文字の大きさ

  • 標準
  • 拡大

色を変える

白色

黒色

青色

ページ自動読み上げ

ページ自動読み上げボタン

平成24年度施政方針

平成24年度施政方針1.jpg2月29日(水)に開催された本会議において、滝口市長が平成24年度の施政方針を述べました。

(写真:本会議場で施政方針演説をする滝口市長)

平成24年第1回庄原市議会定例会の開会にあたり、市政運営に取り組む一端を申し述べ、議員各位並びに市民の皆さんのご理解、ご協力を賜りたいと存じます。

まず最初に、昨年末の補助金不正受給報道に端を発した、「木質バイオマス利活用プラント事業」に関する問題でございますが、ご案内のとおり、本市の独自調査に基づき、補助金適正化法違反と詐欺の疑いで、連携企業の元社長らを告訴するに至りました。

このような事態が生じましたことは、誠に遺憾であり、市民の皆さん、議員各位をはじめ、関係各方面の方々に大変なご心配並びにご迷惑をお掛けしており、この場をお借りし改めて、心からお詫び申し上げます。

事態を厳粛に受け止め、本件関連事業の事務手続きについて検証するため、検証委員会を設置して、取り組むこととしております。

元社長らに対しては、「切歯扼腕」の思いであります。当事業へのパートナーとして、適当であると判断した結果が、今日の状況を引き起こし、痛恨の極みでございます。

当該事業に対しましては、厳しいご意見もいただいておりますが、本市の豊富な森林資源を活用し、森林保全による里山再生と循環型社会構築により環境保護を目指す、本事業の理念は間違っていないと確信しております。

「一念、岩をも徹す」との諺が示すとおり、今後もスポンサー候補によるプラント再生の願いが成就するよう、努めてまいる所存でございます。

何とぞ、ご理解とご協力を頂きますよう、お願い申し上げます。

十年一昔。平成14年12月に旧庄原市の市長として、市政の舵取りを託され、はや区切りとなる10回目の春が訪れました。この間、めまぐるしく変化する社会情勢の中で、1市6町の合併という新たな歴史の1ページが開かれ、新庄原市の初代市長として、引き続き担わせていただいた2期目の任期も最終年度を迎えようとしています。顧みますと、多くの課題に直面しながらも、市政運営を推進できましたことは、市民の皆さん並びに議員各位のご理解とご支援の賜物と深く感謝申し上げる次第であります。

かねてより「市民の市民による市民のための政治」を基本理念とし、まちづくりの真髄は、市民の心がやすらぎ、安心して暮らせる環境をつくり、お互いが支えあい、助け合って、共に生きる社会を築くことであると信じ、とりわけ合併後は、「新たなまちづくり」に向けて「一体感の醸成」と「一体的な発展」に渾身の努力を傾注してまいりました。節目の年となる、新年度の市政運営につきましても、意を誠にして、心を正す「正心誠意」で取り組んでまいります。

さて、平成23年を振り返りますと、やりきれない思いがたぎる、誰もが忘れることの出来ない1年であったと思います。

全国で発生した自然災害に対し、改めてその脅威を認識する中で、何より東日本大震災における津波と原発事故は、日本を揺るがす未曾有の大惨事をもたらしました。改めて、犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に対しまして衷心よりお見舞いを申し上げます。

本市は、一昨年、局地的なゲリラ豪雨災害に見舞われました。その折、全国各地より頂いたご厚情、ご支援などのあたたかい気持ちに対する感謝の思いを込め、被災地である宮城県東松島市などへ、昨年4月以降絶え間なく、延べ38人の職員を派遣するとともに、市民の皆さんからの義援金や支援物資を日本赤十字社等へ送るなど、出来うる限りの支援を続けており、早期復興へ寄与するため、新年度も職員派遣を継続する所存であります。

昨年、文部科学白書へ掲載され、テレビ等での報道で、全国に感動と勇気を与えた、気仙沼市立階上中学校卒業式における、梶原裕太君の答辞の一文を紹介したいと思います。

「時計の針は14時46分を指したままです。でも時は確実に流れています。生かされた者として、顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、強く、正しく、たくましく生きていかなければなりません。命の重さを知るには大きすぎる代償でした。しかし、苦境にあっても、天を恨まず、運命に耐え、助け合って生きていくことが、これからの私たちの使命です。最後に、本当に、本当に、ありがとうございました。」

