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平成19年度施政方針

3月2日(金)の本会議において、滝口市長が平成19年度の施政方針を述べました。平成19年度施政方針

(写真:本会議場で施政方針演説をする滝口市長)

平成19年第2回庄原市議会定例会の開催にあたり、市政運営に取り組む所信の一端を申し上げ、議員各位並びに市民の皆さんのご理解・ご協力を賜りたいと存じます。

新生庄原市の初代市長という栄に浴し、またたく間に2年が経過いたしました。

顧みますと、地方分権の進展という時代潮流の中にあって、未来のまちづくりに夢を抱き、地域課題の解決を図るべく、全国的にも極めて広域な市として誕生いたしましたが、合併から今日(こんにち)まで、小泉政権、さらには安倍内閣に引き継がれた国優先の財政改革、都市偏重の構造改革が、本市の行財政運営に、重く、厳しくのしかかっていることを痛切に感じております。

日本各地で、悪質な飲酒運転や陰湿な「いじめ」、さらには児童虐待、親子でのトラブルなどにより、最も尊重・優先されるべき「いのち」が、安易かつ残忍に奪われ、起きてはならない、起こしてはならない事件や事故が相次いでおります。国民意識の荒廃を憂いてみても虚しいばかりですが、人も社会も現代の病に冒(おか)され、得たもの以上に大切なものを失いつつあることは事実でございます。

安倍総理が政権構想として掲げる「美しい国、日本」。その実現方針のひとつに、文化や自然、歴史を大切にする旨の記述がございますが、都市と農村が役割を担い、お互いが共存しながら構築された日本の文化や歴史を、今一度、振り返るとともに、共存・共生の意識を呼び覚まし、相互関係を守り続けることが、失いつつある「日本人のこころ」と健全なる国土構造を取り戻す第一歩ではないかと思うところでございます。

一方、昨年11月の内閣府発表による月例経済報告では、景気拡大が戦後最長の「いざなぎ景気」を抜いた旨を報じ、安倍政権が掲げる脱デフレ・成長主義の進展を印象付けております。しかし、労働者、中小企業をはじめ、国民生活においては「庶民に利益が還元されない景気回復」、まさに「実感なき景気回復」という矛盾を生じており、特に本市のような過疎化、高齢化の進む中山間地域においては、税収の伸び悩み、地域産業の低迷に加え、地方交付税等の削減が、景気動向のみならず、地域活力の低下に大きな影を落としているのが実情でございます。

北海道夕張市の財政破綻が「夕張ショック」として全国的に報じられ、本市におきましても、財政状況や今後の市政運営に関し、多くのご質問、ご意見、ご提言をいただきました。

本市の財政は、自主財源が乏しいがゆえに、社会情勢や国・県の政策による影響を受け易く、また、旧市町での事業にかかる起債償還や福祉・医療をはじめとする各年度の行政需要等に応じ、一定の制約を課された中で行政運営を行っており、厳しい状況は、合併の前後を問わず同様でございます。

ただひとつ確実なことは、「合併があったからこそ今がある」という点であろうかと存じます。合併補助金や推進交付金、合併特例債などの財政支援を重視するのみならず、すみやかに行政経営改革大綱、定員適正化計画を策定し、共通意識・統一方針のもとで事務事業・職員定数などの見直しに着手しておりますが、こうした行財政運営、組織経営の視点にもまして特筆すべきことは、全域的な自治振興区の設立によって、市民の皆さんの発想や力で多様な活動・地域経営が展開されているという点でございます。

私たちの暮らす地域で、「あたりまえのこと」として認知されていた家族や近隣での助け合いの「こころ」を回復し、市民、地域、行政による「協働」と「一体感」の意識に基づく実践活動が活発化することで、地域経営・行政経営の面でも新たな道が拓かれるものと確信しております。

夕張市の現実は、地方自治体を預かる者の一人として、極めて残念に存じており、不安や危機感を持たれる市民の皆さんの声も真摯に受け止めるところでございますが、本市と夕張市を比較するとき、合併の有無、議会の機能、人口減少の規模や速度、負債への対応など、根幹的な部分で多くの違いがあり、特に夕張市の破綻は、一時借入金を会計間操作で粉飾し、赤字隠しを行うという不適切な財務処理に起因していることから、本市においては、いたずらに不安をあおることなく、正しい情報提供と十分な住民説明、的確な対応方針の策定により、冷静に対処すべき事項と考えております。

いずれにいたしましても、本市の財政が極めて厳しい状況にあること、また、長期的な展望をもった財政運営の緊急的・抜本的な改善策が求められていること、さらには、夕張ショックを発端とした地方自治体の破綻報道が、図らずも市民の皆さんの行政運営・財政状況に対する関心を喚起したことは事実であり、こうした事例を教訓とし、多くの声に耳を傾けながら、持続的な自治体運営に向けて引き続き努力してまいります。

