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平成22年度施政方針

3月4日(木)に開催された市議会本会議において、滝口市長が平成22年度の施政方針を述べました。

(写真:本会議場で施政方針演説をする滝口市長)H22施政方針演説

平成22年第3回庄原市議会定例会の開会にあたり、市政運営に取り組む一端を申し上げ、議員各位ならびに市民の皆さんのご理解、ご協力を賜りたいと存じます。

昨年4月に施行されました市長選挙におきまして、引き続き市政を預かることになりました。市民の皆さんから信託を得られたのも、「市民本位の市政」として、事業施策を「継続こそ力」「理念あるブレない市政」と有権者の皆さんに訴え、4年間の実績が成果として評価され、さらに未来を託して頂けたからこそと感じております。

この場をお借りして、深く感謝申し上げるとともに、市民の皆さんの信頼と期待に応えるべく、全力で職務に邁進する所存でございます。

昨年、職員による公金詐欺という、あってはならない事件を起こしました。市民の皆さんの信頼を根底から裏切る行為であり、誠に残念であります。市民の皆さんに心からお詫び申し上げますとともに、外部の有識者等で組織する庄原市不正防止対策委員会の提言や評価・検証を受けながら、綱紀の粛正と再発防止対策を徹底し、職員一丸となって信頼回復に努めてまいります。

社会情勢を振り返りますと、新型インフルエンザが世界的に拡大し、昨年8月には庄原市内において新型インフルエンザ患者が確認されたことから、感染の予防を徹底するために国が行うワクチン接種費用助成制度に加えて、独自に妊婦および1歳から中学3年生まで、ワクチン接種対象を拡大し助成してまいりました。

昨年末には、「全体としてのウイルスの活動は峠を越した」と分析されておりますが、集団かぜによる市内小中学校の学級閉鎖は依然続いており、今後の流行の推移が読めない中にあって、ウイルスの強毒化への変異の可能性も否定されていないことから、引き続き情報収集と感染予防対策を県および医療機関等と連携して実施してまいります。

また、今年は死者・行方不明者が6千4百余名にものぼった阪神・淡路大震災から15年を迎えました。一昨年は中国四川大地震により国際友好都市である綿陽市で死者3万人、今年に入って死者20万人ともいわれるハイチ地震や南米チリの大地震が発生しております。さらに昨年7月には、山口県内で「猛烈な豪雨」による土石流が特別養護老人ホームを襲い、多くの尊い命が失われております。

木造住宅の耐震診断や耐震改修工事への独自助成や避難支援が必要な人の避難計画策定、子どもの命を守る保育所・小中学校の耐震化対策、道路防災などを積極的に進めるとともに、国・県には河川改修や砂防ダム、地すべり対策などの整備促進を強く要望してまいります。

新型インフルエンザなどの新たな脅威の出現、さらに予期せぬ自然災害による痛ましい事故が後を絶たない中にあっては、被害を最小限に留める努力を惜しんではなりません。「備えあれば憂いなし」といわれるように、「万が一への備え」を積極的に進め「安全・安心な暮らし」の実現に取り組んでまいります。

経済危機を引きずってバラク・オバマ政権が誕生いたしました。ブッシュ政権の失政を嘆き、共和党の経済政策に悲鳴をあげたアメリカ国民は、豊かさの価値判断は物ではないとして、「物から心への変革」を訴えるオバマ氏をアメリカ合衆国大統領として選択いたしました。

あれから1年、「真の変革」を唱える大統領の就任に沸いた首都ワシントンの熱気と高揚感は失せ、当初7割近くあった支持率は5割程度に下落しております。

一方、国内においては、失われた10年を経て、「いざなみ景気」の中で、小さな政府路線や三位一体改革など、「アメリカ型資本主義」を標榜し、市場原理至上主義に傾斜した小泉構造改革により、地方は疲弊し、さらに日本型経営や富の再配分構造、セーフティネットを破壊し、格差社会の発現など国民生活に多大の混乱をもたらしました。自民党は路線の見直しをめぐり迷走し、参院選惨敗に伴う「ねじれ国会」のなか、現職首相が2度も政権を投げ出すなど、政権担当能力の欠如を露呈しました。民主圧勝・自民大敗は、こうした小泉構造改革への批判と自民党の政治運営の失敗に対する国民の失望、さらに経済危機対策の優先を掲げ解散を引き延ばした麻生政権に、生活不安や閉塞感から国民の不満が頂点に達した結果であろうと推察しております。

政権を獲得した民主党は「マニフェストを4年間で達成していく」としており、これまでの自民党政治から大きく変貌するものと予測しておりますが、マニフェスト実現に向けた事業仕分けによる財源確保も、当初目標額の3分の1にも届かず、政策の適否は別として、ガソリン税の暫定税率廃止や子ども手当の満額支給、高速道路の無料化は大きく後退しており、さらに今後3年間では、主要マニフェスト関連予算を除いても、新規国債発行額は過去最大となる新年度の約44兆円から25年度には約55兆円にまで膨らむとの財務省試算もあり、基礎的財政収支の均衡を十分に踏まえた政策の提議と具現化が、求められる姿と考えております。

アメリカ新大統領や民主党新政権の誕生などを反映して、昨年の漢字一文字は「新」が選ばれました。期待感を込めた一文字でありましたが、現状は、新大統領や新政権ともに景気対策や公約実現に取り組む反面、増大し続ける巨額の財政赤字を抱え、「理念」や「望み」の説明が先行し、実効性のある政策や具体的施策の姿・成果が見えず、それぞれの支持率が表すように、国民の期待感は大きく後退しております。「新大統領」から「現大統領」、「新政権」から「現政権」に変わった今年、国民の生活の安定に向けた具体的政策と成果を出すべきと考えております。

