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令和2年度施政方針

2月21日(金)に開催された本会議において、木山市長が令和2年度の施政方針を述べました。

(写真:本会議場で施政方針演説をする木山市長)siseihousin1

  1. はじめに
  2. 社会情勢の現状認識
  3. 市政運営の基本方針
  4. 予算編成の基本方針
  5. 庄原いちばんづくりの主要事業
  6. 令和2年度主要施策について
  7. おわりに
はじめに

令和2年度当初予算案のご審議をお願いするにあたり、私の市政運営に対する一端を申し述べ、議員各位並びに市民の皆さんのご理解、ご協力を賜りたいと存じます。

昨年を振り返りますと、5月に元号が「平成」から「令和」となり、新たな時代の到来は希望や期待も新たにする年となりました。一方で、8月から10月にかけ、日本各地で豪雨や台風による甚大な被害が発生し、防災・減災対策の重要性を強く再認識させられた年でもございました。

本市におきましては、3月に国営備北丘陵公園の累計入場者数が、平成7年の開園以来1,000万人を突破、つづいて4月には、葬儀機能を備えた庄原市斎場「和みの丘」が完成いたしました。また、9月には瀬戸内ブランドコーポレーションによる、古民家宿泊施設「長者屋」「不老仙」がオープンするとともに、本市の特産品である「比婆牛」が和牛としては中四国で初となる地理的表示保護制度、「GI」に登録されました。

10月には子ども・子育て支援法の改正に基づき、本市でも幼児教育・保育無償化がスタートいたしました。さらに平成30年7月豪雨の被災により寸断されていたJR芸備線が、10月23日に全線復旧し、JR芸備線は本市の重要な生活交通機関であることを、改めて認識したところでございます。

そうした中、先般12月に議員全員協議会で報告しておりますとおり、11月下旬に日本郵政から本市へ「かんぽの郷庄原」の施設譲渡の打診がございました。すでに様々なご意見を頂戴しているところでございますが、今後とも、議員をはじめ市民の皆さんや関係団体の方々のご意見をお聞きし、最善の選択をしてまいりたいと考えております。

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社会情勢の現状認識

次に、本市を取り巻く社会情勢でございます。

総務省が発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査では、我が国の人口は平成21年をピークに減少を続けており、平成31年1月には、前年に比べ、過去最大となる43万人が減少しております。都市圏とされる名古屋圏、関西圏でも人口が減少する一方、東京圏と沖縄県のみが増加しており、東京一極集中に歯止めがかからない状態となっております。

また、近年は猛暑や暖冬などの異常気象、さらには相次ぐ大型台風の被害、広域な豪雨災害など、自然災害が多発し、こうした地球温暖化に起因した災害が、日本経済にも影響を与えており、日銀の黒田総裁は先般開催されたダボス会議において、昨年10月から12月期の経済がマイナスに陥った可能性を指摘し「気候変動を経済的リスク要因として警戒すべきである」との見解を示しております。

続いて、本市の状況でございます。

本市の人口は昭和22年をピークに減少が続いており、住民基本台帳人口は本年1月末で34,788人、前年同時期に比べ、708人減少となっております。出生数につきましては、年間200人前後で推移するとともに、65歳以上の人口が占める高齢化率につきましては、42.8%、前年同時期に比べ0.6%増となり、人口減少、少子・高齢化が続いています。

市内産業の情勢でも、この人口減少と高齢化の影響が表れており、基幹産業の農林業では農家及び林家とも戸数は年々減少し、農業従事者に占める高齢化割合は75%を超えております。また、工業事業所も年々減少が続いているほか、商店数、商業従事者数、販売額とも減少しております。

次に雇用情勢でございます。内閣府は12月の月例経済報告で「雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が期待される。」としておりますが、本市の令和元年度11月までの有効求人倍率は平均1.44倍と、対前年度比を0.24ポイント低下するとともに、市民一人当たりの所得額も横ばい状態が続くなど、国の判断と本市における市民生活の実態には差異があると受け止めております。