昨年12月の議会定例会におきまして、議員各位のご理解を賜り、庄原市長期総合計画の策定を完了いたしました。

合併後、最初の総合計画であり、新市建設計画の基本理念、将来像等を尊重するとともに、内容の整合にも留意しながら策定いたしましたが、社会背景をはじめ、それぞれの数値や指標が示すとおり、本市を取り巻く環境や現実は誠に厳しく、さらなる地域活力の低下も危惧される中で、特に本市の抱える深刻な問題として、人口の減少、基幹産業の衰退、財政状況の悪化を指摘し、各項目が相互に関係しながら右肩下がりへの悪循環を招いている旨を記述しております。

これらは中山間地域の抱える全国的な共通課題として認識され、本市におきましても、これまで長年にわたり、旧市町においてさまざまな方策を講じ、多額の資金を投入し、改善・脱却に向けた懸命な努力を続けておりますが、十分な成果に至っていないこともまた、不本意ながら事実でございます。

しかし一方では、日本統計協会による平成17年の推計人口42,600人に対し、実際は43,000人台を維持しているなど、一部においては、そうした努力が報われている実績もあることから、これまでの施策や成果を十分、検証し、見直すべきは見直しながら、新たな視点と強い意志を持って、これら深刻な問題に立ち向かってまいります。

本市が抱える深刻な問題の一点目、「人口の減少について」でございます。

本市の人口は、昭和20年代の92,000人あまりをピークとして減少を続け、昨年12月末日の住民基本台帳登録者は、43,153人となっております。各種の推計値においても、今後10年間で5,000人から7,000人の減少が予測されておりますが、基本構想では、10年後の目標人口を現在とほぼ同数の43,000人と設定いたしました。

策定段階から多様なご意見をいただき、極めて厳しい数値であることは理解しておりますが、人口の減少は、産業の低迷や市税・交付税の減収のみならず、地域活力に直接的な影響を与え、また、計画策定時のアンケートにおいて、市民の皆さんが強い不安を感じている項目のひとつであることから、市民ニーズの面からも最大限の努力を傾注しなければならない問題と考えております。

とりわけ、アンケート結果から、市内世帯の約半数に「転出している家族がある」ことが推測され、回答世帯の72パーセントが「家族の帰郷を望んでいる」ことから、本市出身者の帰郷、いわゆるUターン施策に重点を置くとともに、その成果に大きな期待を寄せているところでございます。転出した理由や帰郷できない訳は、さまざまあると考えられますが、「一緒に暮らしたい」との願いを叶えるために何より必要なことは、離れて暮らす皆さんの「ふるさとに帰ろう」という意識と、「帰ってこいや、待っとるよ」という帰郷を促す気運の醸成にあると思います。

おりしも「2007年問題」と称される団塊世代の退職が始まる今、生まれ育った「ふるさと」への望郷の念は、いつの時代にも変わらないことを信じ、家族や地域の想いを力に換える仕組みづくりに取り組んでまいります。

次に、「基幹産業、特に農林業の衰退について」でございます。

基本構想の中でも触れておりますように、農林業は、多くの市民がかかわる中で農村経済や農村環境を支え、その収入による消費活動が商業振興や市街地の賑わいを生み出すなど、地域における経済循環の基盤として成立していた歴史・背景から、現在もなお、本市の基幹産業として多くの市民に認知されております。

しかし、これまでの急激な社会経済情勢の変動は、本市の産業構造における農林業の経済的地位を相対的に低下させ、担い手の減少や高齢化を招き、現在では、市民生活や地域経済を支える力の低下が否めない状況にございます。

基幹産業の転換を図ることが困難な現状にあって、今一度、農村資源に目を向け、さらに高齢者や女性、自治振興区をはじめ、市民・地域が有する新たな力、埋もれた能力を集め、発揮できる仕組みづくりによって、農林業を中心とした地域産業の活性化に努めてまいりたいと考えており、その戦略的構想として、「みどりの環経済戦略ビジョン」を策定いたしました。

その趣旨は、本市の「強み」である農村・農林業資源を基底として失いつつある地域内の経済循環を取り戻し、市民所得の向上のみならず、市街地の賑わいや地域のつながり、人々の笑顔があふれる「住んでよし、訪れてよしの共生定住社会」を構築・形成しようとするもので、農林業の自立、木質バイオマス、観光・定住を柱としたプロジェクト事業を横断的に実践してまいります。

農業分野での一例として、昨年8月、株式会社庄原市農林振興公社を設立し、皆様のご理解・ご協力をいただきながら、新たな事業展開・企業活動を開始しており、一方では、地球温暖化の防止対策など、環境問題・資源循環型社会への関心・気運が高まりを見せる中で、本市においても、森林資源を活かした事業化や新産業創出への道筋が見えてまいりました。

これら産業の再生や創出、資源循環の発想は、すべて本市が有する自然環境や歴史、あるいは先人の知恵や営みといった地域財産の活用を前提としており、懐かしく美しい里山環境の再生と、地球規模で見れば小さな営みではありますが、地球温暖化防止対策にも貢献するものであると認識しております。そこで、本年を"里山文化ルネッサンス元年"と位置づけ、この戦略的プロジェクトの推進に努めるとともに、農林業を基軸とする循環型社会の形成・定住社会の復活をめざしてまいります。