政権を獲得した民主党は「暮らしのための政治を」行い、「国民の生活を第一」とするとし「コンクリートから人へ」と、これまで重点を置いた公共工事から、社会保障や教育関係等の予算に優先順位をシフトし、「友愛社会」の実現を目指すとしております。

こうした理念は、経済の語源である「經世濟民」へと国の進路を転換する考えとして、一定の評価をするものでございますが、広大な面積と市域全体に広がる生活圏、少子高齢化の進行と基幹産業である農林業の衰退が進む本市にあっては、市民自治を進めるための拠点整備や基幹産業復興に向けた農林業基盤整備、命を守るための医療対策や耐震対策、道路整備など、喫緊の社会資本整備事業が山積しているのが実態であります。

地域主権の確立を一丁目一番地とされる鳩山政権に対しては、国主導による全国一律の公共事業圧縮ありきではなく、地方の実情・実態に、地方の裁量と住民の意思による施策が柔軟に行われることが極めて重要であり、地方との協議を十分に踏まえ、改革の根幹となる税源移譲、さらに国と地方の役割を明確にした国家像を、現在検討されている「地域主権推進基本法」と「地方政府基本法」に大胆に盛り込まれるよう要請するものであります。

広島県においては、藤田知事から、湯崎知事へと県政のバトンが引き継がれました。今後10年間で毎年400億円程度の財源不足が見込まれるなど、極めて厳しい財政運営が予想されております。こうした中にあって、県土の均衡ある一体的発展に向け、基幹産業の確立加速化や観光・交流支援など魅力ある中山間地域の形成に対する新たな支援策を打ち出されており、地域の「強み」を活かした取り組みへの支援は、本市の「みどりの環経済戦略ビジョン」を大きく後押し頂けるものと期待しております。

国・県ともに極めて厳しい財政状況の下で、政治の舵取り役が交代いたしましたが、国政・県政がいかなる政権になろうとも「市政の主人公は市民」を基本とし、「市民の生活が第一」と考え、地域の活性化と市民の生活を守るインフラ整備に全力で取組んでまいります。

次に、長期総合計画・後期実施計画におけるまちづくりの基本的な考え方について述べさせて頂きます。

米沢藩第9代藩主上杉鷹山は自ら先導して倹約し、殖産振興を勧め、藩士は荒地を開墾して新田開発に取り組み、人民は障害者や老人を地域で支え、飢饉では富裕な者が率先して貧しいものを助けております。「民の父母」として、人民につくす使命があるとしながらも、鷹山が唱える「自助」「互助」「扶助」の三助は、人民の自発を促し、社会的弱者をいたわり、飢饉から人民の命を守り、財政の破綻を建て直すなど、米沢藩を豊かで美しい協働体に至らしめております。

本市では、「お互さま」といえる共生社会の実現をめざしており、鷹山の理念は規範となるものでございます。

「"げんき"と"やすらぎ"のさとやま文化都市」を将来像として具現化するために、今年度、前期計画掲載事業を継承し全域的整備発展の視点に基づく、今後6年間の具体的まちづくりの設計図として後期実施計画を策定いたしました。

この計画の基本となるのは、まず、財政の健全化でございます。

国・地方とも巨額の債務残高を抱える中にあって、本市においては18年度から財政規律の構築に向け「行政経営改革大綱」を柱として、「持続可能な財政運営プラン」などを策定し、歳入の確保努力は当然として補助金や職員数、給与の削減など、痛みも伴う改革に強い決意を持って臨んでまいりました。こうした取り組みの結果、実質公債費比率は20年度の23.5%をピークに減少し、21年度末では22.6%、普通会計地方債残高も20年度末に比べて約14億円少ない約486億円を見込み、さらに27年度に向けては、実質公債費比率18.7%、起債残高は約410億円を目標としております。

実質公債費比率や起債残高などの財政指標は、事業を抑制するほど好転いたします。その反面、地域の活性化や安全・安心の確保など「一体的な発展」に振り向けられる予算は縮小し、長期総合計画で深刻な問題として整理しております人口の減少・産業の衰退・財政状況の悪化など、負のスパイラルから脱することは極めて困難となります。

「入るを量りて出ずるを制す」という財政規律を重視する姿勢は当然として、経済変動や社会構造の変化に即応し、新たな行政需要にも対応できる強固で弾力的な財政基盤を確立しつつ、長期総合計画の将来像の実現に向け、「やるべき事業」と「やらなければならない事業」を熟考し、選択と集中により、費用対効果と市民の満足度を高めることが極めて重要と考えております。

次に、後期計画における「まちづくり」の重点施策について述べさせていただきます。

事業の集中と選択という視点に加え、前期計画を継承する一貫した事業の継続が、事業効果を高め市民利益に通ずると認識いたしております。市民の皆さんの「幸せ」実現に向け、特に重点化する施策の1つは、「協働のまちづくり」であります。

鷹山の三助を基本とする「自助」、「互助・共助」、「公助」の「補完性の原理」により、市民一人ひとりのニーズに的確に応えるため、市民にもっとも身近な自治振興区を「新たな公共の担い手」と位置づけ、行政との協働により、きめ細く・柔軟かつ迅速に市民ニーズに応えることが、市民の満足度の向上と、「協働」と「補完」の「共生社会の実現」に繋がってまいります。