今後においても、景気動向等に注視しつつ、国・県からの情報を確実に捉えながら、引き続き、産業の振興や中小企業への支援、雇用の確保などに努めてまいります。

また、中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎患者への対応に関し、WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言いたしました。

国は法に定める指定感染症に指定するとともに、対策本部の設置により、感染者の特定や濃厚接触者の調査、簡易検査キットの開発など、その対策強化に努めております。

本市におきましても、北部保健所や庄原赤十字病院との緊密な連携・連絡体制を確保しているほか、庁内対策会議において、関係情報の共有、感染者の発生を想定した市の役割の確認など、具体的な対応・準備を進めております。

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市政運営の基本方針

次に、令和2年度の市政運営における、基本的な方針を述べさせていただきます。

第1に、本市における最上位の行政計画であります「第2期長期総合計画」に基づく施策の推進でございます。

本市の将来像「美しく輝く里山共生都市」の実現と最重要課題である人口減少の解決に向け「自治・協働・定住」をはじめ「産業・交流」「環境・基盤・交通・情報」「保健・福祉・医療・介護」「教育・文化」の5つの基本政策に基づく施策を実施することといたしております。

新年度は長期総合計画・前期実施計画の最終年度となりますが、引き続き、計画的かつ着実な事業実施を推進してまいります。

続いて第2は、「庄原いちばんづくり」の進化に向けた取り組みでございます。

市長に就任して以来、「やっぱり庄原がいちばん」と思える「まちづくり」を推し進めてまいりました。

「地域産業」、「暮らしの安心」、「にぎわいと活力」を柱とした施策・事業の展開により、比婆牛ブランドの復活、庄原米のブランドづくり、産科再開のほか、庄原市こども未来広場の整備、定住アクションプランの推進や庄原DMOの設立に向けた取り組みなど、産業の振興や定住環境の充実、地域の活性化、にぎわいの創出に努めております。

今後も将来の世代に繋ぐ"ふるさと庄原"の姿を見つめ、夢と誇りの持てる「庄原いちばんづくり」を進めてまいります。

なお、こうした取り組みを進めるための基本となる財政運営につきましては、平成29年11月に「第2期持続可能な財政運営プラン」を策定し、歳入の確保と歳出の抑制により収支バランスを図りながら、選択と集中の徹底及び新たな着想による、直面する課題の解決、将来の礎を築く重点施策の展開など、持続的・安定的な行政サービスを提供してまいります。

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予算編成の基本方針

続きまして、当初予算の編成に対する基本的な考え方及び概要について、ご説明申し上げます。

平成30年7月豪雨災害の復旧につきましては、生活インフラ、農地・農業用施設などの災害復旧事業費は、総額で約125億7千万円に上ることから、組織体制を強化するなど早期復旧に向け、全力を挙げているところでございますが、被災件数が膨大であることから、復旧に時間を要しております。関係者の皆様には、ご迷惑をおかけしておりますが、ご理解とご協力をお願いいたします。

こうした状況から、昨年度に引き続き、第2期長期総合計画・実施計画の見直しにおきまして、災害復旧が最優先となるよう普通建設事業の一部を調整し、市民の暮らしの更なる安心・安全の確保に重点をおいた予算編成を行ったところでございます。

まず、歳入でございます。普通交付税については、平成17年の合併以来継続しておりました合併算定替の特例措置が終了を迎える一方、令和2年度地方財政対策において、地方の一般財源確保の観点から、地方交付税総額が前年度より増額されたことなどにより、昨年度当初予算と比較し約2億円の増額といたしました。

また、市税につきましては、課税客体の減少による個人市民税の減収や、昨年10月からの法人市民税の税率引き下げの影響などを見込み、全体では約0.7%の減額としております。

次に歳出では、災害復旧に昨年度を上回る約36億円の事業費を計上したことや、新焼却施設の整備に伴い、災害復旧費並びに衛生費が大きく増加しております。

また、農畜産物や森林資源など本市の強みを打ち出すブランド化事業や市民会館整備事業の実施により、農林水産業費や教育費についても、増額の予算計上といたしました。

なお、「第2期持続可能な財政運営プラン」により、令和2年度当初予算においても歳入確保及び歳出削減に努めたところでございますが、災害復旧の財源確保を含め歳入歳出の収支均衡を図るため財政調整基金の一部を充当いたします。