次に、財政状況に関する問題でございます。

本市の抱える深刻な問題につきましては、その要因や解決策を探るとき、市民や地域、市行政では解決が困難ないくつかの項目が浮かび上がってまいりますが、地方交付税などの依存財源が80パーセントを占め、経常収支比率が95パーセントに達する硬直化した財政構造にあって、ここ数年の地方に対する国の財政措置は、まさに「地方切り捨て」に等しく、内部努力の継続のみならず、国土の均衡ある発展を可能とする財政調整機能の正常化を、あらゆる機会を通じて強く要請する必要があると認識しております。

今回、まちづくりの方針を示す長期総合計画とともに、財政運営に対する不安・懸念が高まる中で「持続可能な財政運営プラン」を策定し、併せて実施計画の見直しを行いました。

プランの概要は、既にご承知いただきますとおり、使用料をはじめとする市民負担金の見直し、各種補助金・委託料等の減額、各種事業の凍結や縮小、公共施設の一部休止、給与・報酬の抑制など、市民の皆さんはもちろん、私や職員、議員各位にとりましても、極めて厳しい内容・目標であることから、相当な覚悟をもって臨まなければなりませんが、これまでの市民負担金やサービス水準は、ほとんどが合併協議に基づくもので、県内他市と比較するとき、必ずしも劣った内容とは認識しておりませんし、見直しに際しては、他団体と著しい差を生じないよう配慮するとともに、一定期間、こうした取り組みを続けることで、財政基盤の安定が図られることをお約束するものでございます。重ねてご理解をお願いいたします。

財政運営プランを推進するうえで、懸念している項目のひとつが、市民の皆さんに収めていただくべき市税等の収納率が低下している点でございます。

平成17年度の現年分において、個人市民税が98.29%、固定資産税が96.45%と、いずれも平成16年度を下回っており、ほかにも国民健康保険税、普通徴収の介護保険料、保育料、住宅使用料などが96%以下、滞納繰越分にあっては、固定資産税の多額滞納も含め、極めて低位となっております。

17年度の調定額で単純計算した場合、市民税の1%が1,000万円、固定資産税の1%が2,000万円相当となりますが、これらは、貴重な財源として多くの皆さんに真面目に納付いただいており、滞納の発生は、市民負担の公平性を損なうこと、法律や契約に基づく納付義務のもとでは、理由の如何(いかん)を問わず許されない事項であることから、担当職員の増員や庁内対策組織の設置、民間の専門機関の活用などを含め、毅然とした態度でその解消に努めてまいります。

本市の維持・発展を図り、住民福祉の向上を進めるために、今後も多くの事業に取り組むこととなりますが、今、求められているのは、「どれだけのことをしたのか」という実績ではなく、どれだけの成果・効果が得られたのか、言い換えれば、市民がどれだけの「満足感」を得ることができたのか、という点でございます。当然に、お金やモノなど、多くの行政資源を投入すれば、満足感も向上することは明らかでございますが、限りある資源の中では、どれだけの投資でどれだけの成果を得ることができるのか、また、投資する資源の量のどれだけが適当と判断されるのかを十分に精査・検討しなければなりません

財政の安定に向けては、「入るを図って出ずるを制す」と申しますように、歳入の確保と歳出の見直しを同時に行なうことが極めて重要と認識しており、特段のご理解を申し上げます。

こうした深刻な問題を明らかにしながら地域づくりの方向性を検討し、総合計画における本市の将来像を「"げんき"と"やすらぎ"のさとやま文化都市 ~人と地域が輝く美しい日本のふるさと~」といたしました。

後段のフレーズは、人が輝くことで地域が輝き、地域が輝くことで人が輝く。それぞれの地域が美しい里山環境のもとで育んできた歴史や風土、心豊かな生活や文化など、多様で個性的な財産を本市発展の大きな可能性・魅力と捉え、これらを改めて自覚し、磨くことで、懐かしく・新しく・美しい「日本のふるさと」と呼べる地を創造しようとの趣旨でございます。「ふるさと」とは、この地に暮らし、この地を守り、この地を愛する者が「共有すべき場所」と思うところであり、四季に彩(いろど)られた情景や「お互いさま」の気持ちを忘れず、かつての日本がそうであったように、人も自然も美しく輝く「羨望の地」をめざしてまいります。

また、都市形態については、一定の機能を有する複数の地域が合併し、極めて広大な市域となり、都市と都市が合併する集積型の都市構造が成立しない中においては、市街地のコンパクト化に留意するとともに、各地域の環境整備や利便性を確保しながら拠点整備を進め、それぞれの地域を有機的に結ぶことで地域と全体がともに発展する、「ネットワーク型」の新たな都市像、ふるさと像を目標としております。