「互助・共助」を担う実践的な住民自治組織として、「自らの地域は、自ら考え、自ら守り、自ら創る」という自主性と主体性を発揮し、地域の夢を担える組織体となるよう自治振興区が行う活動を継続して支援し、特に自治振興センターについては交付金を増額するほか、地域の拠点および関連施設の整備や改修を進め、市民と行政とが一体となったまちづくりを意欲的に進めます。

2点目は「安全・安心の暮らしづくり」であります。

生み、育て、働き、老い、やがて一生を終えるまで、健康で元気に暮らしたいと思うのは、誰しもの願いであり、病気や怪我の治療を行う身近な医療機関は無くてはならないものでございます。しかし、勤務環境の悪化等を背景とした医師不足は、全国的な課題として深刻化しており、本市においても出産医療体制の休止状態が続き、麻酔科医師等の確保も厳しい状況にあります。

こうした現状の打開を図るため、地域で医師を守るとの視点による「庄原市の地域医療を考える会」を基軸とした市民意識の醸成や公的医療機関の耐震改修、施設改修、医療機器の高度化を進め、医師勤務環境の改善と診療体制の充実を図るなど、医師等の確保と地域医療を守る取り組みを積極的に行ってまいります。

なお、庄原赤十字病院については、二次救急指定病院・災害拠点指定病院としての機能を確保するため、25年12月の完成をめざし外来棟・診療棟などを耐震化整備するとされており、隣接する市民会館駐車場の減額貸付や整備に係る建設費の一部補助、建設借入れ資金の償還支援を行い、地域医療を守ってまいります。

また、常備消防機械装備の充実による災害即応体制の強化に加え、災害情報等を速やかに市民に告知するための防災行政無線設備の整備に着手するなど、市民の安全・安心の暮らしの基盤づくりを積極的に進めます。

3点目は「子育て、教育環境の整備」であります。

保育所・小中学校は多くの児童や生徒等が一日の大半を過ごす学習・生活の場であるとともに地域住民のコミュニティの拠点、非常災害時の緊急避難場所としての防災機能を担う施設でもございます。前期から小中学校の耐震補強を進め、今年度末には26の小中学校のうち21校の耐震補強が完了の予定であります。今後は、庄原中学校など残る5校の耐震化に加え、保育所の耐震診断結果を受け、庄原保育所など2所と老朽化が激しい西城保育所など4所の改修を27年度末までにすべて終え、子どもを育み、命を守る保育・教育環境となるよう集中的に取組みます。

4点目は「重点戦略プロジェクト」の推進であります。

地域という大地に農業、木質バイオマス、観光定住の3つのプロジェクトの根がしっかり張り、再生力と活力が育ちつつあることを強く感じております。引き続き、さらなる事業の推進を図り、地域経済の活性化と「さとやま」の再生への取り組みを果敢に進めてまいります。

まず、農業自立振興プロジェクトでは、経済社会に埋没しつつある土地、人、技を今一度掘り起こし、豊かな自然と地域の個性により付加価値を高め「生業となる農」の復興を図るため、庄原米のブランド化に向けた育苗施設整備への助成や土作り・作物作りの支援、新規就農の促進と販路の拡大、畜産支援などを、JA庄原や農林振興公社との連携を、より強化し推進してまいります。

木質バイオマス活用プロジェクトにおいては、木材資源を活用した木質ペレットの製造工場が稼動いたします。加えて、木材からリグニン類等を製造する工場の建設も22年度末の完成に向けて進んでおり、これらの取り組みを通じて木質バイオマス資源を有効活用するとともに、原料の安定供給と未利用木材の付加価値化、山元の利益創出をめざした効率的な木材収集等の取り組みを推進することで、資源循環による森林保全、里山再生および地域活性化を図ってまいります。また環境保全と循環型社会構築に向けた取り組みをさらに加速させるため、公共施設等へ木質バイオマスボイラーを積極的に導入いたします。

観光振興・定住促進プロジェクトは、尾道松江線の開通を睨んだ高野観光交流ターミナル(道の駅)の整備や、22年10月から1年間に亘って開催する「庄原さとやま博」を通じて、市民が主役となり、市民が儲ける仕組みづくりを推進し、また市営工業団地への企業誘致と既存施設の活用による住宅確保対策など、定住人口の増をめざしてまいります。

こうした重点化事業のほか、「自治・協働」、「産業・交流」、「環境・基盤・定住」、「保健・福祉・医療」、「教育・文化」の各分野において、総合的かつ計画的に施策を実施し、「市民と行政の協働によるまちづくり」、「地域の個性を伸ばし・活かすまちづくり」、「機能・役割を分担し・相互に補完・充足するまちづくり」を進め、「一体感の醸成」と「一体的発展」に取り組んでまいります。

次に、平成22年度において取り組む、重点施策について申し述べさせて頂きます。

第一には、引き続き景気対策でございます。

小泉構造改革後の市場競争の下での景気悪化は、多くの人が職や住居を失い、資金繰りに苦しむなど社会的な歪みとして格差が顕現化し、日本はOECDに加盟する27ヶ国の中で貧困率は5番目に高く、所得格差も拡大し、鳩山首相の施政方針演説では、行き過ぎた市場原理主義からの転換を宣言しており、一刻も早い富の再配分構造とセーフティネットの再構築を、国の責務として早期に行うべきと考えております。