15歳の少年の、悲しみと苦しみを抱えながらも、現状を受け止め、克服し、感謝を忘れることなく、未来に向かって生きていく決意の言葉に、深い感銘を受けました。併せて、この決意の言葉を、現在そして未来を生きる全ての人々が共有することで、高度経済成長とともに、失われつつあった「心の豊かさ」を呼び戻し、人々のつながりを大切にした、温もりある社会が構築されることを切に願うものであります。

今回の大震災は、昨年の世相を表す「漢字ひと文字」にも選ばれた「絆」すなわち、家族や仲間など、身近でかけがえのない人とのつながりの大切さについて、実感するとともに見つめ直すきっかけとなりました。

人は他者との関わり無くして生きていくことはできません。血縁による家族や親戚、地縁による地域コミュニティのほか、学校、職場等を通じて広がる「絆」は、私の政治信条として一貫して申し上げてまいりました、「お互いさま」と言い合える「共生社会」実現の根幹をなすものであると考えます。

こうした理念に基づき、まちづくりの基本政策に「協働の力で笑顔が輝くまち」を掲げ、取り組みを展開しておりますが、4月からは「まちづくり基本条例」の施行により、これまで取り組んできた考え方やルールが明文化されることで、協働と参画によるまちづくりの醸成が、より図られるとともに、日ごろから家族、地域を気遣い、隣近所で声を掛け合うなど「互助・共助」の「絆」が張りめぐらされることを期待いたしております。

次に、現下の社会経済情勢でありますが、不安と怒りが渦巻く世界に目を向けますと、ギリシャの財政危機に端を発したヨーロッパの信用不安は、ユーロの崩壊まで論じられるようになり、収束の兆しが見えない状況となっております。

そして、「アラブの春」と呼ばれるチュニジアから始まり中東・アラブ諸国に広がった民主化運動や、ウォール街を2ヶ月間にわたって占拠するという、抗議デモが発生したアメリカなど、「格差」への不満が集積され暴発しています。

こうした現象は、グローバル化の名のもとに、すべてを市場任せとして、規制を撤廃し、人・物・金が自由に世界を駆け巡り、自己責任のもとに自由競争を追及する、行き過ぎた市場原理主義が世界中に蔓延した結果ではないでしょうか。「1%の富裕層が、残る99%を支配している」とまで指摘される「格差社会」から「共生の理念」に基づく、真のグローバル化へ転換させるべく、環境・戦争・貧困の問題等に地球的な視点にたって解決する、国際ルールの確立を強く願うものであります。

一方、国内に目を転じますと、冒頭でも述べました東日本大震災から、間もなく1年が経過しようとしていますが、被災地に積み上がったガレキの処理は進まず、福島第一原子力発電所は、いまだ、事故を完全に沈静化できない状態にあります。また、歴史的な円高に伴う産業空洞化への懸念等に加え、ここ20年来は、経済の長期低迷に併せて、財政状況の悪化が年々深刻化しており、人口減少・少子高齢化により生産年齢人口の減少が進行することで、既存の経済社会システムが限界に達しているとの指摘もあります。

このような現状により、社会全体が閉塞感に包まれ、将来に対する、安心・安全が実感できない不安感が膨張し、まさに「歴史的な危機」に直面していると言っても過言ではありません。

こうした状況にありながら、国政は消費税増税とTPP交渉参加問題など国民生活にかかわる重要課題に対し、説明責任を果たすことなく、政局の議論に終始するあまり、世論調査では85%もの人が政治の現状に満足していないと回答し、国民の政治不信はかつてない高まりを見せています。

国政においては、国民に対して説明を尽くし、まずは政治への信頼回復に努めるとともに、「国民の生活が第一」と実感できる社会の実現に向けた政策形成に、善処されるよう強く要請するところであります。

世界の人口は昨年70億人を突破しましたが、国内では平成22年国勢調査の確定値により、日本人の人口が調査開始以降、初めて減少に転じ、本格的な人口減少・少子高齢化社会を迎え、50年後には、約3割減少し8,600万人台となる推計が、国立社会保障・人口問題研究所より、発表されたところです。