計画は、夢の実現・地域活性化に欠かすことのできない羅針盤であり、また、地域づくりの設計図でございます。市民、職員、議員が理念や目標を共有し、「あるべき姿」の実現に向けて確実な前進を続けなければなりません。引き続き、皆様のご支援・ご協力をいただきますよう、お願い申し上げます。

次に平成19年度予算編成の基本方針についてご説明いたします。

「景気拡大・回復基調」の言葉が踊る日本経済の中にあって、地域経済は、その実感・実益がないことはもちろん、悪化傾向にあると言っても過言ではありません。さらに「地方交付税の算定見直し」や「再生型破綻法制」の導入・検討も進められており、19年度を「財政健全化に向けた正念場」と認識し、計画的な事業推進、政策課題への対応を基本としつつ、予算編成に臨んでおります。

具体的には、計画を大きく前倒しした職員定数の削減、職員給与等の減額、施設の管理形態および事務事業の見直しなど、財政運営プランに沿った経常経費の抑制を図る一方、限りある行政資源の効果的活用、有利な地方債の発行を前提に、福祉・教育・産業・定住分野における事業の重点化、実施計画における普通建設事業の原則、予算化など、市民の皆さんと"げんき"と"やすらぎ"が分かち合えるよう努めたところでございます。

なお、一般会計の予算規模は、285億3,000万円で、平成18年度の当初予算を5.7%下回る緊縮型の内容となっております。

それでは、長期総合計画に掲げた基本政策の体系に沿って、主要事業等に関し、ご説明申し上げます。

まず、自治・協働の分野「協働の力で、笑顔が輝くまち」でございます。

新しいまちづくりや地域づくり、持続的な自治体運営に向けては、これまで培われてきた「市民・地域が支え合う」という意識の高揚と、行政・市民が協働する姿勢、協働できるシステムが重要と考えております。

一体感の醸成のみならず「自らの地域は、自らが守り、自らが創る」という意欲の促進も踏まえ、協働のまちづくりを進めてまいりますが、特に庄原地域にあっては、自治振興区からの要望もいただく中で地区公民館を自治振興センターへ移行し、地域活動の拠点機能を付与することで、自治振興区を中心とした「市民が主役のまちづくり」が本格的にスタートいたします。

こうした活動の活発化に伴い、東自治振興センターの施設改修のほか、自治振興センターの指定管理を受託する自治振興区に対し、新たに特別交付金を交付することとしており、人材・地域の育成と活動支援、振興交付金・活動促進補助金の交付、地域集会所および除雪機械の整備、まちづくり基本条例の制定準備なども含め、新しい行政基盤づくりの視点をもって関係諸事業を推進してまいります。

協働のまちづくりに向けて、行政と市民の情報共有や意見聴取の機会拡大が要請される中で、広報紙の充実、各戸放送機器等の効果的活用、市政懇談会や出前トーク、ふれあい市長室での直接対話のほか、特にその需要が高まりを見せるホームページの内容充実とすみやかな更新、市政への意見提出手続、いわゆるパブリックコメントの制度化に取り組んでまいります。

基本的人権の尊重は、すべての行政職員が認識することはもちろん、組織全体で課題解決に取り組むべきとの考えから、18年度をもって人権推進課を終了し、人権相談および関係施策の推進は、各課での所管といたしました。

また、男女共同参画社会の実現に向けた啓発事業・活動支援に加え、近年、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待などが社会問題化しており、専門的な相談窓口と対応体制の一元化を図ることとしております。

庁舎建設につきましては、議員各位をはじめ、多くの皆さんから多様かつ貴重なご意見・ご提言を頂戴しておりますが、最終的にはご理解をいただく中で、いよいよ本格的な整備に着手してまいります。分散している本庁機能のすみやかな統合を図るため、円滑な事業推進に努めてまいりますが、10月からの建築着工に向け、夏以降、別館1号から3号に配置している部署は、旧江の川総合開発工事事務所への一時移転を予定しております。ご不便をおかけすることとなりますが、重ねてご理解をお願いいたします。

行政経営改革の推進につきましては、改革大綱および財政運営プランの趣旨に沿いつつ、本市の実情に即した行政評価システムの導入検討、団体運営を中心とした各種補助金の精査と基準づくり、施設使用料を含む市民負担金の見直し、人事評価制度などに取り組んでまいります。

「住民に身近な行政事務は、市町が担う」との方針に基づき、広島県からの事務移譲を年次的に進めておりますが、特に身近なものとして、6月4日からパスポートの申請・交付を市役所・本庁で取り扱うこととしております。

次に、産業・交流の分野「さとやま資源の活用で、地域が輝くまち」でございます。

地域産業の振興・復活の鍵は、広大な市域の中に存在していると捉えており、豊かな山々と広大な農地、気候や地形、蓄積された知識や技術など、あらゆる資源と地域力の活用による農林業の再興をはじめ、国定公園、国営公園、温泉施設、ダムなど、雄大な中国山地を背景に存在する個性的・魅力的な資源を活かした観光産業の推進、企業誘致と側面支援、賑わい創出による商工業の活性化などに取り組み、地域経済への波及、市民の収入増加を目的とした諸施策を進めてまいります。