経済対策として政府は国内の雇用・景気・生活の安心確保のため、これまでに総額27兆4千億円を投入しており、こうした財政出動と金融緩和政策により、国内の景気は持ち直してきているとされますが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあり、先行きについても雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ、デフレの影響など、社会経済の安心感は失われたままであります。

本市においては昨年、国の経済政策に先んじて第1次緊急経済・生活支援対策を実施して以降、国・県の経済政策に呼応し、今年2月の第4次経済危機対策まで、総額約51億5千万円の経済危機対策を実施しております。こうした、一連の対策実施の結果、生活・雇用・融資・住宅などの相談や、緊急生活安定資金の特別貸付け件数は昨年度末より大きく減少しており、市内経済の危機的状況は回避されつつあると判断しております。しかしながら、景況感回復の実感は乏しく雇用情勢も依然厳しい現状では、地域経済への一段のてこ入れが必要であります。

国の対策趣旨に沿い、地元の中小企業や零細事業者が受注できる、きめ細かな施設修繕や道路補修事業などの第4次経済危機対策と第3次経済危機対策の22年度繰越分、新年度当初予算により、地域の実態や雇用・経済情勢に即応した事業を切れ目なく展開してまいります。

第二は、多様な担い手による持続可能な農業についてであります。

食料をめぐる国際情勢は、先進国・新興国による穀物の争奪やバイオエタノール製造のための穀物消費、マーケットへの投機マネーの流入などにより、近年、穀物は高騰しており、世界人口68億人のうち約10億人が食糧不足に苦しみ、毎日2万5千人が飢餓を主因として死亡しております。世界的に食料が不足する中にあって、自動車・電化製品など工業製品を中心とした輸出に支えられ、世界の穀物貿易量の約1割を輸入して不足する食料を補う日本は、豊かな食生活を営む一方で、輸入食品の残留農薬問題や過度な偏食など「崩食の時代」ともいわれております。

日本の農業は、これまで多くの小規模農家や兼業農家、農業生産法人など多様な担い手によって支えられ、食料の安定供給のみならず国土や自然環境の保全、美しい景観の形成、文化の伝承など、農村社会の形成に極めて重要な役割を担ってまいりました。しかし、長期に亘る米の生産調整や米価の下落、野菜の産地間競争の激化・牛肉の輸入自由化などにより農業所得は半減し、過疎高齢化と新たな担い手参入の不足による耕作放棄地の増大、さらには限界集落など山積する課題を抱え、特に小規模農家、兼業農家にとっては産業としての持続可能性喪失の瀬戸際であり、食料生産を担う日本農業と農村社会の将来性は極めて危機的な状況にあります。本市を含む中山間地域の農業は、急峻な山間や狭隘な谷間に囲まれた中で行われ、集約化・合理化による大規模且つ効率的な農地経営だけでは、諸課題を解決できない地域や農業の担い手すら確保できない地域もございます。

こうした中にあって、本市においては、「農業自立振興プロジェクト」を掲げ、農業後継者育成支援や宿泊施設を活用した新規就農者の拡大、農外企業の農業参入支援など、多様な担い手に対して広範な支援を実施し、農業の自立振興に向け戦略的に取り組んだ結果、離職者や若者をはじめとする研修者や就農者の増加、さらに農外企業におけるネギや夏秋イチゴ、キムチ製造などの新たな分野への進出による雇用の確保など、農業への「新しい風」も吹き始めております。

農業・食料という国家・国際レベルでの問題に対して、地方自治体が行い得る起死回生の取り組みには限界もございます。しかし「何もしなければ、何も変わらない」ことを強く認識し、地域の農業を守り・育てるため意欲的に取り組んでまいります。

また、子々孫々に至るまで、国民の食料確保はもとより、中山間地域の小規模農家、兼業農家をはじめとする多様な担い手が、生産への意欲と生活への自信を持って、ふるさとを耕し、ふるさとで育み、ふるさとで生き、ふるさとの文化を継承していける農村社会の形成のために、持続的・安定的に経営できる農業の確立と、「食の安全・安心」に向け都市との共生の下で一体的な国土の発展となる食糧政策を国・県に強く求めてまいります。

次に平成22年度予算編成の基本方針について、ご説明いたします。

景気の低迷が続く中で、市税、とりわけ法人市民税の落ち込みが予想されますが、地方交付税は、「地域主権改革」の第一歩として地方自主財源の充実と強化、自治体の雇用創出対策などに充てるための特例加算が措置されるとともに、地方交付税の原資である国税5税の大幅な減収に対する国の補てん措置等により、実質的な地方交付税総額では増額を見込んでおります。

少子高齢化による扶助費の増は、社会的・構造的な課題であり、人件費や公債費などの経常経費と、委託料・使用料などの物件費は、徹底した圧縮削減に努め、長期総合計画・後期実施計画に基づき、選択と集中により執行効率を高めた予算編成としております。

なお、第4次経済危機対策事業につきましては、2月補正予算としてご議決いただいておりますが、第3次経済危機対策事業分と併せ、平成22年度へ繰越して実施する事業については、新年度当初予算(案)と一体的に、「長期総合計画」に掲げた基本政策の体系に沿って、主要事業等のご説明をさせて頂きます。