本市におきましても、昨年9月末には住民基本台帳での人口が4万人を割り込み、平成24年1月末現在で3万9,778人となっています。人口減少は、産業の低迷、地域経済の衰退を招くとともに、何より地域の活力に直接的な影響を与えるなど、負のスパイラルに陥る深刻な問題と受け止めております。昭和22年をピークに減少の一途をたどり、歯止めをかけるべく取り組み続けておりますが、本市のおかれている地理的・経済的な社会環境を鑑みますと、即効薬的な施策が見つからないのが実情でございます。

国、地方を問わず、社会経済情勢が厳しいと認識いたすところですが、とりわけ中山間地域に属する本市では、人口減少問題のみならず、過疎化、少子高齢化、基幹産業の衰退など長年にわたる、一朝一夕では成し遂げられない諸課題を抱えております。

「歩みて天に達せずとも請い願わくは天を目指さん」私が現任期初登庁の際、職員への訓示で述べた言葉でございます。高い志をもって努力を惜しまず挑戦する。たとえそのとき願いに届かなくとも、決して諦めることなく、その志に向けて歩み続ける。

在職任期の最終年度にあたり、改めて初心を思い起こし、変化していく社会の行方を見据えながら、本市の未来につながる基礎づくりとなる、今やるべき施策を着実に実行してまいりたいと存じます。

このような思いを胸に、平成24年度における市政運営につきまして、基本的な考え方を3点述べさせて頂きます。

ひとつには、「補完性の原則」による「共生のまちづくり」であります。

半世紀ほど前の本市を思い起こしますと、現在の2倍以上の人が暮らす中、農林業による所得が循環し、各地域の市街地は活気にあふれ、美しい田園、里山風景に囲まれて、子どもたちは野山を駆け回り、貧しくとも、家族・隣近所・地域が助け合って、心豊かな生活を営んでおりました。

しかしながら、高度経済成長とともに、人々は地方から都会へ流出し、物質的な繁栄を謳歌した代償に、地域社会の絆、手入れの行き届いた里山、子どもたちの無邪気な笑い声などのかけがえのないものが少しずつ失われ、また、一方で地域のコミュニティ機能の低下を招きました。

私は、失いつつあった「お互いさま」といえる共生社会を取り戻すために、かつての「さとやま」生活の中で実践されていた、市民一人一人の課題解決を起点とする「自助」と、自らで解決できない場合の家族・隣近所・地域で解決する「互助・共助」、それでも解決できない場合は行政が対応する「公助」からなる「補完性の原則」による、「共生のまちづくり」に取り組んでまいりました。

大震災を契機に、全国で再認識された「支えあい、助けあい」の精神を目の当たりにし、市民に最も身近な「新たな公」として「互助・共助」の機能を発揮する、自治振興区を中心とした、地域づくりの理念が、間違っていないことを確信いたしております。

また、未来のふるさとを考慮しますと、「補完性の原則」に立脚した持続可能な自治体運営を継続するためには、より一層の「共生のまちづくり」が必要であると考えます。現在の国難を招いた一因として、国政が未来を顧みず、有権者に「おもねる」ばかりの政策を執ってきたことが指摘されています。このことは、私をはじめ全職員が肝に銘じて、「おもねらない」行政に努めてまいる所存でございます。

ふたつには、長期総合計画・後期実施計画の着実な推進であります。

平成18年度に策定した長期総合計画は、「"げんき"と"やすらぎ"のさとやま文化都市」を将来像に掲げ、これを具現化するため、実施計画の策定、財政計画およびその他個別計画との連携により、「選択と集中」を図りつつ、新市としての「一体的な発展」を進めてまいりました。

平成21年度に策定した「長期総合計画・後期実施計画」では、「協働のまちづくり」、「安心安全の暮らしづくり」、「子育て支援・教育環境の整備」、「重点戦略プロジェクト」を重要かつ喫緊の課題へ対応する、特定事業と位置付け、優先的に実施しております。

特に、これら特定事業の中でも、先送りできない、小中学校等の耐震化対策など、ふるさとの基盤・拠点となる「礎」を築くために、やりきらなければならない「総仕上げ」となる重要な1年であり、強い決意をもって、遅延することなく推進してまいる覚悟でございます。

まず第1として、「協働のまちづくり」であります。

合併を契機に、全ての地域に組織されました自治振興区は、「自らの地域は自ら守り、自ら創る」という理念のもと、市民と行政が一体となった協働の実践を年々拡大され、地域力の高揚を感じるとともに、心強く思うところであります。