農業分野に関しましては、国の「新たな食料・農業・農村基本計画」に基づく経営所得安定対策の導入によって、産地づくり対策、いわゆる転作に対する支援が3年間で終了すること、すべての農業者を対象に講じられてきた施策が、一定要件を備えた担い手に限定されることなど、これまでの価格対策から所得対策へと、大きな方針転換が図られます。コメを中心とした本市の農業は、その経営形態が地域・集落によって異なり、一律の助言・指導は適当でないと判断されることから、国・県制度の十分な説明とともに、農家の皆さんのご意見を伺いながら、水田の有効利用を基本とした対応に努めてまいります。

県制度活用による新規事業として、環境保全の共同活動助成にかかる協議会への負担金拠出、口和地域で準備段階にある新規法人の設立支援、東城地域の農業組織に対する飼料収集機械の整備補助を予定するほか、中山間地域等直接支払交付金、優良和牛の導入促進、花卉(かき)・野菜ハウスや農業機械の整備支援を継続し、農村環境の保全と農業経営の安定に取り組んでまいります。

林業関係につきましては、年々、その被害が深刻となっております有害鳥獣の駆除・防除をはじめ、地域活動への支援、人工林の整備促進、病害虫の防除対策、森林情報の登録事業などを継続実施してまいります。

商工振興の分野では、厳しい外部環境が否定できない状況はございますが、市営工業団地の利点・優位性を発信し、引き続き企業誘致に努めるほか、中小企業が行う事業拡大への支援、融資保証料に対する助成、また、市街地の賑わい再生に向けた市民活動の促進、東城市街地の魅力を効果的に活用できる拠点施設の調査事業などを予定しております。

18年度において、東城地域を除く5つの商工会の合併が整い、4月から備北商工会として発足されます。引き続き活動・運営にかかる支援を行ってまいりますが、関係会員のみならず、庄原商工会議所、東城商工会との連携・協力のもと、地域商工業の維持・発展に寄与されますことを期待しております。

観光・交流人口は、時代需要と豊富な自然資源、新たな大規模施設の整備を背景として飛躍的な増大を続けており、今後も、灰塚ダムの完成や国営公園のエリア拡大、城下町の風情を残す東城市街地での個性的な取り組みなどによって、更なる増加が見込まれております。一方では、1人当たりの観光消費額が、県平均の4,900円に対し、2,300円程度にとどまっていることから、農村資源や人的資源の活用を前提として、地域経済・市民経済への波及効果を目的に掲げ、新たな事業に取り組むこととしております。

県立広島大学や産学官機構との連携に基づく新産業の創出に関し、徐々にではございますが、事業化・実用化が図られており、研究開発助成等を継続してまいります。

次に、環境・基盤・定住の分野「自然との共生で、暮らしが輝くまち」でございます。

例年に比べ雪も少なく、暖かな冬を終えようとしておりますが、こうした異常気象や季節感の希薄化は、地球温暖化の進行を肌で感じる一面と思うところでもございます。市域のほとんどを山林・農地が占め、良好な自然環境を魅力とする本市にありましても、里山の荒廃が顕著となり、資源循環型の生活が失われつつある中で、環境保全を市民誰もが共通課題として認識しなければなりません。

また、広大な市域において、同じ手法・同一形態による生活基盤の整備は困難なことから、地域や環境、立地条件を踏まえた対応を図ることで、一体的な地域発展を進める必要がございます。こうした自然環境の保全と環境型社会の形成、情報化の推進や時間的距離の短縮、さらには都市機能の充実に配慮しながら、誰もが「しあわせ」を感じ、「住み良いまち」と思える快適で便利な生活空間づくりに取り組んでまいります。

内陸部振興対策協議会での課題提起をはじめ、機会あるごとに要請・要望しておりました、森林の環境保全を目的とした「ひろしまの森づくり県民税」が創設・導入されることとなりました。県民意識の醸成・啓発とともに、森林再生の貴重な財源として期待しております。

環境行政の基本方針として、「環境基本計画」の策定に着手しており、関係施設の管理、適正な廃棄物処理、リサイクルの推進などと併せ、循環型・自然共生型のふるさとづくりに向け、総合的な施策展開に努めてまいります。

道路網の整備、とりわけ市道改良につきましては、実施計画に基づく33路線を予算計上しておりますが、地域要望や必要性を考慮し、新規事業として東城支所管内の3路線に着手いたします。なお、継続事業のうち、西城支所管内の3路線について、19年度末で完了を見込んでおります。

高速道路や国・県道等の整備は、地域経済や生活、交流など、多面的な効果が期待できることから、引き続き要望・協力に努めてまいりますが、地域高規格道路「江府三次道路」のうち「高(たか)道路」については、19年度末での完成予定となっております。