まず、協働の力で笑顔が輝くまちづくり自治・協働についてでございます。

新庁舎の建設期間中は、市民の皆さんに大変ご不便、ご迷惑をお掛けしましたが、「ふるさとの灯台」である新庁舎が完成いたしました。市民の皆さんの利便性や安全性、事務の効率性を備え、環境に配慮した庁舎として、生活の安心、心の拠り所、さらに市のシンボルとして市民の皆さんに永く愛されていくものと確信いたしており、6支所と連携して行政機能を存分に発揮してまいります。

「"ほっと"里山委員会」の活動や「クラスターのまち実現プロジェクト」、さらに地域協働の中核である自治振興区の実践活動など、地域・目的・課題別に協働のまちづくりの輪が広がり、「地域力」の高まりとなっております。

こうした協働の取り組みを強力に後押しするため、自治振興区の安定的・継続的な組織基盤の構築や地域づくり実践活動、生涯学習活動の一体的な取り組みの推進、新たな地域振興計画づくりの支援など、市民一人ひとりに最も身近な組織として「互助・共助」の役割を担う組織づくりを積極的に支援いたします。また、「とうじょう自治総合センター」建設に向けた関連事業として、東城支所有効利用の視点を持った施設の改修や地域の拠点施設である自治振興センターの整備を行ってまいります。

さらに地域づくりリーダーの育成・充実を図るため、女性を対象とした井戸端サロンを開催し、まちづくりへの女性参画を進めるとともに、「市民による、市民のためのまちづくり」を実現するための基本ルールとして、「まちづくり基本条例」の制定に市民と行政とが協働して取組んでまいります。

こうした「協働のまちづくり」や「一体感の醸成」を促すうえで、ふれあい市長室や市政懇談会、自治振興区活性化会議などの直接対話と、広報紙やホームページなどが果たす役割は極めて重要であります。分かりやすい説明はもとより、見易さの向上と内容の充実を図り、説明責任遂行のための「説明力」を職員一丸となって高めてまいります。

人権尊重・男女共同参画の社会づくりを進めるため、人権推進委員の配置や学習会・講演会・パネル展示の開催など、人権意識の高揚と人権教育の推進を社会教育分野と一体的に取り組みます。

行政経営改革に向けては、現大綱の進捗管理に情報公開の徹底や市民視線で行政サービスの向上を図る取り組みを加えるなど、新たな計画を策定いたします。休校・休所施設等の活用では、利用されていない施設・備品は、「もったいない」という認識のもと、地域の活用意識調査を踏まえて、産業面での活用の可能性や地域での活用充実などを進めます。また、補助金については、各種団体の事業計画や執行事務、決算の内容を十分に精査し、広く市民に理解されるように効果性および適格性の検証に努めます。

組織機構は、重点プロジェクトの加速化や危機管理の充実、地域主権への対応、企業誘致や「さとやま博」の推進、用地登記事務など、部門・分野別の専門性を高めるとともに、不祥事の再発防止や主幹の分掌と決裁権の付与など責任の明確化を図るなど、時代の要請にフレキシブルに対応し、簡素で効率的、わかりやすい組織機構となるよう体制の見直しを行います。また、広範な面積や職員の年齢構成、類似団体の状況、事務権限移譲、地域主権への対応などを考慮し、新たな職員定数を定めます。さらに人材育成では、職員一人ひとりが地方公務員としての基本的な心構えをはじめ、倫理感と職務遂行の意欲を高め、能力の向上を図るため職員研修を充実いたします。

市税等の納付については、コンビニ収納や口座振替納付を推進し、納税者の利便性の向上を図ります。なお、徴収の公平性の確保と収納率の向上のため、専門家など関係機関の支援を得て滞納整理の強化に努めます。

つづいて、さとやまの資源の活用で地域が輝くまち産業・交流についてでございます。

農業振興では、農政の大転換の第一歩として戸別所得補償モデル対策が実施されます。農家所得の岩盤補償と戦略作物等への直接助成、食料自給率の向上による農業と地域の再生を目指し、庄原市水田農業推進協議会を通じて進めてまいります。また第3期中山間地域等直接支払制度が高齢化の進行にも十分配慮した制度として見直し、継続実施されることから、取り組み面積の維持と拡大を図ります。

畜産の振興では、和牛の共同飼育や肥育経営の安定化対策、酪農飼料高騰対策など畜産経営を継続支援し、養豚経営ではサーコウィルス予防と飼料の高騰対策を実施いたします。

林業振興では、林内路網整備や森林境界の明確化などを推進します。

また、木材の地産地消と住宅関連産業の活性化を図るため、地域木材を用いた住宅新築などに対する助成制度を継続し、4年目となる「ひろしま森づくり事業」での人工林・里山林対策による森林の公益的・多面的機能の確保や、児童・生徒の机・椅子への地域間伐材の利用などに取り組みます。

有害鳥獣対策では、進入防止資材の購入補助による防除と有害鳥獣捕獲班への委託事業による捕獲対策を充実いたします。またカワウやサギ類による被害も増加の傾向にあることから、水産物への鳥獣対策を制度化し被害の低減に努めます。

商工業の振興では、中小企業が蓄積した技術を生かした、オリジナルなものづくり、新たなサービスなど、将来的に「オンリーワン」企業として、全国的に庄原市をアピールできると見込まれる企業等に対する雇用の確保や伝統的な建築技術・工法の伝承を支援するなど、商工業やまちなかの活性化対策を行ってまいります。