新年度より西城および比和地域が、センター化となり、引き続き、これまでセンター化された、拠点施設の整備や改修を進めますが、とりわけ、地域づくり、人づくりの複合拠点施設となる「とうじょう自治総合センター」の整備を推進します。これにより、新年度末の竣工を待って、東城地域もセンター化される予定であり、全地域のセンター化が実現することとなります。

第2としては、「安心安全の暮らしづくり」であります。

庄原市で生まれ、育ち、生涯にわたって健やかに暮らすためには、その基盤となり支えとなる、地域医療の充実は必要不可欠であります。

しかしながら、医師不足は、地域や診療科の遍在等により、全国的な問題であり、中でも産科・小児科・麻酔科などの特定診療科では深刻な状況となっております。本市においても、平成17年から休止状態にある、出産医療体制の再開は喫緊の課題でございます。

このような状況を踏まえ、「庄原市の地域医療を考える会」による講演会等の開催により、地域で医師を守ることなどの市民意識の醸成を図るとともに、公的医療機関の施設整備、高度医療機器の導入、医師の勤務環境改善など本市の医療を守るための積極的な支援を行ってまいりました。新年度におきましても、引き続き、市内での出産再開に向けて、出来うる限りの努力を傾注してまいる所存であります。

そして、平成25年度完成予定の「庄原赤十字病院増改築事業」の建設補助を継続し、医療環境の充実・強化を図るとともに、将来にわたり、休日でも安心して受診ができる体制を堅持するため、庄原市医師会等の協力のもと、「休日急患センター」を整備し、地域医療を守る基盤づくりを推進してまいります。

第3としては、「子育て支援・教育環境の整備」であります。

保育所および小学校、中学校は子どもたちが一日の大半を過ごす、学習・生活の場であるとともに、非常災害時における、地域の緊急避難場所としても位置付けており、東日本大震災においても、小中学校等が避難生活の拠り所として、重要な役割を果たしたことは、記憶に新しいところであります。

児童生徒の命を守り、地域の安心安全を確保する上での最優先課題として、耐震診断結果に基づき、整備に取り組んでまいりました。新年度は「庄原保育所」の移転改築工事および「下高保育所」と「新市保育所」の統合新築工事の完成を目指します。

また、小中学校につきましても、庄原中学校の屋内運動場改築、庄原小学校改築に係る基本設計、美古登小学校の耐震改修工事、東城小学校の校舎改築工事に着手します。

これらの各事業が完成いたしますと、現在、耐震診断実施中の保育所2箇所を除き、市内全ての保育所、小中学校が耐震基準を満たした安全な施設となることからも、早期完了を目指して、取り組んでまいります。

最後に第4として、「重点戦略プロジェクト」であります。

「中国横断自動車道尾道松江線」は、いよいよ新年度末に、松江から三次JCまでが供用開始となる見込みで、市内へは、口和および高野へICが設置されます。今後は、中四国地方を中心とした、新たな交流人口の増加が期待されるとともに、地域活性化に結びつく大きな資源になると捉えています。

こうした背景から「観光振興プロジェクト」および「農業自立振興プロジェクト」へ結びつく重点事業として、尾道松江線の供用開始にあわせ、本市の北の玄関口として、拠点施設となる、高野観光交流ターミナル「道の駅」を整備します。

また、「道の駅」整備と一体的に、ソフト事業となる「未来創造事業」について、県の補助を受け、着地型観光の体験メニューや観光ルートの開拓、雪室ブランドおよび逸品100プロジェクトの開発を進め、高野地域のみならず、全市的な農産物、特産品の販路拡大・開発に継続的に取り組みます。

この他、待った無しの森林整備については、平成20年3月にSARUプロジェクト会議にて調査研究した、製材事業等の成立可能性調査をもとに、庄原森のバイオマス産業団地構想を再検証し、進むべき方向を検討いたします。と同時に、公共施設の建築をはじめとし、地域材を活用した木質化を積極的に採用するとともに、新エネルギー設備の導入により、「木質バイオマス活用プロジェクト」の一環である、資源循環による森林・環境を保全し、里山再生および地域活性化を図ってまいります。

基本方針の最後は、財政健全化への着実な取り組みであります。

国の進めた、三位一体改革は、新市誕生間もない行財政運営に重く、厳しくのしかかり、危機的状況に陥りました。このため「行政経営改革大綱」を柱として「持続可能な財政運営プラン」や「財政計画」、「公債費負担適正化計画」を策定し、「入るを量りて出ずるを制す」の財政理念のもと、歳入確保と歳出削減に努めた結果、本市の財政指標は、厳しい数値ではありますが、着実に好転しております。