農業用施設につきましては、県営農道をはじめ、一般農道・ため池・水路等の改良整備に取り組みますが、新規の県営ほ場整備として、西城・法京寺地区および高野・南地区の本格着手が予定されております。

庄原市街地については、「都市再生整備計画」に基づき、交付金事業として、道路・施設整備を中心とした賑わい創出に取り組みますが、特に19年度においては、市役所前を通過する「都市計画道路東新町宮の下線」の整備を本庁舎に併せて着手いたします。

公園整備では、平成6年度に着手した上野総合公園の整備が18年度末で竣工し、メインの陸上競技場も4月1日から供用を開始いたします。指定管理者での管理・運営としておりますが、市民スポーツの拠点施設、交流事業の推進施設として、多様な利用促進を図ることとしております。

長期間を要した灰塚ダムが完成し、水面(みなも)や湖畔の景観のみならず、周辺施設も観光資源として利活用が期待されるところであり、このたび「なかつくに公園」が新たな施設として整備されております。

生活交通につきましては、地域内完結のバス種別や運賃の一定基準を整理するとともに、一部地域に予約乗合タクシーを導入し、交通弱者への対応を図っておりますが、利用実績、多額の経費など、効率性や費用の面で課題を抱えており、19年度において、再編計画の策定を予定しております。また、国・県と協調し、県内のバス、路面電車、新交通等で共通利用が可能なカードシステムの導入を支援してまいります。

ケーブルテレビを含む地域情報化の推進に関しましては、これまで基本計画の策定のみならず、多面的な調査・研究を重ねてきたところでございます。ケーブルテレビの有効性は強く認識しているものの、極めて広大な区域に住居が点在し、相当な財政負担が見込まれることから、現在の財政状況を考慮する中では、実現に向けた具体的な方針決定に至っておりません。

課題として捉えております地上デジタル放送によるテレビの視聴、高速インターネットへの接続、住民告知などについては、地域情報化にかかる他の整備手法も見据えながら、格差解消に向け、最適な手法を検討してまいります。

住宅整備につきましては、「口和中央ハイツ」の建設を予定するほか、本市における住宅政策の基本方針として、市営住宅の活用、空き家対策、今後の整備計画を含めた住宅マスタープランを策定いたします。

上水道・簡易水道事業につきましては、既存施設の適正な維持・管理に努めるとともに、庄原地区の第7期拡張計画に基づく配水施設の整備、東城三坂地区における水道事業への統合準備、井戸掘削による飲料水確保助成などを実施してまいります。

下水道整備につきましては、「汚水処理構想」で処理方式別の区域を定め、計画的な事業推進を予定しておりましたが、厳しさを増す財政状況の中で、一部、事業手法を見直し、新たな集合処理事業には着手しないことといたしました。

公共下水道事業は、ほぼ終了した庄原市街地に引き続き、周辺区域を特定環境保全事業で整備するとともに、東城市街地での事業を継続いたします。農業集落排水事業では、山内西地区が19年度で完成し、20年4月から全域での供用開始が見込まれるほか、高野湯川地区の事業を継続することとしており、これら集合処理方式と、対象区域を拡大した市町村設置型の浄化槽整備事業を併用しながら、「快適な暮らしの環境整備」を進めてまいります。

定住施策に関しましては、後段、申し述べますが、商工観光課に定住推進係を設け、推進機能および地域・関係団体との連携強化を図ることとしております。

消防・防災体制につきましては、県庁と市町、消防本部等を結ぶ通信網の再編整備が必要となっており、関係施設への機器設置を予定するとともに、消防ポンプ・積載車・防火水槽などの計画的な整備・更新を図ってまいります。

地域防災の面では、国・県との調整により、砂防、急傾斜地対策、河川の維持・改修等を計画しており、防犯関係では、生活安全相談員を継続設置するとともに、警察、市民団体と協力・連携し、防犯活動の推進に努めてまいります。

次に、保健・福祉・医療の分野「心と体の健康づくりで、命が輝くまち」でございます。

生まれ、育ち、暮らし、そして生涯を終える。一生の過程において誰もが一番に願うのは、健康な体と心、そして"安心"を感じることのできる社会環境でございます。保健・福祉・医療分野の充実と連携、市民の理解と協力によって、やすらぎを実感し、安心して暮らすことのできるふるさとの形成に努めてまいります。

特に、子どもが生まれ、成長するための環境整備は、最重要課題のひとつと認識しており、児童福祉の分野において、一部、内容の見直しを行ったうえで出産祝い金、放課後児童クラブ事業を継続するとともに、板橋・実留・美古登の保育所を子育て支援施設として活用いたします。

保育所の管理・運営につきましては、2施設の統合によって、新たに「敷(し)信(のう)みのり保育所」を開所いたしますが、これまでの実績・成果等も踏まえ、指定管理者制度を導入するほか、送迎支援を行うこととしております。