中小企業の経営支援では、中小企業向け融資の利子補給や中小企業融資預託、信用保証料の助成などを継続いたします。

観光交流の充実では、地域が実施する観光イベントを引き続き支援するとともに、観光交流施設の修繕を行います。

企業立地対策では、市内工業団地への企業誘致の取り組みを強化するとともに、企業誘致成功報酬制度の継続などにより、企業立地促進による雇用の場の拡大に努めます。

新たな地域産業の創出では、しょうばら産学官連携推進機構と協働して県立広島大学研究開発助成事業の成果還元を進め、研究者と市内企業・市民団体等との連携を助成事業の要件にするなど、より地域への成果還元が図られるよう取り組みます。さらに県大の人材や機材などの資源を活用し、市内企業等のニーズに即した「ものづくりの専門家」の養成など、産学連携の取り組みを支援する制度を検討してまいります。

つづいて、自然との共生で暮らしが輝くまち環境・基盤・定住についてでございます。

循環型社会の構築では、リサイクルプラザに整備した太陽光発電システムによる自然エネルギーや木質ペレット製造施設における森林資源の利用促進と普及啓発を推進いたします。また小水力発電の改修を補助するほか、住宅太陽光発電設備と省エネ機器との併設設置の支援やクリーンエネルギーの賦存調査を実施するなど、循環型社会の構築をめざしてまいります。

地域情報化の推進では、23年7月の地上アナログ放送停波までに市民の皆さんの地上デジタル放送への移行がスムーズに進むよう、共聴施設改修などに引き続き取り組みます。また携帯電話の不感地域解消のため、西城と口和、総領の不感区域に鉄塔施設を整備いたします。

道路の整備促進では、総領上野小坂線ほか29路線を継続改良し、口和塩谷線、比和中央1号線ほか2路線を新規に改良着手、高速道路関係では、中国横断自動車道尾道松江線の供用開始に向けた高野観光交流ターミナルの敷地造成や施設整備に向けた実施設計に加え、準備委員会で施設の管理運営の検討をいただく中で事業を推進してまいります。

道路災害防除では比和甲之邑線と総領山家線の法面整備に着工し、道路維持では第4次経済危機対策などにより、全域的な路面・路肩・安全施設等の維持補修と橋梁の長寿命化修繕計画策定に向けた点検を引き続き実施いたします。また積雪時における道路交通の確保のため、迅速且つ適切な除雪を行い、市民生活の快適性の確保や交通安全の推進を図ります。

高速自動車国道や国・県道等の整備は、都市間連携や本市の均衡ある発展と地域の振興・生活の安心を支えるうえで、きわめて重要であります。尾道松江線や江府三次道路の早期全線整備の促進について、関係市町と連携して要望活動を展開してまいります。また国道314号東城バイパス2期、主要地方道西城比和線、三次高野線の改良促進ほか、国道183号線庄原上原町と高町の歩道整備、市道改良の整備促進を、内陸部振興対策協議会での活動などを通して国・県へ精力的に要望いたします。

林道は、林業の低コスト化を図るため、継続路線を着実に整備するとともに、旧緑資源幹線林道高尾小坂線の西城・東城区間の残事業に着工いたします。

農業基盤の整備は、生産コストの低減や効率化、収益の安定を図るうえで不可欠な事業であり、整備中の西城法京寺地区ほか2地区のほ場整備を継続いたします。また県営農道では高茂金田線第3期に着工し、東城2期が完了の見込みであります。ため池では、継続4事業のうち庄原東野迫ため池と辻堂ため池が完了の予定でございます。

都市環境の整備では、改良最終年度となる西城大戸線や、まちなか広場の用地補償、紅梅通り整備、国営備北丘陵公園などから市街地への誘導を図るサイン整備、防災や安全性確保のための新道裏線と庄原高小路の整備を継続します。また、ウイル西城への集客誘導や歩行者・西城保育園児の安全を確保するため、三野原線の改良に着手いたします。

庄原駅周辺地区は、交通結節点の機能強化と商業機能を高めるための土地区画整理に向け、用地測量と換地設計に着手します。また東城地区における町並み整備と市街地整備を一体的に進めるために、整備計画の策定に取り組みます。

公園整備では、庄原川手地区の水産試験場淡水魚支場跡地の整備に着工します。また国営備北丘陵公園の全園供用開始に向けた整備促進を引き続き、国に働きかけてまいります。

水道事業では、庄原地区の「第7期拡張計画」に基づく小用・三協地区の給水区域の拡張工事を継続し、簡易水道事業では、28年度の上水道事業への統合に向け、東城久代東地区の整備着工と比和浄水場の改修を行い、安定した給水に努めます。なお、水道給水区域以外での生活飲料水確保については、井戸掘削に係る補助を継続します。

下水道事業では、東城市街地および庄原市街地周辺区域の整備と、高野湯川地区の供用開始に向け事業を実施いたします。また、これらの集合処理区域以外については、引き続き合併処理浄化槽の整備により公共用水域の水質保全と快適な生活環境の実現を図ってまいります。

住宅整備では、高野地域の住宅5団地の下水道接続や庄原地域9団地の火災警報器の設置を行い、市営住宅の住環境の改善整備に取り組みます。また木造住宅の耐震化対策の助成支援を継続し、さらに市内建築業者の受注機会の確保と地域経済の活性化に向け、一般住宅の改修支援を制度化してまいります。

消防体制の充実では、防火水槽や小型ポンプ付積載車、消火栓などを計画的に整備し、常備消防では、庄原消防署の車庫増設や東城消防署の非常電源を改修します。さらに防災対策として一級河川国兼川・成羽川の河川改修促進、利水・治水機能を有する庄原ダム、市内2地区の急傾斜地崩壊対策と4箇所の通常砂防、東城高野地区の地すべり対策の促進を国・県に要望するなど、安全・安心のまちづくりを進めてまいります。

