバンドの整備を推進し、20年度末には約98%の世帯をカバーする予定となっております。また、衛星ブロードバンドの実証実験により、デジタル・デバイドの解消に、有効な手法であることが立証されたことから、新年度には整備助成を行い、全世帯で高速通信サービスが利用可能となるよう進め、自宅・事業所から直接行政手続きが行える電子申告・申請システムの整備も行ってまいります。平成23年7月に迫った地上アナログ放送の停波対策は、共聴施設の改修を計画的に進めているところでございますが、その他の難視聴地域は、新年度中に方向性を取りまとめ対策を実施する予定でございます。携帯電話につきましては、市内5地区で通話エリア拡大を図るほか、住民告知システムの具体化に向けた調査研究を進めてまいります。

道路の整備促進では、新設改良工事として東城戸宇後谷線ほか13路線を着工し、総領山家線ほか28路線を継続して整備いたします。このうち口和桑垣内線ほか6路線が完了の見込みでございますが、引き続き、継続事業の早期完成と未改良路線の早期着工に努めてまいります。また、高野地区にロータリー除雪車を整備するなど除雪対策の充実と、適切な道路管理に努めてまいります。

高速自動車国道や国・県道等の整備は、本市の均衡ある発展と地域の振興・生活の安心を支える上で、その役割はきわめて重要であり、中国横断自動車道尾道松江線、地域高規格道路「江府三次道路」、国道314号東城バイパス2期、県道中領家庄原線などの早期開通や着工を促進するとともに、地籍調査にかかる国の経費負担割合の拡大について、積極的に要望をしてまいります。

また、尾道松江線の開通に向け、地域の産業振興・文化の交流を図るため、交通安全・観光交流機能を備えた高野観光ターミナルの整備に係る実施設計などに着手いたします。

林道は、南古頃線ほか2路線、県代行事業の6路線を継続して整備してまいります。

農業基盤の整備は、生産コストの低減や効率化、収益の安定を図る上で不可欠な事業であり、西城法京寺地区および高野南地区、高野深石地区のほ場整備を継続実施し、東城小奴可2期地区ほか2路線の農道改良が完了の見込みでございます。また、ため池では、庄原高丸ため池に着手し、継続4事業のうち東城旧猫地ため池が完了の予定であります。

都市環境の整備では、庄原、東城、西城市街地の将来像を見据え、各地域の役割に応じた土地利用構想を検討しながら、用途地域や都市計画道路の見直しに着手し、さらに、東城市街地については、今後のまちづくりの指標となる、総合的なまちづくり計画を策定いたします。市街地内の道路整備では、庄原地区の新道裏線、東城地区の町屋小路線および駅前線支線の整備をいたします。

また、凍結しております庄原駅周辺地区の土地区画整理は、事業規模を縮小変更し、事業化への取り組みを進めてまいります。

公園整備では、庄原川手地区の水産試験場淡水魚支場跡地の公園化、東城中央運動公園、庄原北公園の施設改修、「上野総合公園事業計画」の見直しを検討してまいります。

水道事業では、庄原地区の「第7期拡張計画」に基づく小用・三協地区の給水区域の拡張工事に新規着手し、庄原市地区、川西地区の拡張と、簡易水道事業では、平成28年度の上水道事業への統合に向け、東城三坂地区、庄原別作地区の整備を進め、さらに西城取水場・比和浄水場の改修などを行い、安定した給水に取り組みます。

下水道事業では、東城市街地および庄原市街地周辺区域を対象とした公共下水道の整備と、高野湯川地区での農業集落排水の完成に向け、事業を着実に実施いたします。また、これらの集合処理区域以外については、引き続き合併浄化槽の整備により水質保全と快適な生活環境の実現を図ってまいります。

住宅整備では、庄原地区の1団地を公共下水道へ接続します。継続事業の口和中央ハイツは、1棟2戸の建設により事業が完了いたします。さらに平成23年5月までの設置が義務付けられております火災警報器は、庄原地区4団地、東城地区13団地を対象に整備することとしております。なお、雇用促進住宅のうち、庄原および東城宿舎160戸は平成23年度までに廃止が決定しておりますが、景気後退という現下にあっては、住宅セーフティネットの役割としての必要性から、平成22年度の取得に向けて準備作業に着手いたします。