引き続き、厳しい財政状況ではございますが、災害復旧事業の重点実施を図りつつ、更なる子育て環境の充実や農林業の新たな要請に応える「災害復旧の加速と次世代につなぐ予算」が編成できたものと考えております。

以上の結果、令和2年度一般会計の予算規模は、令和元年度対比で、5.5%増の319億480万円となり、特別会計及び企業会計を加えた全体の予算規模でも、4.8%増の488億6,227万円となったところでございます。

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庄原いちばんづくりの主要事業

以上の基本方針を念頭に、当初予算案に基づき、まずは「庄原いちばんづくり」の3つの分野別政策・各施策体系に沿って、主な事業をご説明申し上げます。

まず、「地域産業」のいちばんでございます。

「新たな可能性で切り開く持続的な地域産業の構築」につきましては、和牛農家の経営安定化や転作等による水田の有効活用を進めるため、コントラクター組織の支援を継続することで、庄原産飼料用稲を活用した「和牛TMRセンター」の円滑な運営を図ります。

また、「森づくりアドバイザー」を引き続き活用し、森林経営管理制度の円滑な実施と森林資源の適切な管理を推進することにより、庄原産材の価値を高めてまいります。

さらに市内の中小企業者に対して「創業」や「研究開発」等の支援を行い、商工業の振興、地域経済の活性化を図ります。

「地域資源を活用した新たな"食の魅力ブランディング"」では、増頭やPR、取り扱い店舗の拡大に取り組むことで、GI登録の効果をさらに高め比婆牛のブランド化を進めます。また、全国のコンクールで高い評価を受けております庄原産「ブランド米」の販売促進等を支援することにより、庄原産米の知名度向上と高価格化により、生産拡大につなげます。

「技術革新による産業モデルの構築と雇用基盤の確立」につきましては、ドローンを活用した山林の除草作業の省力化実証実験をはじめ、IoT・AI等による地域課題の解決や市内企業活動の活性化、市外からの企業参入を促進します。

また、お試しオフィス「おいでん彩」を活用し、企業等が求めるニーズを把握するとともに、立地環境や生活環境等の紹介・体験を通じて、市内にサテライトオフィスを誘致し、働く場の創出と都市部からの移住促進を図ります。

さらに、企業の労働力の確保を図るため、市と市内企業等で組織する「庄原でいきいき働く協議会」において、企業ガイドブック作成や合同就職面接会等の取り組みを行います。

つづいて「暮らしの安心」のいちばんでございます。

「安心を実感できる子育て環境の整備」では、引き続き庄原赤十字病院における周産期医療の運営を支援するとともに、産後間もない産婦を対象とした健康診査を拡充します。

また、就労形態の多様化など、社会的変化に伴う保護者ニーズに対応するため、全域の病後児保育の拡充に向け、新年度では高野保育所に病後児支援室を整備するとともに、放課後の子どものより安全な居場所を確保するため、西城小学校放課後児童クラブ実施施設を学校敷地内に新設整備いたします。

「高齢者の生活に対応するコンパクトな基盤の整備」では、官民連携による移動販売車の運行により、サロン・デイホームを中心に巡回を行い、高齢者等の生活支援に加え地域コミュニティの維持、買い物弱者の支援を引き続き実施します。

さらに、高齢者やその家族の安心な暮らしを守り続けるため、引き続き介護人材の確保及び定着に向けた支援を行います。

「安心安全で快適な生活基盤の確保」では、避難所対応の充実を図り、円滑な避難情報の発信と適切な避難を促すため、ハザードマップの更新により防災意識を高め、早めの避難で命を守る行動につなげます。

さらに、新焼却施設の整備につきましては、将来にわたる快適な生活環境の維持と効果的かつ効率的なごみ処理を行うため、令和4年春の供用開始に向け、プラント建設工事を進めます。