生活交通では、利用者のニーズや実情・実態を踏まえ、事業者・利用者・行政・地域住民など様々な主体が連携して「生活交通再編計画」に基づく実施計画を見直してまいります。また今年1月からスタートした「市民タクシー事業」を積極的に推進し、誰もが安心して暮らすことができる持続可能な生活交通体系の構築に取り組みます。

消費生活では、架空請求や振り込め詐欺、多重債務などの多様化・複雑化する相談に迅速・適正に対処するため、消費生活センターの相談窓口の開設を週4日から5日に拡充するなど、体制の強化を図るとともに、生活安全相談員を継続設置し、防犯と生活安全の確保に努めてまいります。

つづいて、心と体の健康づくりで命が輝くまち保健・福祉・医療についてでございます。

医療および保健の充実では、庄原赤十字病院における産科外来診療体制の維持と妊婦・新生児検診の継続など、安心して出産できる体制を確保します。また休日・夜間の診療体制の確保支援、インフルエンザ等の感染の予防と女性特有のがん検診の受診率向上を図ります。さらにIT技術を活用した市内病院と診療所・岡山大学間のネットワーク化による医療情報の共有化や画像診断など、地域医療サービスの充実を図ります。特に、将来に向けた地域内医療機関の人材確保は重要であり、医学生や看護学生などを対象に、市内医療機関での勤務を貸付要件とする新たな奨学金制度を創設するなど、地域医療を支え・守る取り組みを進めます。

なお、医師確保対策や助産師を活用した院内助産所の設置環境の整備、女性特有のがん検診事業と妊婦健康診査事業に対する財政措置の恒久化などを、国・県に強く求めてまいります。

西城市民病院は、21年度から地方公営企業の全部適用へ移行しております。経営責任の明確化のもと、経営改革プランに基づく実施計画の策定を進め、抜本的な経営改革に取り組みます。また耐震補強に着工するとともに、医療機器等の計画的な整備・更新を行い、地域医療の確保と持続可能な病院経営に努めます。口和診療所においては、待合室や診療室の改修などを実施し、初期医療環境の整備と利便性の向上を図ります。

児童福祉の充実では、子育て親子の交流や悩み相談・育児支援、虐待防止、放課後児童の居場所づくり、出産祝い金の支給などに加え、離職の抑制と就労の安定・福利厚生の充実を図るため市内事業所内の託児所の運営を支援するなど、次代を担う子ども達の健やかな成長と育成を支援し、安心して子育てができる環境づくりを進めます。

なお、子ども手当ての支給は国の重要施策の一つとして実施されますが、22年度は中学校卒業までの児童に対して、一人当たり月額13,000円が暫定的に支給されます。

保育所の施設整備では、老朽化と狭隘な施設の解消、耐震性の確保を図るため、庄原保育所の移転改築に向けた地元説明と用地取得を行います。また私立小奴可保育所の移転改築を支援し、入所定員の拡大など地域保育の環境充実を図ります。保育所の指定管理者制度の導入につきましては、総領保育所の23年度からの移行に向け、乳児室増築などの施設整備や条件整備に引き続き取り組むとともに、他の保育所につきましても、保護者・地域の皆さんのご理解・ご協力のもと、「保育所再編計画」に基づき指定管理者制度の導入を計画的に進めてまいります。

高齢者の自立支援では、「高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、地域密着型特別養護老人ホーム1施設、小規模多機能型居宅介護事業所2施設、認知症対応型デイサービス1施設、認知症高齢者グループホーム1施設の整備に加え、これら施設の開設準備も併せて支援致します。また高齢者福祉施設へのスプリンクラー設置や高野高齢者生活福祉センターの下水処理の改修など施設の充実を図ります。

障害者の自立支援では、相談支援員および発達障害に精通したアドバイザーを継続設置し個別支援の充実に努めるほか、小規模作業所を対象とした送迎事業や運営費の助成、通所利用者の交通費助成、また障害者団体の外出に係る貸切バスの経費負担の制度化、視覚障害者へ録音テープで情報を提供する事業の東城地域への拡大など、関係者の強い要望も踏まえた単市事業に取り組んでまいります。

つづいて、ふるさとを愛する心で人が輝くまち教育文化についてでございます。

学校教育では、庄原中学校の全面改築のため、校舎や屋内運動場・武道場などの実施設計と校舎の改築に着工いたします。改築に当たっては、地域木材を利用するなど、「温かさ」と「優しさ」のある施設整備に取り組みます。さらに旧庄原格致高校高野山分校を23年度から高野中学校として共用するための大規模改修工事や山内・口北小学校のプール更衣室等の改修と18の小中学校へ太陽光発電施設を設置いたします。

また、通学事情を考慮し、新たに市内および近隣の公立高等学校へ就学する生徒に対する奨学金を増額するとともに、市内小規模県立高等学校の存続を県に要望してまいります。加えて、インフルエンザの感染予防対策としての加湿器設置や授業改善を図る一斉学力調査の実施、障害をもつ児童・生徒をサポートする支援員の配置、小中連携教育の充実と学校評価等による学校経営の見直しなどを行います。

生涯学習の推進については、公民館活動と自治振興活動の融合・一元化を図る自治振興センターへは委託事業、公民館においては自主運営事業として、人づくり・まちづくりを進めます。