防災面からは、本市の豊かな自然も時として大きな災害をもたらすことから、日頃の備えを欠かすことはできません。市民生活の安全を確保するため、河川の氾濫を想定した洪水ハザードマップの作成に加え、自力や家族支援だけでは避難が困難な方を支援するため、「災害時要援護者避難支援プラン」を策定してまいります。

消防体制では、梯子車の更新と東城消防署の改修など、常備消防設備の整備を図り、非常備消防では、防寒服の配備や東城竹森・戸宇の詰所・口和水防倉庫の整備、総領の小型ポンプ付積載車の更新などの整備を図ってまいります。

消費生活では、架空請求や振り込め詐欺などの消費生活全般に関する苦情・問合せに適切に対応するため、相談員を増員して週4日に相談対応を拡大し、また、防犯・生活安全は生活安全相談員を継続設置し、関係機関と協力・連携のもと相談体制の推進に努めてまいります。

つづいて、心と体の健康づくりで命が輝くまち保健・福祉・医療についてでございます。

産科・小児科・麻酔科など、特定診療科をはじめとした医師不足は、全国的な課題として深刻化し、庄原赤十字病院の産科医師の不在に対処する上においては、県が示した「医療の集約化」を当面、容認せざるを得ない状況であります。しかしながら、地域医療は、住民の生命・健康維持に不可欠なものであり、安心で信頼のできる医療を地域で受けられる体制の確保は国の責務であります。引き続き国に対しては、医師確保対策や特定診療科をはじめとした医師の適正配置。県に対しては、助産師を活用した院内助産所などの環境整備施策を強く要望してまいります。

医療および保健の充実では、庄原赤十字病院における産科外来診療体制の継続維持と併せ、妊婦一般健康検診の受診券を14回分に拡大し、新生児の聴覚検査費用の無料化など、安心して出産できる体制をさらに充実いたします。また、市民一人ひとりの健康を総合的に支援するため、福祉医療費の助成や健康検査、予防接種を継続するほか、乳幼児等医療費の受給対象者を小学3年生から小学6年生まで拡大し、さらに、はしか撲滅対策として、中学1年生と高校3年生に相当する年齢対象者の定期予防接種を実施いたします。

西城市民病院については、地方公営企業法の全部適用へ移行し、抜本的な経営改革と経営責任の明確化のもと、医療機能と体制の整備を図り、地域医療確保と持続可能な病院経営に努めてまいります。

施設面では、庄原赤十字病院と西城市民病院、口和・総領診療所および歯科診療所の医療機器更新、帝釈診療所・高野歯科診療所の施設改修に加え、健康増進施設の改修などを行ってまいります。

児童福祉の充実では、次代を担う子どもたちが健やかに成長し、また、子育てに夢と希望を持つことができるよう、子育ての支援施策の方向性や目標などを定める、「次世代育成支援後期行動計画」の策定に着手いたします。さらに、ファミリー・サポート事業での病後児保育の実施、経済的負担が大きい第1子の出産祝金の増額、粟田、八幡および小奴可の3クラブを新設し、永末クラブを新築、庄原第2クラブを増設するなど、放課後児童クラブを充実させ、地域の宝である子どもたちの子育てを支援してまいります。

保育所は、2ヵ年事業として予定されている私立東城小奴可保育所の建設補助を実施し、公設保育所におきましては、耐震診断の実施と、保護者の皆さんからご要望頂いております保育室へのエアコン設置や屋根・遊具などの修繕のほか、指定管理者制度の更なる導入に向けた取り組みを推進してまいります。

高齢者の自立支援では、福祉施策や介護保険制度を円滑に実施するため、新年度から「高齢者福祉計画・第4期介護保険事業計画」に沿って事業を実施し、特に、今期は、介護予防事業と地域生活支援体制の充実、認知症への対応を積極的に取り組み、中でも、人間の尊厳までも脅かす孤独死を防ぐために、地域実態に則した「見守りプラン」を全域で策定いたします。なお、介護保険料は制度改正や介護報酬の見直し、保険給付費の増加に加え、基金を取り崩している状況などを考慮し、新年度から改定してまいります。