「次代を活躍・牽引できる人材の育成」では、引き続き外国語指導助手及び地域人材の活用により、小学校並びに中学校における外国語教育の充実を図ってまいります。

最後に「にぎわいと活力」のいちばんでございます。

「人口ビジョンに基づく将来人口維持と地域課題解決への挑戦」では、令和2年度で「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を見直すこととしており、平成28年3月に策定した定住支援アクションプランの見直しとあわせ、定住促進支援策を展開してまいります。

「新たな『にぎわいの潮流』の創出」では、庄原市民会館、庄原自治振興センターの大規模改修に向け、新年度では実施設計を行い、令和4年度の完成に向け取り組みます。

また、国営備北丘陵公園北エリア無料開放の社会実験を継続することで、子育て世代を中心としたにぎわいの創出や、広域的な観光誘客を強化し、交流人口の拡大による地域活性化を推進します。

さらに、上野総合運動公園陸上競技場につきましては、第3種公認施設に対応したトラック全面改修及びルール改正に伴う競技用備品の整備並びにメインスタンド防水工事を実施することにより、公式大会等を継続的に開催できる環境を維持いたします。

「多様な地域資源を結び、輝かせる連携軸の構築」では、「庄原DMO」の本年4月の設立に向けた調整・協議をすすめており、今後、観光交流の産業化による地域経済の活性化に向け、マーケティング・プロモーションの強化、着地型観光の推進などに取り組みます。

また、「比婆いざなみ街道マラニック」を継続し、交流人口と関係人口の拡充を図るとともに、近隣市町との広域連携による地域の魅力を発信するための「新たな街道」づくりを通して、圏域へのさらなる観光誘客と地域活性化を進めてまいりたいと考えております。

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令和2年度主要施策について

次に、「第2期長期総合計画」に掲げました基本政策の体系に沿い、そのほかの主な施策概要をご説明申し上げます。

"絆"が実感できるまち(自治・協働・定住)

まず、自治・協働・定住の分野「"絆"が実感できるまち」でございます。

「自治・協働の推進」では、行政運営のパートナーである自治振興区の運営や活動の支援と活動拠点となる自治振興センターのトイレ、消防設備の整備を行い、機能充実を図るとともに、県立広島大学庄原キャンパス、住民自治組織をはじめとする各種団体との連携により、地域課題の解決に向けた学生の活動を支援する体制を構築することで、まちづくり活動をさらに活性化し、活力ある「まちづくり」を推進いたします。

「人権尊重社会の実現」では、あらゆる偏見や差別を無くし、誰もがそれぞれの個性や能力を生かし、自己実現ができるよう、講演会の開催や啓発事業の実施により、人権尊重の意識を高めるとともに人権教育の推進に努めます。また、「男女共同参画社会」の実現に向け、研修会や講座などの機会を設け、自己啓発を支援するとともに、幼少期から男女平等の意識を培う教育・学習のほか、庁内連携による相談の体制と、女性相談員の継続設置により、DV被害者のサポートに取り組みます。

「定住の促進」では、定住支援アクションプランに基づき、ワンストップ窓口による移住相談の支援等「新しく住んでもらう」「帰ってきてもらう」ための事業を展開いたします。

「効果的・効率的な行財政運営」では、住民基本台帳、税、保険、福祉などの事務処理を行う行政事務処理システムについて、経費削減やセキュリティと災害リスクの対策に向け「クラウドサービス」による運用と、本年度のRPA試行導入を踏まえ、より導入効果の高い業務について、分析・選定を実施し、事務の効率化を進めます。

また、市税等に関しましては、路線価への地価動向の反映、償却資産や所得の申告勧奨など、引き続き適正かつ公平な課税に努めるとともに、納付環境の整備、厳正な滞納整理を行うことで、収納率の向上につなげてまいります。

"にぎわい"が実感できるまち(産業・交流)

次に、産業・交流の分野「"にぎわい"が実感できるまち」でございます。

まず、「農林水産業の振興」における農業の分野では、「中山間地域等直接支払事業」や「多面的機能支払事業」などにより、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮のための地域活動や営農活動の支援を継続いたします。