しかしながら、現在の「財政計画」等は、当面、平成27年度までを見通した計画であり、その後を見据えますと、自主財源の根幹を成す本市の税収は、引き続き、減収が続くと想定される一方、社会保障費は、今後も増加傾向にあり、財政運営は、将来も厳しいものと認識しております。

とりわけ、平成27年度からは、合併による普通交付税の特例措置が段階的に縮減され、32年度からは通常算定となり、26年度と比較すると約33億円が減額になると見込まれます。この合併算定替の終了を念頭に置き、子や孫の世代へ、負担を先送りしないためにも、行政評価の導入等を検討し、個々の業務について、検証と見直しにより、不要不急の事業を見極め、将来に向けより一層、財政の健全化に努める必要があります。

また、最少の経費で最大の市民サービスを提供することは、行政の命題として、常日頃より、行政経営に求められるものでありますが、現在、政府で進められている「地域主権改革」では、基礎自治体の自主性強化や自由度が拡大される一方、責任や政策実行能力等がより重要となり、これに対応した、新たな行政経営についても検討してまいる所存でございます。

なお、常々申し述べておりますが、決して財政健全化一辺倒に陥ることなく、市民生活の安心安全を確保し、夢と活力のある美しいふるさとを創造するため、主要施策をはじめ「やるべき事業」には着実に取り組んでまいります。

こうしたことからも、「まず隗より始めよ」との故事が示すとおり、政治と行政を担う者として、特別職三役の報酬減額の拡大と職員給与の削減を実施することとしております。

つづいて、平成24年度予算編成の基本的な考え方について、ご説明申し上げます。

市税につきましては、現下の社会経済情勢等の影響により、固定資産税を中心に約6千万円の減収を見込んでおります。

また、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた総額は、約4億円の大幅な減額見込みとなったところでございます。

一方、歳出におきましては、公債費および職員人件費等の減額要因に対して、社会保障費等の増額により、歳入歳出の収支見込がマイナスとなり、経常経費等の見直し・抑制のほか、事業の優先順位の見極めにより歳出削減に努めましたが、なお不足することから、財政調整基金の繰り入れを見込んでおります。

引き続き厳しい財政状況を認識し、中期的な視点を持つ中で、市民生活に直結する「福祉・医療」分野および「長期総合計画・後期実施計画」に計上した各事業の推進に重点を置き、中でも先送りできない事業施策を最優先に予算を編成いたしました。

なお、経済対策事業につきましては、平成20年度以降、第5次にわたり実施してまいりましたが、今後は、先ほど申しましたとおり、実施計画計上事業などの着実な実行により、市内経済の下支えを図ってまいります。

以上の基本方針による予算編成の結果、平成24年度一般会計の予算規模は、23年度から2.8%減額の316億1,262万2千円となり、特別会計および企業会計に比和財産区特別会計を加えた市全体の予算規模では、477億7,431万2千円で1.3%の減額となったところであります。

それでは、次に平成24年度の主要施策について、長期総合計画に掲げた基本政策の体系に沿って、主な事業をご説明させて頂きます。

まず、「協働の力で笑顔が輝くまち自治・協働」について申し上げます。

協働のまちづくりでは、自治振興区の活動・運営に対し、引き続き支援するほか、「まちづくり基本条例」に基づき、新たに、まちづくり懇話会の開催、子ども用啓発パンフレットの作成などに取り組みます。また、住民との協働により、各地域の資源を有効活用し、にぎわい創出や活力ある地域を目指す「クラスターのまち実現プロジェクト」を継続し、一体的発展に努めてまいります。

人権尊重・男女共同参画等の社会づくりに向けては、講演会等の開催により、人権意識の高揚と人権教育の推進を継続するほか、女性の社会参画機会の拡充および男女共同参画意識の醸成を推進するための講座等を実施します。さらに、DV相談を充実させるため、相談日を週3日から5日へ拡充を図ります。また、生命の尊厳と世界の恒久平和を目指し、平和市長会議に継続加盟するなど、平和行政の推進に取り組んでまいります。