障害者の自立支援では、福祉タクシー事業の対象者を身体障害者手帳4級所持者まで拡大するほか、一時的な施設利用に際しての食費負担の軽減、また、これまで助成対象でなかった旧体系の福祉事業所が行う送迎や、自家用車・バイクでの通所に係る助成制度の新設など、小規模事業所の運営支援も考慮し、障害を有する皆さんの自立と社会参加の促進に努めてまいります。

つづいて、ふるさとを愛する心で人が輝くまち教育文化についてでございます。

鈴木三重吉賞には市内小中学校で多くの児童・生徒の作文や詩が入賞し、一つひとつの作品の心情に触れ、大変感動いたしました。「確かな学力」が着実に身に付き、「豊かな心」が育っている現われであると思っております。

学校施設は、比和小学校屋体の建替え、東城粟田小学校屋体など4施設の耐震補強、西城美古登小学校木造校舎の耐震診断、庄原中学校の改築に向け耐力度・地質調査を行い、東城小学校校舎の整備計画と庄原小学校校舎の整備方針の策定など、耐震化対策を精力的に行ってまいります。また、東城八幡小学校校舎・西城中学校特別教室棟のアスベスト除去、高野中学校につきましては、県立高等学校跡の利用を検討いたしております。さらに、保護者の皆さんからご要望頂いております小中学校の空調整備や、屋根・床・カーテン・フェンスなどの修繕を全面的に実施いたします。

適正配置につきましては、今年から関係者のみなさんのご理解のもと、小奴可中学校を東城中学校に再配置いたしました。平成22年度から帝釈小学校を東城小学校、内堀小学校を東城小奴可小学校に再配置する予定としており、遠距離通学補助はもとより、児童・生徒の学習面・生活面において円滑な移行が行えるよう推進してまいります。また、児童・生徒の不慮の事故に備え、全ての小中学校にAED(自動体外式除細動器)を配備し、発達障害の児童・生徒への支援員の適切な配置にも取り組んでまいります。

生涯学習の充実では、自治振興センターは生涯学習委託事業、公民館は自主運営事業として生涯学習活動を継続推進し、地域づくり・人づくりの拠点として、学んだ成果の社会還元や地域課題の解決をめざす、住民主体・住民参画のまちづくりを積極的に進めてまいります。

人権教育では、市民の人権意識の高揚と人権教育の推進を図るため、各地域に人権教育推進委員を委嘱し、公民館・自治振興センターを中心に、学習会や講演会などを開催することとしております。

また、新年度では比和支所を利用し、地学部門の常設展示施設整備に向けた基本計画に着手するとともに、西城公民館空調設備や西城歴史民俗資料館・総領文化会館の屋根の修繕などを実施してまいります。なお、多様化する芸術・文化に関する市民ニーズに対応するため、庄原市民会館の管理運営を指定管理者制度に移行いたします。

文化財保護では、ほ場整備事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査を実施し、指定文化財の保存整備事業として、史跡などの説明看板の設置などに取り組んでまいります。

スポーツ振興では、各種スポーツ団体の育成とスポーツフェスティバルなどの各種大会の開催支援、スポーツ教室などの開催を行ってまいります。社会体育施設の環境整備については、庄原市運動広場の屋外トイレ、西城球技場管理棟整備、口和総合運動公園管理棟エアコン設置などを予定しております。

国際交流では、「国際交流協会」・「日中親善協会」への参画と支援を継続します。中国綿陽市との友好交流については、引き続き交流・協力事業を実施し、両市の繁栄と両市民の友好協力関係の発展を促進してまいります。昨年度は、震災により交流が中断いたしましたが、新年度は綿陽市行政関係者の招聘と、青少年の相互訪問を予定いたしております。

最後に、重点プロジェクトについてでございます。

農業自立振興プロジェクトでは、新規就農を促進するため、休校となっている学校施設を活用した農業研修者宿泊施設の整備、さらに昨年度、移転オープンいたしました産直販売八木店の店舗増改築を行い、営農指導や土づくりの推進など継続事業の充実と併せ、農家の意欲と所得が向上する取り組みを進めてまいります。また、プロジェクトの重要な一翼を担う農林振興公社に対しては、農作業受託業務に必要な農業機械の更新を実施します。