また、国庫補助事業を活用した農産園芸農家等の支援や、こだわり米や比婆牛のブランド化に引き続き取り組み、市内で生産される農畜産物の付加価値を高め、農業者の所得向上につなげてまいります。

次に有害鳥獣対策では、防除柵等の設置に対する支援に加え、有害鳥獣処理施設の円滑な運営を行い、防除・捕獲の両面から対策を強化し、農作物への被害軽減を図ります。

畜産の分野では、引き続き、和牛や乳用牛の飼育、養豚の飼養頭数の増加等に対する助成など、畜産経営の安定化を支援いたします。

林業の分野では、これまで取り組んでまいりました「ひろしまの森づくり事業」等を活用した、森林の適切な整備と育成・保全に努めるほか、森林経営管理法に基づいた森林資源の適正な管理を行うため、森林所有者への計画的な意向確認及び市の管理を希望する所有者の森林の現地調査等を実施します。

「商工業の振興」では、地域産業の育成・活性化のため、設備投資や融資制度等の助成を継続するほか、官民連携の取り組みにより、市内高校生への企業紹介や県内の大学訪問などを行い、市内企業の人材確保を図ります。

また、企業誘致につきましては、全市域に超高速ブロードバンド環境が整備されている優位性などを前面に出しながら、サテライトオフィスの誘致に取り組むとともに、工場跡地や遊休地を活用し、企業進出の可能性を掘り起こすなどの積極的な働きかけを行います。

「観光交流の推進」では、観光交流施設の改修を実施するとともに、県の事業を活用し、外国人観光客等の民泊受け入れに向けた旅行商品の開発に取り組みます。また、県と連携し老朽化が著しい比婆道後帝釈国定公園内の休憩所やトイレ等の施設整備を進めることとしております。

そのほか、庄原DMOと連携する中で、観光振興計画の各施策を展開し、魅力ある周遊ツアーや滞在プラン、体験プログラムの開発など、里山資源を活かした観光消費額の向上に取り組むとともに、国内をはじめ増加する外国人観光客等を対象とした、プロモーション活動を強化します。

"快適な暮らし"が実感できるまち(環境・基盤・交通・情報)

次に、環境・基盤・交通・情報の分野「"快適な暮らし"が実感できるまち」でございます。

「道路網の整備」では、災害復旧を優先する中で、工事施工予定の継続路線については後年度に繰り延べ調整しつつ、既存の道路施設等の計画的な維持修繕を図り、長寿命化を推進し利便性と安全性を確保いたします。

「上下水道」の分野では、地域水道ビジョンに基づく安定的な水の供給と計画的な更新・長寿命化を実施し、水質保全と快適な生活環境の維持・改善を図ってまいります。

また、広島県と県内市町の水道事業を統合する「県内1水道構想」について、県は本年1月に「広域連携の方針」を公表しましたので、今後も引き続き、十分な協議と検討を行い、年内には方向性を決定したいと考えております。

なお、下水道事業におきましては、新年度から公共下水道事業を公営企業会計へ移行し、経営状況や資産をより的確に把握し透明性を高めるほか、計画的な更新・長寿命化を進めます。

「生活交通の充実」では、新年度、既存の「生活交通ネットワーク再編計画」を、法律の規定に基づく「地域公共交通計画」として策定し、地域の輸送資源を活用する中で、効率的かつ効果的で持続可能なサービスの提供、市民の移動手段を確保いたします。

また、民間事業者の皆さんと取り組んでおります「MaaS」につきましては、昨年の実証実験を受け、利用者意見や課題の整理のほか、新年度の事業計画も検討されておりますので、新たな交通計画の策定に際して、その有用性を改めて検証し、過疎地域における最適な外出サービスの仕組みを構築したいと考えております。

なお、芸備線の存続につきましては、利用促進に向けJR西日本に対して利便性の向上などを要望し続けた結果、4月から7月下旬までの間、新見・東城・備後落合間で上下5本が増便されることが発表されました。新年度におきましては、児童・生徒の乗車体験や車窓からの秘境フォトコンテスト等により利用促進を図ります。