次に、組織機構については、今後の地域主権改革の進展を見据え、基礎自治体として機能強化を図るため、専門的分野に通ずる職員の確保・育成に努めるとともに、より、きめ細かなサービスが提供できる、簡素で効率的な組織となるよう見直しを行います。

さらには、昨年の職員不祥事を重く受け止め、職員の倫理意識の向上に一層努めてまいります。

市税等の関係では、固定資産評価額を適正価格に見直すとともに、新たに、地番現況図の電子化、滞納管理システムの導入など、税情報の管理と事務の効率化により、収納率向上を図ります。

つづいて、「さとやま資源の活用で地域が輝くまち産業・交流」について申し上げます。

まず、本市の基幹産業に多大な影響をもたらす、「TPP交渉参加問題」は、農林業の根幹を揺るがすのみならず、日本社会の秩序崩壊をも招く恐れから、関係機関と協力し、引き続き、強く反対する所存であります。

こうした状況のもと、農業振興では、新たに、45歳未満の独立・自営就農者に助成する青年就農者給付金事業を開始するなど、農業後継者の育成を充実させるほか、県立広島大学へ「特産農産物試験栽培事業」を研究委託し、庄原産トマトのブランド化を検討するとともに、「こだわり米産地育成事業」により米のブランド化への取り組みに着手してまいります。

さらに、一昨年のゲリラ豪雨により被災した農地が、耕作できるまでの支援策として、営農再開準備交付金を継続することとしています。

次に、畜産振興については、和牛の共同飼育支援、乳用牛の導入助成など、畜産経営の安定化を図るため、継続的に支援するほか、10月に開催予定の全国和牛能力共進会への出品に向け、JA庄原とともに支援いたします。

そして、林業の振興では、持続的な林業経営と森林の適切な整備・活用を図るための指針となる、新たな「林業振興計画」を策定するほか、平成28年度まで延長となった、ひろしまの森づくり事業等の継続により、森林の持つ公益的機能の維持・増進と森林産業の再生を目指してまいります。

また、イノシシ等による有害鳥獣への対策として、新たに鳥獣被害対策実施隊を設置するほか、後継者育成を図る、狩猟免許取得費助成を新設するとともに、防護柵設置等への助成を継続し、捕獲・防除の両面から対策の強化・拡充を考えております。

次に、商工業の振興では、「商工会議所、商工会」への助成、「最寄り買い店舗改装支援事業」などを継続し、地場産業の支援に努めるほか、厳しい経済情勢ではありますが、引き続き、雇用創出に繋がる企業誘致に、全力で取り組くんでまいります。

さらに、新たな地域産業の創出を目指し、しょうばら産学官連携推進機構との協働により、県立広島大学研究開発助成事業の成果還元を目指し、引き続き、地域資源や大学が有するシーズを活用した、研究開発を支援いたします。

つづいて、「自然との共生で暮らしが輝くまち環境・基盤・定住」について申し上げます。

まず、一昨年発生した、ゲリラ豪雨災害復旧事業につきましては、全ての工事発注を終えましたが、一部事業が繰越となる見込みから、引き続き1日も早い被災地の復旧を目指してまいります。

地域情報化への取り組みとして、地上デジタル放送の難視聴解消事業を継続するほか、超高速情報通信網整備について、これまでのアンケート結果や市民説明会での意見等を踏まえ、新たに検討委員会を設置して具体的内容を検討していきます。

次に、地籍調査については、新年度から地籍調査係を設置し、従来の東城・総領地域に加え、江府三次道路にかかる西城地域の調査に着手するとともに、将来に向けた市全域の調査計画を策定し、地籍調査の促進を図ります。

市民生活に直結する社会基盤として必要となる、道路の整備促進では、新規に比和「南線」ほか5路線を加え、計46路線の市道改良事業を進めます。また、国道・主要地方道の整備促進など、関係自治体と連携した対応に努めてまいります。

さらに、農業生産基盤の整備については、農業経営の安定および合理的な管理を行うため、西城法京寺地区をはじめとする「ほ場整備」のほか、水路、農道、ため池等の整備を実施します。

そして、都市環境の整備では、上野総合公園第2期整備事業に向けた、第2次基本設計の策定を行うほか、庄原駅周辺土地区画整理事業、東城地域の都市再生整備事業で「五反田堰切線」の改良等を進め、さらには街路事業として西城「三野原線」に着工します。また、住宅環境の充実に向けては、昨年取得した庄原・東城地区市民住宅の浴室給湯設備の更新などに取り組むほか、計画的・効率的な住宅の更新や適切な維持管理を進めるため「公営住宅等長寿命化計画」を策定します。