高齢者福祉については、介護保険制度の円滑運営に加え、健康づくり、介護予防の関係施策を継続し、高齢者の自立と、高齢者が活躍できる地域づくりに努めてまいります。また、介護保険法の一部改正に伴い、地域包括支援センターにおける「ケアプラン作成」が求められておりますが、一定量の民間委託を継続するとともに担当職員の増員を行い、「虚弱者への総合支援」「相談業務や実態把握」など、地域ケアの体制を確保するほか、国の制度等を活用した小規模老人福祉施設の整備支援・融資を行うこととしております。

障害者福祉の関係では、「障害者自立支援法」の施行によって、その環境が大きく変わりましたが、新法の円滑な実施を図るため、激変緩和補助金の交付および緊急的な支援等を実施してまいります。なお、関係団体および各種事業への補助金は、当面、据え置くことといたしました。

市民の皆さんから多くの要望と大きな期待が寄せられた「総合福祉センター」の整備は、誠に厳しい財政状況の中で「事業延期」という苦渋の決断をいたしました。しかし、地域福祉の拠点施設という機能やその必要性は、十分、理解しており、当面、ふれあいセンターを活用いただくよう、社会福祉協議会を指定管理者とする制度の導入や施設利用の環境整備を進めてまいります。

保健・医療の分野では、継続的な要請・要望にもかかわらず、庄原赤十字病院での出産が可能という状況に至っておらず、市民の皆様と同様に深く心を痛めております。全国的な医師不足、都市部への遍在が顕在化する中で、国が進める「医療資源の集約化・重点化」の動向を注視しながら、本市の緊急かつ重要課題として、引き続き最大限の努力を傾注してまいります。なお、乳幼児歯科健診の対象を拡大するとともに、妊婦一般検診にかかる受診券の拡充交付、小児救急医療への支援、休日・夜間における救急医療体制の確保、生活習慣病健康診査などを継続実施することとしております。

次に、教育・文化の分野「ふるさとを愛する心で、人が輝くまち」でございます。

家庭の宝、地域の宝である子どもたちが、この地に生まれ、育つことに誇りを持ち、たくましく成長できるよう、家庭、学校、地域が連携し、市民総ぐるみで良好な教育環境の構築に努めなければなりません。また、豊かな自然環境と生活が育んできた里山文化の保存と継承、自主的な学ぶ意欲を満たす環境づくりを推進し、市民がふるさとを知り、感じ、愛する心を培うことで、誰もが輝くまちづくりを進めてまいります。

学校教育に関しましては、その原点ともいえる"知・徳・体"のバランスある育成に留意する中で、指導主事・学校教育専門員の配置、学力テストや中学生の職場体験学習、総合学習の時間を活用した特色ある学校づくり、英語活動事業など、多面的かつ多様な取り組みを継続・推進するとともに、自転車通学のヘルメット支給対象を拡大し、子どもたちの健やかな成長と安全を支援してまいります。

施設整備に関しましては、小中学校での給食実施、とりわけ庄原中学校、西城中学校での新規の実施に向けて、共同調理場の計画的な建設を進めておりますが、18年度に庄原地区の整備を完了し、19年度は西城、高野地区での新築・改築を予定しております。そのほか東小学校の大規模なトイレ改修、西城・東城・総領の中学校および東・比和両小学校における耐震補強の工事・設計を計画しております。

生涯学習につきましては、庄原地域において地区公民館を自治振興センターへ移行いたしますが、住民の自治活動と学習活動の融合を図ることで、相乗効果や活性化、学習成果の地域還元・社会化の促進など、モデル的な取り組みとなるよう期待しております。

ほかにも、関係施設における管理・運営形態の見直しを積極的に行っており、公民館分館・中央公民館の終了、西城温水プール等の開場期間の短縮、帝釈峡まほろばの里の直営化など、一部の施設に関し、大きな変更を予定しており、重ねてご理解を申し上げます。なお、拡張整備を進めておりました板橋運動広場が18年度末で竣工し、野球大会や多目的な利用を見込んでいるほか、毎年、雪合戦大会の会場となっております高野スポーツ広場に、常設ステージを整備することとしております。

文化振興の関係では、歴史的な共有財産である無形民族文化財の保存・伝承を促進するため、市内14の保有団体へ呼びかけ、第1回の公演大会を計画するほか、継続事業として、「文化財めぐり」「子ども文化財探検隊」を予定し、郷土の歴史や文化財を知り、触れる機会の設定に努めてまいります。また、口和郷土資料館へ館長を設置し、貴重な資料や器具の保存・活用を図ることとしております。

庄原市民会館の自主事業につきましては、開館30周年を記念して、NHK「ふるさとみなさま劇場」の公開録画を予定するほか、子どもたちと広島交響楽団による音楽づくりコンサートなどを計画しております。

国際交流に関しましては、「国際交流協会」「日中親善協会」への参画と支援の継続。加えて友好提携先である中国綿陽市との行政関係者、市民、青少年による相互訪問を予定しております。