「住宅施策」では、「公営住宅等長寿命化計画」に基づき、戸郷市民住宅のガス管改修工事など計画的な修繕や更新を行い、住宅の居住性や安全性の向上に努めるとともに、「空き家等対策計画」や新年度から施行する「空き家等対策条例」により、空き家の適正管理の推進、倒壊の恐れがある危険空き家等への対処や措置に取り組みます。

「市街地の活性化」では、「庄原駅周辺土地区画整理」及び庄原地区・東城地区の「都市再生整備」を計画的に推進し、庄原駅前の広場周辺整備では、駅前ロータリー及び交通交流施設として供用開始するとともに、幹線街路などの都市基盤整備により、市街地環境を充実する取り組みを進めます。

「生活の安全確保」では、防災・危機管理体制について、避難所開設の基準見直しによる運営の調整、対応の更なる充実に向け、機能強化を図ります。また、消防団活動に対する装備充実と備北地区消防組合庄原消防署の多目的消防自動車等の更新を行うとともに、運転免許証を自主返納した高齢者に対して制度を創設し、日常生活における外出支援及び地域における交通安全を推進します。

さらに、「消費生活相談員」及び「生活安全相談員」の配置を継続し、相談対応や情報提供等により、市民生活の安心安全を確保いたします。

「平和事業の推進」では、被爆75年という節目の年を迎え、改めて恒久平和の実現と核兵器の廃絶を心に刻む中で、セミナーやパネル展などの啓発事業に取り組むとともに、平和首長会議等を通じて、平和な世界の実現に向け働きかけてまいります。

「環境衛生の充実」では、第3次環境基本計画を策定するとともに、旧西城斎苑の解体、斎場利用者の利便性の向上を図るため、東城斎場の火葬設備の改修を行うほか、高野斎場の施設改修及び駐車スペースの拡張に向け、実施設計、用地取得、造成工事を進めます。

"あんしん"が実感できるまち(保健・福祉・医療・介護)

次に、保健・福祉・医療・介護の分野「"あんしん"が実感できるまち」でございます。

「子育て支援」では、幼児教育・保育無償化への対応、中学3年生までの「医療費助成」の継続により、子育て世帯の負担軽減を図るとともに、高・永末保育所の施設改修を実施します。

「高齢者の自立支援」では、新年度「第8期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」を策定し、関係施策及び介護保険制度の円滑な実施と運用を図ります。また、医療機関・介護施設及び自治振興区と行政の連携・協働により、引き続き「地域包括ケアシステム」の確立を図ります。

「障害者の自立支援」では、「障害福祉計画」「障害児福祉計画」の改訂を行うほか、「障害者総合支援法」に基づくサービスや事業を適正に実施するとともに、「障害者差別解消法」を踏まえた啓発事業を継続するほか、関係団体への支援を引き続き行います。

「地域福祉の向上」では、誰もが安心して暮らせる地域づくりに対する関心と機運の醸成を図り、支え合いの活動を広げるほか、地域福祉にかかわる多様な団体の活動を支援いたします。

「健康づくりの推進」では、健康意識の醸成や疾病予防を推進するほか、歯周病検診助成の拡充や新たにロタウイルスワクチンの定期接種への支援及び骨髄ドナー休業に対する経済的負担の軽減等を図ります。

「医療の充実」では、庄原赤十字病院における高度医療・専門医療及び救急医療体制の確保に対する支援に加え、地域に欠かすことのできない診療所の医療機器更新などにより、医療・診療環境の維持・充実に努めます。

また、西城市民病院では、安定的な経営に取り組むとともに医療機器の更新など、引き続き、良質な医療の提供と地域の包括ケア拠点施設としての役割を担ってまいります。

なお、昨年、厚生労働省が発表した「再編・統合が必要な病院」のひとつに庄原赤十字病院が挙げられましたが、庄原赤十字病院は、今後も機能維持のための必要病床数を確保し、総合病院・中核病院としての役割を担う姿勢を示されております。今後も連携体制を継続し、支援いたします。