上下水道の分野については、峰田地区の水道拡張事業をはじめ、高野簡易水道、帝釈簡易水道の施設整備および久代東簡易水道の水道事業への統合等を進めます。また、庄原および東城の市街地周辺区域の公共下水道整備並びに高野湯川地区の農業集落排水施設整備を継続するほか、引き続き、合併処理浄化槽の整備により、公共用水域の水質保全と快適な生活環境の改善に努めます。

次に、消防体制および防災対策の充実として、防火水槽等の消防設備を計画的に整備・更新するほか、常備消防において、庄原署の救助工作車の更新、消防救急無線のデジタル化へ着手します。

また、一昨年のゲリラ豪雨災害等を教訓に、市民の防災意識向上や災害時の被害を最小限に防ぐための「防災マニュアル」および「ハザードマップ」を作成し、全戸配布するとともに、各地域の自主防災組織の立上げ・活動を支援してまいります。

さらに、生活交通については、総領地域生活バスを路線拡大するなど、地域の実情や利用実態に即した路線の見直しを行うほか、自治振興区が主体の「市民タクシー事業」を継続するなど、地域住民の生活交通確保に努めます。

消費者行政、防犯関係では、引き続き、消費生活相談員を設置し、相談業務や情報提供等に取り組むほか、新たに東城地域へ生活安全相談員を設置することで、相談体制の強化を図ります。

つづいて、「心と体の健康づくりで命が輝くまち保健・福祉・医療」について申し上げます。

まず、医療および保健の充実では、医療従事者育成奨学金貸付事業により人材確保に努めるほか、新たな「庄原市健康づくり計画」に基づき「疾病予防」と「元気づくり」に計画的に取り組みます。また、乳幼児健康診査事業等を継続し、母子の健康保持・増進を図るほか、各予防接種事業により感染症対策を講じてまいります。

西城市民病院においては、医師確保対策を最重要課題として取り組むとともに、引き続き経営改革を推進し、持続可能な病院経営に努力いたします。

次に、子育て支援の充実では、出産祝い金、ファミリーサポート事業などを継続し、育児不安の軽減、子育て環境の充実に取り組みます。また、児童虐待や乳幼児の発達支援など多様化する事案に対し、連携体制を強化するほか、新たに東城子育て支援センターにおいて、発達支援事業を実施します。さらに、口和みどり園保育所の改修を継続し、保育環境の整備を進めてまいります。

高齢者の自立支援については、新たな「庄原市高齢者福祉計画・介護保険事業計画」のもと、高齢者福祉施策および介護保険制度を円滑に推進いたします。また、廃止となる老人福祉センターの機能を確保するため、保健センターを改築するほか、引き続き、ひとり暮らし高齢者等巡回相談事業などに取り組みます。

さらに、障害者の自立支援として、障害者福祉施策の基本方針となる「第2期庄原市障害者計画」を策定し、新たに、朗読奉仕員養成講座の開催、災害時要援護者避難支援システムの運用、障害児通所給付事業に取り組むほか、作業意欲促進助成金など独自施策を継続し、障害者の福祉向上と自立促進に努めてまいります。

つづいて、「ふるさとを愛する心で人が輝くまち教育・文化」について申し上げます。

まず、学校教育では、標準学力調査等を継続実施するほか、小中学校へ特別支援教育支援員を配置し、障害をもつ児童生徒の個に応じて適切な支援を講じます。また、新たに授業力向上の研修、管理職のマネジメント研修を実施し、支援体制の充実を図ることといたしております。

次に、生涯学習の推進では、東城図書館分館を自治総合センター内へ整備するほか、生涯学習施設の有効活用、利用促進に取り組みます。また、地域文化・スポーツの振興として、クジラの化石展示を中心とする「比和自然科学博物館地学分館」を7月にオープンするほか、県重要無形民俗文化財「比和牛供養田植」への支援を行うなど、文化財の保存・伝承等に努めます。さらに、レベルアップスポーツ教室を拡充し、技術の向上に取り組むほか、スポーツへの参加機会拡大を図ってまいります。

そして、国際交流については、経済技術友好協力協定を締結している中国四川省綿陽市と、相互訪問、青少年交流等を進めるほか、将来に向けた新たな経済交流の可能性について、協議検討してまいりたいと考えております。