木質バイオマス活用プロジェクトでは、エネルギーの地産地消による環境にやさしいまちづくりと、「さとやま再生」をさらに推進するため、新年度から、庄原型のペレット製造事業を実施し、個人・事業所へのペレットストーブの購入補助の継続に加え、ペレットボイラーも補助の対象としてまいります。民間企業による林地残材からのリグニンなどの製造工場建設も、庄原工業団地への整備が進められており、完成により林業関連産業の振興と、新たな雇用創出に大きく寄与するものと期待をいたしております。さらに、森林資源の高付加価値化と、一連の流れを構築するバイオマス産業団地構想の実現に向け、引き続き関係者協議を進めてまいります。

こうした事業を展開する上において、経済復興施策と地球温暖化対策を同時に行うアメリカの「グリーン・ニューディール政策」や、日本の「低炭素革命」は、本市にとっては大きな追い風になるものと考えております。

観光振興では、休校となっている学校施設を活用した観光交流宿泊施設の整備や、さとやまの文化に直接触れることにより、多くの来訪者に感動と癒しを与える「2010庄原さとやま体験博」の開催を予定しており、具体的な準備作業に着手してまいります。また、庄原市観光キャンペーン実行委員会と連携して、多彩な資源を観光産業に結びつける「バスツアー100プロジェクト」を継続し、観光産業による地域の再生を進めてまいります。さらに、広島東洋カープを応援し球団との協力関係を築くため、新球場におきましても外野席を確保してまいります。

定住対策では、U・Iターンの促進を図るため、起業支援や空き家活用改修への補助、定住推進員による相談業務、さらに中国新聞社と提携し、庄原市出身者と庄原市を結ぶ、ふるさと応援団「エール庄原」の取り組みや、「地域の宝」である子どもの出生を心からお祝する、"こんにちは赤ちゃん"メロディーサービスと、カープ選手の手形色紙の贈呈を継続してまいります。

以上を主要事業として掲げ、予算編成を行いました。

平成21年度の一般会計の予算規模は、309億4,809万6千円となっており、平成20年度当初予算額を1.6%下回る内容となっております。なお、緊急経済・生活支援につきましては、総額16億793万3千円を計上いたしております。

新年度は市長選挙が実施されることから、「新しい体制のもとで予算編成される方が良い」とする考え方もございますが、世界的な同時不況は、本市においても直接的に市民生活や雇用の縮小・企業の廃業や活動の低迷など、目に見える形で地域経済の活力が失われつつあります。

地域内経済への「てこ入れ」と、市民生活支援の優先性を十分に認識する上においては、「切れ目のない」予算執行が必要と考え、実施計画に基づく事業のほか、社会福祉や教育施策の充実さらに、新産業の創出などへ向けた取り組みに重点を置いた、通年予算としております。

終わりに申し添えさせて頂きます。

「故郷は遠くにありて思うものそして悲しくうたふもの」

「帰るところにあるまじやひとり都のゆふぐれにふるさとおもひ涙ぐむ」

日本の近代化とともに大切なものを失い、切なくも悲しい郷愁の思いを託した、室生犀星の詩の一部でございます。

また、良寛の辞世の句とも言われる

「形見とて何か残さむ春は花山ほととぎす秋はもみぢ葉」と

の句に、手入れの行き届いた「さとやま」の情景と、その中でさんざめく子ども達の姿が脳裏に、彷彿して浮かぶのであります。

今、真剣に「ふるさと」に思いを馳せねば、取り返しのつかないことになると危惧しております。

「みどりの環経済戦略ビジョン」の推進による「ふるさとの再生」と「協働」「補完」による「お互いさま」と言い合える「共生社会の実現」により、失ったものを取り戻し、「いつでも戻ってきんさい」、「来てみんさい」と温かく迎え入れる「ふるさと」の創造をめざし、不撓不屈の精神のもとに、今後とも市政運営に全力を傾注してまいります。

議員の皆さん、市民の皆さんの一層のご支援と、ご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げ、施政方針とさせて頂きます。

なお、予算以外の議案として、「庄原市病院事業管理者の給与等に関する条例」など、条例案15件、「庄原市過疎地域自立促進計画」の変更など、その他51件を提案しております。

どうか、慎重なご審議を頂き、適切なご議決を賜りますよう、お願いいたします。

※「用語解説」のご連絡については、ウェブリオまでお問い合わせください。

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