地域文化の振興と継承では、重要無形民俗文化財「東城塩原の大山供養田植」の現地公開や県指定重要文化財「東城壽福寺禅堂」の設備整備への支援のほか、遺跡に関連したシンポジウムの開催や「子ども文化財探検隊」の実施など、文化財の継承・保護・啓発と文化振興に努め、さらに指定文化財の案内看板設置や比和地学分館を整備いたします。

スポーツの振興では、市民スポーツの普及とスポーツ人口の拡大を図るため、各種スポーツ大会を振興するとともに、小・中学生の競技力の向上に努めます。また西城温水プールではメタボ解消対策講座やベビースイミング教室の開催など、利用の促進に努めてまいります。

国際交流では、「国際交流協会」「日中親善協会」への参画と支援を継続いたします。また新年度は中国綿陽市との友好締結から20周年の節目の年であります。さらなる友好の絆を深めるため綿陽市で行われる記念式典への公式訪問団・市民訪問団の派遣と、綿陽市芸術団の招聘による市民・青少年との交流など行い、両市の繁栄と両市民の友好協力関係の発展を促進してまいります。

最後に、重点プロジェクトについてでございます。

農業自立振興プロジェクトでは、農家所得10%向上をめざし、庄原市農林振興公社に委託する産直販売八木店での農産物販売に精肉や特用林産物などを加え、売り上げの拡大を図ります。また広島県農業技術大学校と連携した「かんたん就農塾」など新規就農者や小規模農業者を支援いたします。さらに温湯消毒育苗施設や鶏糞発酵施設の整備へ補助をいたします。

畜産分野では、繁殖用和牛の共同飼育畜舎建設や家畜飼養施設の増改築、転作田を活用した和牛放牧の資材費、繁殖用和牛と乳用牛を対象とした受精卵導入への助成支援のほか、和牛導入の利子補給、堆肥利用による土づくりの推進を継続して実施いたします。

木質バイオマス活用プロジェクトでは、森林資源の活用による林業振興と地域活性化を図るため、SARUプロジェクト会議をはじめ森林組合、素材生産業者等と連携し、エネルギーの地産地消による森林資源の活用と森林再生の仕組みづくりの検討を進めます。また、新たに構築する木材収集の仕組みにより、ペレット製造原料の安定供給と山元の利益創出に取り組むとともに、リグニン類等の製造プラント建設支援とペレットストーブ等の購入補助を継続するほか、ひば道後山高原荘すずらんの湯にペレットボイラーを導入するなど、エネルギーの地産地消と森林バイオマス資源の有効活用に取組みます。

観光振興では、「さとやまバスツアー100プロジェクト」や「広域観光事業」「まちなか花会議」などの充実と、オープンガーデンコンテストや自転車による市街地周遊のコース化、「庄原さとやま博」など、地域資源を活用した観光の振興・産業化を進めます。

定住対策では、起業支援や高速バス活用による通勤・通学支援、定住相談と空き家改修費補助による定住促進、"こんにちは赤ちゃん"メロディーサービス、男女の出会いサポートなどのほか、21年度に若者の経済的支援と定住促進を目的に創設した「新婚世帯家賃支援事業」を継続して実施してまいります。

以上を主要事業として掲げ、予算編成を行いました。

平成22年度の一般会計の予算規模は、317億1,764万円で平成21年度当初予算額を2.5%上回り、一般会計、特別会計および企業会計に比和財産区特別会計を加えた市全体の予算規模では、473億3,994万円で0.04%の減額となっております。

終わりに申し添えさせて頂きます。

「故きを温ねて、新しきを知れば、以って師と為るべし」と孔子は論語で述べております。

かつての農村は、農業・畜産・林業の複合経営が主体であり、また基幹産業でありました。

稲わら・畦草・山草は牛の餌となり、牛は田畑を耕し、堆肥は田畑の肥やしとなり、人は山に分け入り薪を集め米を炊き暖を取り、家族は肩を寄せ合い、地域は支えあう。

「さとやま」は「農林業」が生業の「共生社会」の風景でございました。

当時の生活そのものに戻ることは不可能であり、また現実的でもございません。しかし、手入れの行き届いた実り豊かな田畑や木漏れ日の差し込む山々に囲まれて「お互いさま」と声を掛け合う地域社会と、たわむれる子どもの声が響き渡る様は、のどかで、心がやすらぎ、活力にみなぎる風景であり、子が親を想う気持ちにも似た「心のふるさと」でございます。

遊びをせんとや生れけむ

戯れせんとや生れけん

遊ぶ子どもの声きけば

我が身さえこそゆるがるれ

後白河法皇が平安時代末期に編纂された「梁塵秘抄」の中の一首でございます。

私たちが、先人の暮らしから「さとやま」を学ぶように、自然と暮らしを守り「共生社会」を実現し、「美しいふるさと」の創生と次代への継承に向け、一意専心、市政運営に精励してまいります。

議員各位、並びに市民の皆様には、今後とも、一層のご支援とご協力をいただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

なお、予算以外の議案として、「庄原市携帯電話エリア整備事業分担金および使用料徴収条例」など、条例案14件、「人権擁護委員候補者の推薦に意見を求めること」など、その他16件を提案しております。

どうか、慎重なご審議をいただき、適切なご議決を賜りますよう、お願いいたします。

※「用語解説」のご連絡については、ウェブリオまでお問い合わせください。

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