「社会保障制度の適正運営」では、生活保護に至る前の支援策として「自立相談支援事業」をはじめとした相談支援及び「住居確保給付金」の支給など、生活困窮者に対する包括的な支援体制を継続いたします。

"学びと誇り"が実感できるまち(教育・文化)

最後に教育・文化の分野「"学びと誇り"が実感できるまち」でございます。

「学校教育の充実」では、保護者や地域住民が当事者意識を持って学校運営に参画する「学校運営協議会制度」を庄原・東城中学校2校に導入することで「地域とともにある学校づくり」に向けた研究を進めます。

また、東城中学校のクラブハウス等の施設整備や理科教育設備をはじめ教材備品の整備等を行うとともに、グローバルな人材育成を目的とした、英語検定料の助成を行います。

さらに、生徒の感性を高め、一体感につながる取り組みとして、「中学校合唱コンクール」や、次代を担う子どもを学校・家庭・地域が一体となって育成する風土を醸成し、教育の質の高まりを市民の皆さんと考える機会として、「教育フォーラム」を引き続き開催してまいります。

加えて、市内の高等学校を支援する教育団体へ補助金を交付することにより、活性化や魅力づくりを支援いたします。

なお、「学校適正規模・適正配置基本計画」につきましては「これからの社会をたくましく生き抜く力を育み、子どもの教育環境の充実を図ること」を基本とし、対象となる学校の保護者をはじめ、住民への丁寧な説明や協議を重ねてまいります。

「生涯学習・社会教育の充実」では、各自治振興センターにおける生涯学習事業の実施や社会教育団体への支援を行うとともに、「子供の読書活動推進計画」のもと、読書意欲の向上や読書環境の充実を図ります。

「芸術・文化の推進」では、地域文化振興事業や文化活動団体への支援を継続するほか、埋蔵文化財センターにおいては、出土品のレプリカを作製し、学校や地域と連携した出前講座を実施するなど、文化振興に資する事業を展開いたします。

「スポーツの推進」では、生涯スポーツ社会の実現に向け、年齢・性別を問わず、各種スポーツ活動への参加機会の拡充に努め、心身の健全育成を図るとともに、庄原市総合体育館の空調改修に向けた設計等に取り組みます。

「家庭・地域の教育力の向上」では、子育てに関する学習機会を保護者や地域の方々に提供することで、家庭・地域の教育力の向上を図るとともに、学校・家庭・地域が連携し、家庭教育の支援に努めてまいります。

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おわりに

以上、令和2年度の主な施策・事業について説明申し上げました。

令和2年度は庄原市長として2期目の最終年度であります。私は市長に就任して以来、「地域産業」、「暮らしの安心」、「にぎわいと活力」を柱とした「庄原いちばんづくり」に取り組み、夢と誇りの持てる「庄原いちばん」の実現に向け、「やっぱり庄原がいちばん」と思えるまちづくりに傾注してまいりました。

これまでの施策の一端を申し上げますと、新市誕生と同時に市内での産科が休止となって以降、悲願でありました産科の再開が平成30年春に実現いたしました。また、小児科診療所・病児病後児保育施設、庄原子育て支援施設から成る「庄原こども未来広場」を整備するとともに、西城保育所も本年度完成予定としており、子どもを産み、育てる環境の充実を図ってまいりました。

また、国営備北丘陵公園北エリア無料開放の社会実験による新たな賑わいの創出や、本市農畜産物のブランド化では庄原ブランド米が多くのコンクールで優秀な成績を獲得したほか、広島牛として統一され使用されていなかった「比婆牛」のブランドを復活させるとともに、和牛としては中四国で初となるGI登録を実現いたしました。

「比婆牛」につきましては、2月4日にNEXCO西日本などが開催した「西イチグルメ決定戦」において、七塚原サービスエリア上り線で提供されている比婆牛を使ったメニューが、中国地方初のグランプリに選ばれました。