最後に、重点戦略プロジェクト「みどりの環経済戦略ビジョン」でございます。

農業の自立振興につきましては、農林振興公社を中心とした市域内広域集荷をめざした直販市場の開拓と販売強化、ニンニクの試験栽培、エゴマをはじめとする地域農産物のブランド化の推進、さらに営農指導体制の拡充、土づくり・和牛共同飼育への支援など、消費者ニーズや市場原理、儲かる・儲ける視点を踏まえた、安全で安心、品良い・味良い農畜産物の戦略的な販路拡大と生産振興に努めてまいります。

森林バイオマスの活用につきましては、市域全体への波及を視野に入れ策定したバイオマスタウン構想に基づき、森林・木質に限らず、本市に所在する多様なバイオマスに着目し、新たな産業展開への視点も踏まえ、段階的な事業推進に努めてまいります。19年度は、樹木からエタノールを製造する新技術の実証実験にかかる施設整備支援、小中学校等へのペレットストーブの導入、リフレッシュハウス東城への木質チップボイラーの整備など、新産業の創出に向けた木質バイオマスエネルギーの普及・啓発を図りながら、調査・研究から企業誘致や新規起業の展開へと、実践・実行の段階へ移行してまいります。

定住促進につきましては、自治振興区での取り組みに大きな期待を寄せるとともに、県立広島大学・地域連携センターの協力も得ながら、「まっとるよ!庄原定住プロジェクト」と銘打った新規事業に取り組みます。

ひとつには、既存の自治振興区の活動促進補助金に定住事業枠を設け、地域内における帰郷希望者の把握や意識調査、地域情報・就職情報の提供、空家(あきや)の調査および活用、イベント案内や帰郷の呼びかけなど、効果的な帰郷促進活動を支援するとともに、次年度以降、対象者の帰郷実績に応じた交付金を予定し、さらに地域と行政の協働・連携体制を強化するため、自治振興区の意向を踏まえつつ、市職員が、それぞれの自治振興区を応援する仕組みづくりにも着手することとしております。

また、ホームページの充実による定住情報の積極的な発信、地域団体やグループが実施する体験・交流事業への参加促進、本市出身者で構成される団体の調査と応援組織としての体制づくりなど、離れて暮らす家族の関心を、今一度"ふるさと庄原"に向けていただく取り組みに加え、市民・帰郷者の収入手段・雇用機会を確保するため、多様なコミュニティビジネスの事業興しを対象とした起業支援補助金を創設することとしており、観光プロジェクトの展開も併せ、現在の庄原を知ってもらい、見てもらい、熱い想いを感じてもらうことで、1人でも多くの帰郷・定住が実現するよう、誘導策を展開してまいります。

以上を主要事業として掲げ、新「庄原市」として3回目、長期総合計画策定後、最初の予算編成を行ないました。

目標の達成には、時間を要する事項もございますが、時間をかけることが許されない事項もございます。課題の多くが「短期間での成果」を要請されている状況にあっては、将来を見据えた適切な判断とリーダーシップのもと、市民・職員・議員が同じ目標に向かって、理解し、努力することが求められております。

美しいと思える"ふるさと"に生まれ、こころ豊かに暮らし続けるためには、今を生きる私たちが、その"ふるさと"を愛し、守っていかなければなりません。現実を嘆き、あきらめるのではなく、「この地域から日本を変える」、「憧れの"ふるさと"を創る」といった高邁(こうまい)な志と強い意欲を共有し、一人ひとりが家庭を見つめ、地域を見つめ、社会を見つめ、すべきこと・できることを実践する中で創造される"美しいふるさと"を、全国へ発信してまいりたいと考えております。

昨年の暮れ、京都市で開催されました全国高校駅伝において、広島県代表の世羅高校が32年ぶりに優勝し、その主将が本市出身者であることは、ご承知のことと存じますが、彼は庄原中学校時代、全国はおろか県内でも無名の選手で、当時を知る人は、今回の活躍を、大変、驚かれたとうかがっております。

大きな感動を生んだ陰には、果てしない夢と、その夢を失わない強い志(こころざし)、夢を実現しようとする相当な努力があったものと思いますが、幕末の思想家・吉田松陰は、「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。ゆえに夢なき者に成功なし」という教えを残しております。

まさに、実現・成功の喜びや感動は、夢を持ち、努力することの賜物であり、「強いチームを作りたかった」と話す18歳の少年に、そのことを改めて感じさせられました。

深刻な問題をはじめ、市民生活、地域活性化にかかる諸課題が山積しておりますが、夢を持ち、理想を描き、新年度も前向きに挑戦してまいります。議員各位、並びに市民の皆様には、今後とも、一層のご支援とご協力をいただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

なお、予算以外の議案として、「庄原市特別職の職員および庄原市教育委員会教育長の給与月額の特例に関する条例」など、条例案33件、庄原市過疎地域自立促進計画の変更など、その他14件を提案しております。

どうか、慎重なご審議をいただき、適切なご議決を賜りますよう、お願いいたします。

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