主要施策の終わりに、「重点戦略プロジェクト」について申し上げます。

農業自立振興プロジェクトでは、国の補助要件では該当にならない、新規就農者の経営を支援するため、独立・自営就農者や親元就農者に対する「新規就農者育成事業奨励金」制度を新設いたします。また、「がんばる農業支援事業」では認定農業者への助成を拡充します。さらに、畜産分野では「和牛増頭対策」などを継続支援し、新たに「和牛ヘルパー利用促進事業」を導入いたします。これら各事業への取り組みとともに、国・県・JA庄原および庄原市農林振興公社との連携・協働により、継続的・安定的な収入に繋がる農業の再構築を進めてまいります。

次に、木質バイオマス活用プロジェクトについては、ペレット製造事業の支援やペレットストーブ等の購入助成、公共施設へのペレット機器導入促進等により、間伐材など地域の未利用資源をエネルギーとして利用することで、新産業の創出や林業振興、循環型社会構築と美しい里山の再生に向け、取り組みます。

また、観光振興プロジェクトでは、4月に全園開園する国営備北丘陵公園および新年度末の尾道松江線の一部供用開始を重要な観光交流資源と捉え、市内の「道の駅」および類似施設の連携を強化し、施設相互の活性化策を検討するほか、近隣・沿線自治体と観光の広域連携に努め、回遊性向上を図ります。さらに、さとやま博で培ったノウハウを継承する「庄原市観光協会」へ観光キャンペーン事業などを一括委託し、観光資源や施設のさらなる魅力づくりと市民が儲ける仕組みづくりの構築を進め、観光消費額と交流人口の拡大に向けた、取り組みを展開してまいります。

定住促進プロジェクトとしては、男女の出会いサポート事業、新婚世帯の家賃・通勤助成など、人口流出を防止する支援策や若者世帯にも配慮した定住施策を継続し、自治振興と一体的に定住対策に取り組むことで、定住人口の増加を目指します。また、高野地域で活躍中の地域おこし協力隊員に続き、新年度も新たに隊員を募集し、地域の維持・活性化に向けた生活支援ができるよう、取り組むことといたします。

以上、平成24年度の主要施策等について、ご説明申し上げてまいりました。

終わりにあたり、申し添えさせて頂きます。

「自然こそ不変の価値である。人間は空気を吸い、水分をとらなければ死んでしまう。自然へのすなおな態度をもって、自分に厳しく、相手にはやさしい自己を確立することが、いつの時代も、欠かさすことができない心がまえである。」

作家司馬遼太郎氏の作品である「21世紀を生きる君たちへ」の中で、子ども達へ送ったメッセージを要約したものでありますが、21世紀の今を生きる我々大人たちへの戒めとして受け取っております。今こそ、真摯に「さとやま」の必要性を見つめなおし、人の喜びを自分自身の喜びとして「共に生きる」ことを育み、実践しなければ、将来のふるさとに「"げんき"と"やすらぎ"」を残すことはできません。

ただ、いたずらに突っ走るのではなく、「古きを温ね、新しきを知る」知恵が、今こそ求められます。

四季折々の顔を見せる、自然豊かで美しい、我がふるさとを次世代へ引き継ぎ、地域の魅力、さとやまの力を結集し、誰もが羨むふるさと「"げんき"と"やすらぎ"のさとやま文化都市」創造のため、在職任期最後の1年を「粉骨砕身」、全力を傾注し、最後まで「あきらめない、逃げない、ごまかさない」の精神でもって、市政を預かる者としての責務を果たしてまいる所存であります。

議員各位、並びに市民の皆さんのご理解とご協力を心よりお願い申し上げ、施政方針といたします。

なお、予算以外の議案として、「庄原市暴力団排除条例」など、条例案12件、「庄原市教育委員会委員の任命同意」など、その他39件を提案しております。

どうか、慎重なご審議をいただき、ご議決を賜りますよう、お願いいたします。

平成24年度施政方針2.jpg

※「用語解説」のご連絡については、ウェブリオまでお問い合わせください。

企画課
お問い合わせ
企画調整係
市の基本構想・基本計画・実施計画、人口減少対策の総合調整、組織・機構および定数管理など
電話:0824-73-1128
電子メール:kikaku-chousei@city.shobara.lg.jp