こうした「比婆牛」ブランドの活用をはじめ、産品の付加価値を高めることにより、生産者所得の向上を図っているところでございます。

さらに、大手建材メーカーである株式会社ウッドワンとの「庄原材活用のための連携協定」締結に基づき研究会を設置しており、今後、庄原産材の付加価値を高めるとともに、森林・木材と親しむ機会を創出することで、林業の振興を図ってまいります。

こうした取り組みの結果、本市への移住定住支援策を利用した移住者は増加しており、定住支援アクションプランで設定した230人の目標に対し、平成30年度で271人となり、前倒しで目標を達成したところでございます。

さらに、社会動態では近年の減少率は縮小の傾向となっているほか、直近の合計特殊出生率は、県内市で最も高い1.79となるなど「庄原いちばんづくり」による成果に、手応えを感じているところでございます。

引き続き令和2年度におきましても、地域課題の解決と地域活力の創造により「庄原いちばんづくり」に掲げる取り組みを推し進めてまいります。

まず、県内有数の森林資源を活かした「22世紀の庄原の森林づくり」でございます。このビジョンを基本に、本市の豊かな森林資源を活かし、次世代につなげていくために森林経営に関する方向性や新たな担い手を育成する施策、さらには森林の多面的機能の発揮による地球環境保全等への貢献などを盛り込んだ「22世紀の庄原の森林づくりプラン」を策定いたします。

具体的には、庄原材の活用研究を進めるとともに、豊富な森林資源を有する本市の特性や強みを活かすため、比和の旧古頃小学校の校舎を森林に関する体験や啓発のための拠点施設として整備し、様々な体験プログラムを提供することで、林業の担い手の育成、子どもの森林体験など、庄原の森林・林業の魅力づくりを進め、22世紀を生きる次世代の皆さんへ庄原の森林を引き継いでまいります。

つづいて、妊娠・出産・子育て期における若年世代、子育て世代の支援の充実でございます。市内で出産できる体制の維持・継続に加え、4月に庄原市子育て世代包括支援センター・「ほのぼのネット」を設置し、体制の強化と事業の新設・拡充を予定しております。

特に出産から間もない産婦の皆さんの不安を和らげるため、出産前から世帯を訪問する妊婦訪問事業、出産後における産婦健康診査の拡充、乳児家庭全戸訪問のほか、電子母子手帳による情報発信など、相談対応の機能と機会を確保し、一人ひとりに寄り添った子育て支援を進めます。

さらに令和2年度は市制施行15周年、中国四川省綿陽市と友好提携を締結して30周年、東京オリンピック・パラリンピックが開催されるなど、節目の記念の年を迎えます。

市制施行15周年では市民の一体感の醸成、市民協働のまちづくりを一層推進いたします。また、綿陽市友好提携30周年では、「市民参加」を念頭に記念式典や記念事業を実施する予定といたしております。そして、市内でオリンピックの聖火リレー、パラリンピックの採火式を行い、オリンピック・パラリンピックを身近に感じ、機運を高めるとともに市民の絆を深め、本市の活性化を図ってまいります。

こうした取り組みにより、市民の皆さんが庄原に生まれ、住み、ふるさと庄原を誇りに感じていただくため、私がめざす「やっぱり庄原がいちばんええよのう」と思えるまちづくりを実現してまいる決意でございます。

最後になりますが、この庄原には、豊かな森、清らかな水、美味しい農畜産物など、多くの地域資源「宝」がございます。こうした地域資源を磨き、そして、次世代に引き継いでいく使命があるものと強く認識いたしております。

新年度におきましても市民の皆さんに寄り添い、次世代に引き継ぐ「未来の里山づくり」と、夢と誇りの持てる「庄原いちばん」の実現に向け、市政を預かるものとしての責務を精力的に果たしてまいる所存でございます。

議員各位、並びに市民の皆さんのご理解とご協力を心よりお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

なお、予算以外の議案として、「庄原市の豊かな自然の恵みによる乾杯条例」など、条例案15件、そのほか「庄原市公平委員会委員の選任に同意を求めることについて」など、18件を提案いたしております。

どうか、慎重なご審議をいただき、ご議決を賜りますようお願いいたします。

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